総じて餓鬼にをい(於)て三十六種類相わかれて候。其の中に■(=銅-同+穫-禾)身(かくしん)餓鬼と申すは目と口となき餓鬼にて候。是は何(いか)なる修因(しゅいん)ぞと申すに、此の世にて夜討ち・強盗などをなして候によりて候。食吐(じきと)餓鬼と申すは人の口よりは(吐)き出す物を食し候。是も修因上の如し。又人の食をうばふに依り候。食水餓鬼と云ふは父母孝養のために手向(たむ)くる水などを呑む餓鬼なり。有財(うざい)餓鬼と申すは馬のひづめの水をのむがき(餓鬼)なり。是は今生にて財をを(惜)しみ、食をかくす故なり。無財がきと申すは生まれてより以来(このかた)飲食(おんじき)の名をもき(聞)かざるがきなり。食法(じきほう)がきと申すは、出家となりて仏法を弘むる人、我は法を説けば人尊敬するなんど思ひて、名聞名利の心を以て人にすぐれんと思ひて今生をわたり、衆生をたすけず、父母をすくふべき心もなき人を、食法がきとて法をくらふがきと申すなり。
(平成新編0469~0470・御書全集1111・正宗聖典----・昭和新定[1]0708・昭和定本[1]0494)
[文永08(1271)年07月12日(佐前)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]