此等を以て思ふに、便宜(びんぎ)ごとの青鳧(せいふ)五連の御志は日本国に法華経の題目を弘めさせ給ふ人に当たれり。国中の諸人、一人二人乃至千万億の人、題目を唱ふるならば存外に功徳身にあつまらせ給ふべし。其の功徳は大海の露をあつめ須弥山の微塵(みじん)をつ(積)むが如し。殊に十羅刹女は法華経の題目を守護せんと誓はせ給ふ。此を推するに、妙密上人並びに女房をば母の一子を思ふが如く、■(=釐-里+牛)牛(みょうご)の尾を愛するが如く、昼夜にまぼらせ給ふらん。たのもしたのもし。事多しといへども委(くわ)しく申すにいとまあらず。女房にも委しく申し給へ。此は諂(へつら)へる言にはあらず。金(こがね)はやけば弥(いよいよ)色まさり、剣(つるぎ)はとげば弥利(と)くなる。法華経の功徳はほむれば弥功徳まさる。二十八品は正(まさ)しき事はわずかなり。讃むる言こそ多く候へと思(おぼ)し食(め)すべし。
(平成新編0969・御書全集1241~1242・正宗聖典----・昭和新定[2]1459・昭和定本[2]1169)
[建治02(1276)年閏03月05日(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]