『檀越某御返事(四条金吾殿御返事)』(佐後)[真跡] | 細雪の物置小屋

細雪の物置小屋

御宗祖御開山遺文DBを中心に投稿します。
[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 御文(おんふみ)うけ給はり候ひ了んぬ。
 日蓮流罪して先々にわざわいども重なりて候に、又なにと申す事か候べきとはをも(思)へども、人のそん(損)ぜんとし候には不可思議の事の候へば、さが(前兆)候はんずらむ。もしその義候わば用ひて候はんには百千万億倍のさいわ(幸)いなり。今度ぞ三度になり候。法華経もよも日蓮をばゆるき行者とわをぼせじ。釈迦・多宝・十方の諸仏、地涌千界の御利生、今度みは(見果)て候はん。あわれあわれさる事の候へかし。雪山童子の跡ををひ、不軽菩薩の身になり候はん。いたづらにやくびゃう(疫病)にやをか(侵)され候はんずらむ。をいじ(老死)にゝや死に候はんずらむ。あらあさましあさまし。願はくは法華経のゆへに国主にあだまれて、今度生死をはなれ候はゞや。天照太神・正八幡・日月・帝釈・梵天等の仏前の御ちかい、今度心み候ばや。事々さてをき候ひぬ。各々の御身の事は此より申しはからうべし。さでをはするこそ法華経を十二時に行ぜさせ給ふにては候らめ。あなかしこあなかしこ。
 御みやづかい(仕官)を法華経とをぼしめせ。「一切世間の治生産業は皆実相と相違背(いはい)せず」とは此なり。かへすがへす御文の心こそをもいやられ候へ。恐々謹言。
(平成新編1219~1220・御書全集1294~1295・正宗聖典1023・昭和新定[2]1817~1818・昭和定本[2]1493~1494)
[弘安01(1278)年04月11日(佐後)]
[真跡・中山法華経寺(100%現存)]
[※sasameyuki※]