夫(それ)信心と申すは別にはこれなく候。妻のをとこ(夫)をおしむが如く、をとこの妻に命をすつるが如く、親の子をすてざるが如く、子の母にはなれざるが如くに、法華経・釈迦・多宝・十方の諸仏菩薩・諸天善神等に信を入れ奉りて、南無妙法蓮華経と唱へたてまつるを信心とは申し候なり。しかのみならず「正直捨方便(しょうじきしゃほうべん)、不受余経一偈(ふじゅよきょういちげ)」の経文を、女のかゞみ(鏡)をすてざるが如く、男の刀をさすが如く、すこしもす(捨)つる心なく案じ給ふべく候。あなかしこ、あなかしこ。
(平成新編1467・御書全集1255・正宗聖典1016・昭和新定[3]2104・昭和定本[2]1749)
[弘安03(1280)年05月18日(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]