こんにちは、またはこんばんは。今回は前回の記事で書く予定だったアニメカービィの最終回、もとい最終回前の96話〜99話についても話したいと思います。

まずは96話〜99話から。


ある日カービィ達がプププランドでいつも通り平和に暮らしていると上空からデスタライヤーという謎の巨大円盤が現れ、プププランドを襲いかかる。カービィが撃退したのは良かったものの、その次の日も複数のデスタライヤーが現れプププランドに爆撃攻撃を仕掛ける。この惨劇により、村人達は理不尽にもカービィに怒りを向ける。その場面を見たメタナイトはこのままでは村人までやられかねないと言い、秘密裏に開発していた巨大な空飛ぶ戦艦…「戦艦ハルバード」を完成させた為これでプププランドを守るために村人と共にハルバードに乗り敵陣に向かう。メタナイトからナイトメア要塞という場所があり、そこにいるナイトメアという人物を倒さない限りプププランドに平和が戻ってこないという旨の事を村人達に教える(※)。


※この時ロロロ&ラララが戦艦ハルバードにカービィ達と共に乗っていて共にナイトメア要塞に向かっていたはずなのに98話で何故かデデデ城に残る事になっているという作画ミスが発生していた。


ここから100話です


要塞の中の大量のデスタライヤーが襲いかかり、苦戦を強いられていた…のだが、突然三機のデスタライヤーが味方撃ちをし始めたのである。メタナイト達が疑問に思っていると、なんと過去回に登場したナックルジョーとシリカ、そして、先の銀河大戦で亡くなった筈の戦士の生き残りがデスタライヤーを奪ってメタナイト達の味方をしてくれていたのである!これによりハルバードが要塞付近に近づけられた。しかし、デデデがここでやらかすことに。なんと通信機器により位置情報が丸わかりになってしまい、ハルバードがどこにあるのかバレてハルバードの墜落の準備が万端になってしまった。更に催眠術にかかり、デデデとエスカルゴンがフームをさらい、カービィがそれを追いかけに行った。


ここでコックカワサキがとある作戦を思い付き、周囲の者に提案をする。その作戦は何かと言うと…。「敵陣の心臓部に時限爆弾を仕掛け、その爆弾を使って敵陣の心臓部を爆破させる」というものである。周囲の者は賛成し、言い出しっぺのコックカワサキ、トッコリ、ダコーニョが司令室に向かい、時限爆弾を仕掛ける事に成功した。


カービィがフームを追いかけ、着いたその先は…。ラスボスであるナイトメアがいる部屋であった。カービィがどんなにナイトメアを攻撃するも、彼は実体が無い故、攻撃を吸収してしまう。攻撃し続けて疲れてしまいカービィは寝てしまった…。


その一方、ハルバードは大量のデスタライヤーの奇襲により大破してしまう。プププランドに帰れる手段を失ってしまった村人達は路頭に迷っていた。そんな中、メタナイトは帰るための手段としてとある事を思いつく。それは司令室にあったデリバリーシステムでプププランドに帰るというもの。…そう、先ほど時限爆弾を仕掛けた部屋にあったデリバリーシステムで、である。ここでカワサキ達と合流した。


一方、カービィとフームはナイトメア戦にて苦戦していた。ナイトメアは寝ているカービィは赤子をひねるのと一緒とあざ笑い、その前にカービィの夢を覗くことに。そこには食べ物だらけ…。カービィの居場所を特定し、そこでとどめを刺す…そんな時だった。フームがワープスターを隠し持っており、カービィがワープスターを吸い込み、スターロッドカービィに変身!その瞬間ナイトメアは狼狽えだす。それもそのはず、確かにナイトメアは無敵だが、無敵なのは現実である場合であり、夢である場合はまた別の話。夢であれば実体化するため、攻撃が通るのである。スターロッドにより、ナイトメアは撃破され消滅した…。ワープスターに戻り、そのワープスターにカービィとブームが乗りみんながいる所へ戻っていく。


途中で合流し、司令室に着く一同。ナイトメアがやられたと聞いたカスタマーサービスはどこかに逃げていった…。


プププランドにあったデリバリーシステムは先の襲撃で破壊されたはずではないかと疑問に思う村人もいたが、フームが「希望を持つしか無い」と励まし、プププランドへ転送した。そして転送された後、ギリギリの所で爆破し、カスタマーサービスは爆破に巻き込まれ、断末魔が響いていたが、生きているのか命を落としたのか不明な状況である…。


プププランドにあるデリバリーシステムは修理に手間取っていたが、一本のネジにより完全に直り修復完了した。その直後にナイトメア要塞に行っていたメンバーが戻ってきた(※)。プププランドで朝日を浴び、平和が訪れた…。


※この時一緒に要塞に行っていた筈のダコーニョとカワサキがデリバリーシステムから出てきていない。ナイトメア要塞からの脱出に失敗したかと思われたが、その後の平和が訪れたプププランドで朝日を浴びるというシーンにて二人がちゃんといるため、作画ミス、もしくは誰かの後ろに隠れていたと思われる。


……さて、ここまで書いたわけですが、どこかおかしいと思う所や矛盾があると思う所はありませんか?実際にDVDを観ていただくとより、分かりやすいかもしれませんが…。今回のこの話、矛盾が発生していたり、整合性が取れていない部分があるんですよね。


1.爆弾を仕掛けるシーン


敵の心臓部を叩く、というのはよくある作戦であり、むしろあのスターウォーズでもやるほど作戦的にはかなり有効的です。しかし、カワサキがこの作戦を提案した時点ではフームはいつ無事に戻ってくるのか、いつカービィがメタナイト達のところに合流できるのか全くと言っていいほど分からない状況でありました。通信機器を持ち合わせていなかった事も考えると、カービィやフームがどこで何をしているのか分からない状況でもありました。そんな中この単純な欠点を一番の切れ者であるメタナイトがそれを指摘していない上にトッコリがなんの疑問も持たずに時限爆弾のスイッチを押した為、「いつフームとカービィが無事に戻ってきてくれるのか分かっていないのに要塞を爆破させ、そのことにメタナイトが何も言わない」という不自然で笑えない矛盾が発生してしまいました。確かにトッコリは以前から他人への配慮が無神経なキャラクターとして押してはいましたが、ここまでくるとキャラクターどうこうというより脚本に疑問が出てきます。まあ、メタナイトに関しては、ハルバード発進の時点でも直前にもなって戦闘経験のないただの村人を人員に募集するなど短慮的な行動が見られた為、ナイトメアの攻勢に余裕が無くなっていた可能性もありますが…。


2.心臓部である司令室に爆破されたら要塞が機能しなくなるほど脆すぎる


攻撃面が強すぎると言われているデスタライヤーがあっさりとナックルジョー達に三機も奪われていた上に上記のように敵の心臓部を叩くのは作戦的には有効的とはいえ…。(心臓部とはいえ)司令室が攻撃されただけで轟沈していたため、「防御面がめちゃくちゃ脆いなら爆破する意味はあったのか?あったとしても心臓部ではなく、別の所で爆破してもあっさりと落ちていたのでは?」といったツッコミがありました。同時に「自慢の魔獣がごまんといるのに自慢の魔獣達を何故メタナイト達にけしかけなかったのか?」といったツッコミもあります。


3.あっけなくやられたナイトメアと唐突に出てきたスターロッドとワープスターとの関係


ナイトメアはスターロッドカービィに変身した途端狼狽えだしました。スターロッドに関して、なんの伏線もなく突然出てきていきなりナイトメアを倒して突然消えました。公式サイトからは「夢の中で倒せる幻のアイテムなのでは?」くらいにしか説明されておらず、「ナイトメアを夢の中で倒せるアイテム」という印象の域を出ていません。過去の回でどこかしらに伏線を張られていたら熱い展開になっていた可能性が高かった為、非常に勿体ないと感じる視聴者さんが少なからずいたと聞きます。また、ナイトメアとの戦いに関してもどこか淡白で盛り上がりがいまいちありません。それどころか、「自分の敵はカービィだけ」と思い込みカービィへの貢献度が高いフームやその弟のブン、銀河戦士の生き残りであるメタナイトをまともに対処していなかった事もあり、特に貢献度が高かったフームを催眠術をかけてカービィを追い詰めるなりなんなりすれば良かったのにそれをしなかったため、スターロッドカービィにやられ、「自分の詰めの甘さと己の能力の慢心さであっけなくやられたラスボス」という残念なレッテルを貼られました。(まあ、もしかしたらナイトメアがラスボスだったこと自体が原作の通りスターロッドで決着を着ける事への最大の伏線だったかもしれませんが…。まあ、スターロッドとワープスターとの関係性についての説明は着かないですが…。)


4.何故キュリオは設計図無しで98話で壊されたデリバリーシステムを100話で修復出来たのか?


デリバリーシステムといえば普段はデデデ城にある物でデデデが定めた国家機密の機械(?)のはずであり、一応ですが普段は公に公開されていません。(一応過去の回でデデデ城でカラオケ大会を開くという内容の話があり、その中である人物がデリバリーシステムから別の部屋へ転送されるというシーンがあり、転送されている場面を村人達が目撃していましたが、その回から最終回までだいぶ時間が経っているため、忘れている可能性もあります)にもかかわらず、キュリオもといキュリオの周りにいた村人達は最初からメタナイト達がこのデリバリーシステムを使って帰ってくるということを知った上で修理をしていました。更に設計図無しで綺麗に直していました。まあ、もしかしたらメタナイトかフームがキュリオに「もし戦艦ハルバードが敵方の攻撃に耐えられず破壊されてしまい、ハルバードを使って帰るという手段を失ったら玉座の部屋にあるデリバリーシステムを使って帰ってくるかもしれない。先の襲撃で壊されてしまったため、修理をしてほしい。」と頼んでいたかもしれません。もしそうならわざわざそのシーンを描く必要はないかもしれないですしね…。


これ以外にも細かいミスがありますが、長くなってしまうため、割愛します。


ネタとしてのものを除くツッコミどころやちょっとした作画ミス、矛盾点については17話、32話、35話と36話、61話に発生しています。(※)ですが、この100話を除くとそういった頻度はかなり少なく、品質の高い作品であることが分かります。ですが、この100話だけは話が異様に駆け足でミスも多く、気になる人はとことん気になってしまう回になっています。何故急にこんな事になってしまったのか、それには悲しい理由があったんですよね。


実は当時アニメカービィの監督を務めていた人の奥さんが危篤であり、今日明日が峠だと医者の方に言われていた事が桜井政博さんが入れた電話にて発覚したんですよね。桜井政博さんが実際に電話を入れるまでの間、脚本制作に専念するためにスタッフさんの誰にも奥さんの危篤について話してなかったんですよね(因みに台本を読んだ桜井政博さんはおそらく上記の矛盾点を感じたため連絡入れたと思います)。いつ最期を迎えてしまうか一切分からない状況下の中で大慌てで脚本を仕上げたため、「後で必ず調整する」としか言えず、内容の辻褄を合わせるほどの余裕はとてもじゃないけど無かったというのが真相です。


放送当時、やはりというかこの不自然な出来の悪さを残念がる声は飛び出ましたが、前述の桜井政博さんの話で裏事情を知ったファンからは仕方のない不幸だったとして受け止められた様子です。また大きな批判や事を荒立てる声が噴出しなかったのは、当時の視聴者層に幼稚園児や小学生といった子供が多く、大人のように品質にこだわらず厳しい目を向けていなかったこと、細かい違和感を特には気にせず純粋に楽しんだ人が多かった事も大きいです。(特にナイトメアとの決戦で、スターロッドを手にしたカービィが叫ぶシーンは非常にかっこよく、評価が高い。)もし、何かにつけ炎上しやすい昨今の時代にズレて放送されていたら、果たしてどうなっていたかは分かりません。ある意味で本作は最後の最後まで、時代と視聴者の寛容さに救われた面もあったと言えます。


なお、「そもそも脚本や最終回がどうこうというより3話で完結させる事自体無理があったのでは?」という意見があります。この最終回よりもだいぶ前の時期、桜井さんのハル研自主退社(独立)決定が突然発表されていました。急な退社決定によってスケジュールに無理が生じた……と思われがちですが、過去の回で「アニメは一週間では作れない」とネタにしていたように、アニメは世に放送される何か月も前に制作が行われるものであるため、恐らく桜井氏の発表よりもずっと前から100話完結の路線が決まっていた可能性は高いです。


※17話はパームがメームに指輪を渡そうとするがその前にカービィがその指輪をどこかに落としてしまったという内容の話で、終盤の方で指輪を飲み込んだ魚をカービィが取り押さえ指輪を吐き出させるというシーンがあり、そのシーンでカービィの足が本来は赤紫なのにピンクになっていた。32話はエスカルゴンが虫歯になって痛い治療を受けていてそれを見ていたデデデは笑っていたが、翌日デデデが虫歯になり、治療を受けたくないからと逃げ回る話であり、無料で治してくれる善良な魔獣を何故かふっ飛ばすというツッコミが入った。35話と36話は前編後編という形になっていて、村で車のレースをするという内容だが、前編では12時間耐久レースという触れ込みだったはずなのに後編では何故か12週の周回制になっていた。61話は太ったデデデとカービィをダイエットさせるという内容だが、終盤のマイクカービィの能力で城が崩れ落ちるというシーンでその場にいたはずのワドルディとワドルドゥ隊長がいないというミスが発生。


今回は以上です