『持妙法華問答抄(持法華問答抄)』(佐前) | 細雪の物置小屋

細雪の物置小屋

御宗祖御開山遺文DBを中心に投稿します。
[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

受けがたき人身をうけ、値ひがたき仏法にあひて争でか虚しくて候べきぞ。同じく信を取るならば、又大小権実のある中に、諸仏出世の本意、衆生成仏の直道の一乗をこそ信ずべけれ。持つ処の御経の諸経に勝れてましませば、能く持つ人も亦諸人にまされり。爰(ここ)を以て経に云はく「能く是の経を持つ者は一切衆生の中に於て亦為(こ)れ第一なり」と説き給へり。大聖の金言疑ひなし。然るに人此の理をしらず見ずして、名聞狐疑偏執を致せるは堕獄の基なり。只願はくは経を持ち、名を十方の仏陀の願海に流し、誉れを三世の菩薩の慈天に施すべし。然れば法華経を持ち奉る人は、天竜八部諸大菩薩を以て我が眷属とする者なり。しかのみならず、因身の肉団に果満の仏眼を備へ、有為の凡膚に無為の聖衣を著ぬれば、三途に恐れなく八難に憚りなし。七方便の山の頂に登りて九法界の雲を払ひ、無垢地の園に花開け、法性の空に月明らかならん。「是の人仏道に於て、決定して疑ひ有ること無けん」の文憑(たの)みあり。「唯我一人のみ能く救護を為す」の説疑ひなし。一念信解の功徳は五波羅蜜の行に越へ、五十展転の随喜は八十年の布施に勝れたり。頓証菩提の教は遥かに群典に秀で、顕本遠寿の説は永く諸乗に絶えたり。爰(ここ)を以て八歳の竜女は大海より来たりて経力を刹那に示し、本化の上行は大地より涌出して仏寿を久遠に顕はす。言語道断の経王、心行所滅の妙法なり。
(平成新編0296~0297・御書全集0464~0465・正宗聖典----・昭和新定[1]0462~0463・昭和定本[1]0280~0281)
[弘長03(1263)年(佐前)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]