雪山の寒苦鳥は寒苦にせめられて、夜明けなば栖つくらんと鳴くといへども、日出でぬれば朝日のあたゝかなるに眠り忘れて、又栖をつくらずして一生虚しく鳴くことをう。一切衆生も亦復是くの如し。地獄に堕ちて炎にむせぶ時は、願はくは今度人間に生まれて諸事を閣いて三宝を供養し、後世菩提をたすからんと願へども、たまたま人間に来たる時は、名聞名利の風はげしく、仏道修行の灯は消えやすし。無益の事には財宝をつくすにおしからず。仏法僧にすこしの供養をなすには是をものうく思ふ事、これたゞごとにあらず、地獄の使ひのきをうものなり。寸善尺魔と申すは是なり。
(平成新編1457~1458・御書全集1440・正宗聖典----・昭和新定[3]2092・昭和定本[3]2121)
["弘安03(1280)年12月""弘安03(1280)年02月"(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]