『本尊供養御書』(佐後) | 細雪の物置小屋

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御宗祖御開山遺文DBを中心に投稿します。
[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 法華経御本尊御供養の御僧膳料(そうぜんりょう)の米一駄・蹲鴟(いものかしら)一駄送り給(た)び候ひ畢(おわ)んぬ。法華経の文字(もんじ)は六万九千三百八十四字、一々の文字は我等が目には黒き文字と見え候へども仏の御眼には一々に皆御仏なり。譬へば金粟(こんぞく)王と申せし国王は沙(いさご)を金(こがね)となし、釈摩男(しゃくまなん)と申せし人は石を珠と成し給ふ。玉泉に入りぬる木は瑠璃と成る。大海に入りぬる水は皆鹹(しおはゆ)し。須弥山に近づく鳥は金色となるなり。阿伽陀薬(あかだやく)は毒を薬となす。法華経の不思議も又是くの如し。凡夫を仏に成し給ふ。蕪(かぶら)は鶉(うずら)となり山の芋はうなぎとなる。世間の不思議以て是くの如し。何に況んや法華経の御力をや。犀(さい)の角を身に帯すれば大海に入るに水身(み)を去る事五尺、栴檀と申す香を身にぬれば大火に入るに焼けることなし。法華経を持ちまいらせぬれば八寒地獄の水にもぬれず八熱地獄の大火にも焼けず。法華経の第七に云はく「火も焼くこと能(あた)はず水も漂(ただよ)はすこと能はず」等云云。事多しと申せども年せま(迫)り御使ひ急ぎ候へば筆を留(とど)め候ひ畢んぬ。
(平成新編1054・御書全集1536・正宗聖典1020・昭和新定[2]1569・昭和定本[2]1276)
[建治02(1276)年12月(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]