『顕仏未来記』(佐後)[曾存・古写本] | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 疑って云はく、何を以て之を知るや、汝を末法の初めの法華経の行者なりと為すことを。答へて云はく、法華経に云はく「況んや滅度の後をや」と。又云はく「諸の無智の人有って悪口罵言等し及び刀杖を加ふる者あらん」と。又云はく「数々(しばしば)擯出(ひんずい)せられん」と。又云はく「一切世間怨(あだ)多くして信じ難し」と。又云はく「杖木瓦石もて之を打擲(ちょうちゃく)す」と。又云はく「悪魔・魔民・諸天・竜・夜叉・鳩槃荼(くはんだ)等其の便りを得ん」等云云。此の明鏡に付いて仏語を信ぜしめんが為に日本国中の王臣四衆の面目に引き向かへたるに、予よりの外には一人も之無し。時を論ずれば末法の初め一定なり。然る間若し日蓮無くんば仏語は虚妄と成らん。難じて云はく、汝は大慢の法師にして大天に過ぎ四禅比丘にも超えたり、如何。答へて云はく、汝日蓮を蔑如(べつじょ)するの重罪又提婆達多に過ぎ無垢(むく)論師にも超えたり。我が言は大慢に似たれども仏記を扶(たす)け如来の実語を顕はさんが為なり。然りと雖も日本国中に日蓮を除き去っては誰人を取り出だして法華経の行者と為さん。汝日蓮を謗(そし)らんとして仏記を虚妄にす、豈(あに)大悪人に非ずや。
(平成新編0677・御書全集0507・正宗聖典1002・昭和新定[2]0996~0997・昭和定本[1]0740~0741)
[文永10(1273)年閏05月11日(佐後)]
[真跡・身延曾存、古写本・日進筆 身延久遠寺]
[※sasameyuki※]