前回(発達性協調運動障害~字が枠からはみ出していません?~ | 発達闘病先生 (ameblo.jp))、箱型の筆箱だと「丁寧な鉛筆の持ち方の絵が貼れる(内蓋がよろし)」と述べました。

 

 小学生の間は、少なくともこちらを使うべきだと思っています。

 

 それは「ユニバーサルデザイン」だからです。

 

ユニバーサルデザイン7つの原則

ユニバーサルデザインには、以下の7つの原則があるとされています。

原則1 公平性
簡単に手に入り、誰でもいつでもどこでも使用できること
原則2 自由度
たとえば右利きの人でも左手の人でも思い通りに使えるなど、柔軟に使用できるもの
原則3 単純性
使い方がとても簡単であるもの
原則4 明確さ
使う人の知りたいことが、わかりやすく説明されているもの
原則5 安全性
仮に使用を間違えても重大な結果にならないもの
原則6 持続性
少ない労力で効率的に、体力のない人でも楽に使える
原則7 空間性
使う人の体の大きさや姿勢に関係なく、誰にでも使える大きさ、広さがあるもの

ユニバーサルデザインとは?7つの原則や街中にあるものなど [ボランティア] All About

 

 具体的に箱型(学童用)の何が良いかというと、

 

 

①鉛筆を5本差し込めて、鉛筆用のキャップが必要ない。

 子供はよく物を落とします。それはもう日常茶飯事。そして物を失くします。これも日常茶飯事。けれど、箱型だとぱっと見て鉛筆が失くしてしまっているかとか、鉛筆の長さの減り具合がすぐに分かり、鉛筆(消しゴムなども)の用意するタイミングも見計らいやすいです。

 

 くもんのこども鉛筆も、キャップこそ必要になりますが、箱型の筆箱に入ることは実証済です。

 

 鉛筆キャップはとにかく失くしやすくて、落ちているのを気付かずに踏んで他の子が「ごめんなさい! 弁償します!」なんて、他の子に罪悪感を与えてしまうことも。他の子も巻き込んじゃダメですよね。

 

②落としにくい。

 しっかりした形なので落ちにくいのです。私は指導時に筆箱の置き場からノート、教科書の置き場も指定します。利き腕や逆の腕の方に置いていると、肘で落としてしまいがちなので。そのため、筆箱は机の前方に置いておかせます。それでも落としてしまったとしても、鉛筆などがとっちらかるということが少ないです。ポーチ型だと中身が全部出てしまいますので。

 

 

③沢山の収納力と機能力。

 三角定規も鉛筆の補助具も入ります。そして鉛筆削り器が付属しているものもあって、短くなったらすぐに削れる便利さ。更に、最近は引き出しみたいなものがついていて、教科書を立てて乗せられることもできます。学童用の筆箱もずいぶん変わりました。

 

④汚れにくい。

 ポーチだと、中にぽいぽい突っ込むので汚れやすいです。キャップを無くすことも多々なためです。箱型だと、決まった場所に決まったところに入れるので汚れにくいです。

 

⑤整理整頓能力が身に着く。

 どこに何をしまうか決めて元に戻すという繰り返し。それが箱型がなら可能です。強制的にそうしなければ片づけられないようになっているからです。この基本的な力が身に付けられるのも良いですね。たまに色紙で作った学業とは関係のない折り紙を入れている子もいるので、それは気が散る要素なので、私は見かけたら持ち帰るか捨てさせるかしています。

 

⑥ランドセルにしまいやすい。

 ポーチだと形の大きさも様々ですが、とにかく箱でできているので入れやすいです。ポーチだと基本的に三角定規なども入るようにするため、大きなものを選びがちのようで、一生懸命に押し込んでいる姿を見ます。やめた方が良い。

 

⑦ポーチだと壊れやすい。

 上記にもあるように、ポーチは柔らかい素材でできているので、鉛筆が折れてしまったり、定規が折れてしまったりというデメリットがあります。扱うのが子供だからこそですね。それこそ、ポーチ自体も壊れやすいと思います。

 

⑧安全。

 縦型のポーチもありますよね。ものすごく机から落としやすそうな。あれって、鉛筆などの文房具が上を向いているので、そのために手をついた拍子にケガをしてしまったり、倒れ込んだ先にあって顔などを傷つけてしまったりすることがあります。

 

⑨授業の妨げにならない。

 箱型でも色々と模様があるなどして、デザイン性がありますが、ポーチのようにストラップがついているようなことがないので、比較すると気の散り具合は箱型の方が少ないでしょう。

 

⑩必要なものがすぐに取り出せる。

 どこに何があるかハッキリしているため、箱型だと探る必要もなくパッと取り出せます。

 

 しかしポーチ型だと、ガサゴソと探って取り出す必要があるので時間差が生まれます。

 

 この時間差、迷惑かなー・・・。と内心思ってしまいます。

 

 

 様々な理由を挙げました。私は懇談会や学級通信でも、何なら学年便りでも「箱型を使うようにしてください。」と明記、明示します。理由を上記のように長々とは述べませんが、「ユニバーサルデザインで、キャップを落としてしまうとか、鉛筆の減り具合とかが分かるからです。」程度の説明は行います。全部語るには、他にも語らなければならない部分もあり、時間が足りないからです。

 

 それなのに・・・保護者の方は、子供に「みんなも使っているから!」「ふうん(そういうもんなんだ?)」とか、特に何も考えていなくて子供が「コレが良い!」と言ったものを与えてしまいます。私の学級では8~9割は私の言ったことを守って箱型を使ってくれていますが、1~2割の児童はポーチ型を使っています。

 

 「アレだけ言っているのに・・・なんで・・・。」と落胆です。

 

 ポーチだと周りに迷惑をかける可能性がある。お子さんの甘えに応えず、きちんと実用性を考えて欲しい・・・そう思います。

 

 ちなみに、きちんと箱型を守っている保護者から「なんであの子はポーチを使っているの? こっちは守っているのに!」的なことを言われたことがあります。

 

 でも、学校としては学用品を「これを買え。」と強制することができないのです。教材は一括して買いますが、筆箱は範疇の外なのです。だから、ポーチを使っているからといって「買い直せ。」なんて指示は出せないのです。学校のきまりとしても「箱型を使いましょう。」と明示していても、破る保護者はそれだけの倫理観ということなのです。

 

 児童は「お姉さん・お兄さんぽいポーチ」に憧れを抱いているようです。でも、それは単なる甘え。保護者は「アレがいいの~!」というワガママについ負けて応えてしまう。それでよいのでしょうか。パワーバランス、家庭内で崩れていませんか? ワガママが通用すると思わせる子にしていませんか?

 

 箱なのは、こういう理由があってね・・・と、きちんと諭し、中学生まで(何なら身の回りの整理整頓が苦手なADHD傾向のある子供には中学でも使った方が良いと思いますが、さすがに色々な学校の子が集まる中で使い続けるのは拒否感を覚えることでしょう。)箱型だよ。と諭して欲しいなと思います。

 

 とりあえず、ポーチにしても、最近よく見かける縦型は辞めて欲しいです。アレで事故が発生した事例を聞いたことがあります。それこそ、目に刺さりかねない(顔に傷がついた)ような事態も聞いたことがあります。他の子まで巻き込んでまで、好きなものを好きなだけ使わせますか? とにかく、周囲の子に迷惑をかけるようなことはないようにしていただけたら、と思います。