私の夫はすごい。

 えらい立場になりたいというハングリー精神とかないし、ADHDぽいところで仕事でも苦労したりしているけれど、ASDや精神疾患、それにまつわるストレスを受けた時の対処法に優れた支援ができる。

 仕事は事務職で、人に親しまれやすい=なめられやすいというところがあって、あだ名で呼ばれているしいじられてもいるけれど、何かあったときは周囲が人間性を見てサポートしてくれている。らしい。何気に大企業で、なかでも忙しい部署だから帰宅は11時ごろになることもままある。おかげで残業代等もあって、年収は同年代に比べたら「事務職なのにそんなにもらえんの!?」ってくらいもらえている。

 うちは別財布で、マンションのローンはペアローン。貯蓄もお互いが同じ口座に入れている。休職中だから、少し減額してもらっている。そこから、私が車の燃料を入れる時やペットのエサ砂など、共用のものを買う時は家族カードで購入。夫は自分のカードからお金を遣ってくれている。そのうえで、夫が水道光熱費に携帯代も負担してくれていて、一緒に外出したら、ほぼ全部の費用を負担してくれている。助かる。

 調子が良い時悪い時不安定な私と比べて、コンスタンスに家事をこなす。休日以外はお互いに食事を自分で用意するスタイルだけど、めんどくさがる私はスーパーの惣菜などを買ってきてもらうことも多い。休日は夫が料理して、普段なかなかちゃんと食べていない野菜を食べるように促される。

 洗濯も朝か夜に回して(防音がきちんとしているので、両隣からは音が聞こえたことがない。)朝か夜に取り込む。毎朝猫の砂が飛び散った部屋中を箒ではいて、猫のトイレとエサの支度をしてから出勤。

 お休みの日は排水溝などの掃除なんかもやってくれるようになっており、私が起きていたら(休みの日は起きるのがとにかく遅い)掃除機をかけて、クイックルワイパープラスウタマロスプレーで床掃除。トイレ掃除は完全に夫の担当。壁もトイレ用のクイックルワイパーで拭いている。

 棚とか家具裏とか家具下とか、細かいところは私が気づいたらやっている。最初の頃は掃除も下手だったし家事も私の方が比率が高かったけれど、病気になってからは、とにかく夫がレベルアップしていっている。

 真価は、こういうことをコンスタンスにできるところ。私はムラッ気があって、「そろそろ除湿剤を〜排水溝も細かく掃除して〜壁の手垢とか〜」という感じで、私が毎日コンスタンスにやっているのは夕方の猫の餌やりで容器をきちんと洗って補充してあげることくらい。やる気が出ている時にはバリバリやるけれど、家事は毎日の積み重ねが大事だと思う。

 そういうことができるだけでもすごいと思うけれど、パニック発作が出るようになってからは支援者として、かなりのサポートを受けるようになった。

 予定が急に変わることが苦手だから、外出する時には事前にある程度「何を何時にどうするか」を相談のうえで決めて、外出先では私の疲労度をみて発作が起きるか起きないかを見極めて対応してくる。

 この前は結婚記念日ディナーに行ったのだけど、その時についお酒を飲んでしまったからか(薬の関係でほんとはダメ。)、テンションがおかしかったからか、電車で行く場所だったからか、帰宅時の電車が予期不安に繋がったか。そのせいで、食事が終わった時に急に発作が起きてしまい、腕を杖に見立てて誘導されて、タクシーで帰宅。

 この夏はどっか行きたいね、ということで、「逆転裁判」が好きな私はジョイポリスを希望し、電車だと発作に繋がるから車で移動。入場券(障害者手帳で無料)と別に、アトラクション別に課金?するかフリーパスを買うかという判断を迫られたけれど、夫が「この混雑のなかであなたがフリーパスの金額以上に乗り物の行列に並んで乗ってってことができるとは思えない。」という判断で、個別に購入することに。

 結果的に判断通りで、大好きな「逆転裁判」も3話分もアトラクションを楽しめるようになっていたけれど、そもそも一話ごとに並び直さなければならず。そして館内にある筐体に逐一並んでゲームを進める、という内容だったので、一話分だけでいっぱいいっぱい。後は列が少なめだった占いのところを行っただけ。行列が苦手な私には、それで腰をやられて、もう一つアトラクションにトライしていたら発作が出るレベルの状態。「じゃあこれで帰ろう。」と夫の判断で帰宅。

 この行き来も、最近はまっているウォーターボーイズを車内で観て過ごせるようにしておいてくれて、私が飽きないようにしてくれていた。

 夫は自分が行きたいだろう、趣味の野球観戦を候補に挙げることはない。なぜなら昔、誕生日プレゼントに観戦デートしたら、帰り際に発作が起きておんぶしてもらうことになったため。

 そういう感じで自分で行きたいというところを言うことはほとんどない(家に引きこもらないで外食しようよとか行ってくることはあるけど)ものの、珍しく「スパ行ってサウナ楽しみたいんだよね。」と言ったところが、私の好きなボディマッサージが豊富にあるところだったので、今年の夏はそこにも行く予定。

 最近は「メイが『夏休みだから〜』とか言ってずっと寝てるから、寝具の洗濯をしたくてもできないんだけど。」とぶつくさ言われているけれど、家事男子なところがえらいなぁ(他人事?)と思う。

 今日も夜に、恐る恐る「先輩が近くに来てるから飲みに来ないかって誘われているんだけど・・・行ってもいいかな?(予定変更が苦手な私の反応を恐れている様子)」と言うので、いろいろしてもらっている側としては飲み会ぐらい快く送り出さねばと「いいよ〜。ゆっくりしてきたら〜。」と言っただけで、「ほんとありがとう!」と感謝しまくってくる。

 そんなふうに私のことを考えすぎて、夫は買い物に行くたびに、何かしら私がはまっているものか好物を買ってきてしまう。

 今の時期だと桃かハーゲンダッツのアイスとミルクティー。「また桃買ってきたの。」と言えば、「俺がメイに何か買って帰るのは、もう病気だから。諦めて。」と言われた。太るから〜と何度も言ったけれど、こうして肥やされている。

 そんな私はたま〜に夫にラブレター?を書きます。ラブレターというか、感謝の手紙?

 夫が逆に書くことは恥ずかしいらしくてないけれど、私も直接言葉にするのは苦手なタチで、でもふだん相当手間暇かけさせていると思うから、ふと思いついたときに書いています。

 受け取ったら、夫はふだん仕事で持ち歩いている鞄にある、ファスナーつきのケースの中に入れて持ち歩いているそうです。

 その中身をいちど見てみた時、過去に送った手紙とともに、メンタルがめちゃくちゃだった時の訳のわからない暴言を書き殴ったメンヘラ紙片まであって、「こんなん持ち歩かないでよ!」と言いましたが、「勝手に見ないの! いいの!」と、謎のこだわりで捨てずにいられていて、ちょっとだけ恐怖心を覚えました。

 そんな感じで一緒に過ごして10年ほどの仲ですが、幼少期に甘えられなかった私はいま、夫に思う存分甘えられる生活が送られていて、病気で大変だけど、ある意味は幸せだと思います。


 長々と失礼しました。たまにこうして夫のよいところを振り返り、感謝の気持ちを忘れないようにしたいです。


※蛇足

 夏だな〜ということで「ウォーターボーイズ」のドラマをワンとツーも全話観終わったのですが、どちらも良かったです。映画版もそうですが、5人組がしっちゃかめっちゃかしながら難題を乗り越えることを繰り返し、ってのが共通点ですね。

 ワンはとにかく色々なトラブルが舞い込む度に、主人公たちが自分たちのことをそっちのけで解決に奔走する人の良さとか、それでメンバーにいる生徒会長が人の良さに絆されていくところとか、留年している口数が少ない人がどんどん打ち解けていくところとかが良かったです。

 ツーは前回が家族の支援体制も万全だったのと反対に、主人公と父の確執や、ヒロインと父とのすれ違いなんかがピックアップされていたように感じます。最初に主要メンバーとは別に加入したカラオケ5人組というメンバーがいるのですが、その鳥羽というキャラクターを演じた滝口幸広さんという方が、舞台俳優を長年やっていたのですけど。直接舞台を観に行ったことはないものの、ちょっと好きで。でも、2019年に若くして亡くなられてしまっていたのが寂しかったです。

 彼の遺作、といったらアレですが、元気な姿が見られて良かったです。なんか一人だけモブにしてはイケメンで体格もいいのが「逆にキャストミスでは?」と思ったりしました。