「課題分析標準項目」各論その2は「言葉の整理」です。

 

「課題分析標準項目」は平成12年の制度当初から示されたもので、約四半世紀を経て時代に合わない表現も目立つようになりました。

 

なかでも「(認知症による)問題行動」という言葉は、「支援者側から見て”問題”と感じる行動」を意味するものであって、今はそういう認識を正される時代です。今回、「認知機能や判断能力」という項目の中に含められています。

 

そして、私がもっとも良かったと思うのは「7主訴」の項目です。この中に「要望について記載する項目」とありますが、この「要望」という言葉につよい違和感を感じていました。

 

ながらく悪いケアマネジャーの見本として「御用聞きケアマネ」が挙げられていました。利用者や家族の要望のみを聞き、必要なサービスを調整しない、または不必要なサービスを過剰に提供する、といったことが指摘されていました。

 

それなのに「要望」をアセスメント項目に入れるってなんなん?と思っていました。誤解を招く表現だと思っていました。今回「意向」という言葉に改められたようですが、言葉の意味を考えても「意向」のほうがずいぶんをふさわしい気がします。

 

今日から「課題分析標準項目」改正の各論を、重箱の隅をつつくように(笑)論じてみたいと思います。

その1は「項目の整理」について。

 

自分のアセスメントを振り返るため「課題分析標準項目」をにらめっこするたびに、(重複してるところがいくつもあるな~)と思っていました。

 

改正前の項目に、たとえば「ADL」の項目がありますが、それとは別に「排尿・排便」「食事摂取」が項目立てしてあることなど。「排泄や食事はADLのひとつじゃん」って、いつも思っていました。

あとは、「認知」と「問題行動」が別々になっていて、項目順で言うと「認知」が13、「問題行動」が20。記入する内容はちがっても、お互いが関連深いはずなのでつづきで項目立てされていたほうがいいのになあ、と思っていました。

 

そんな重箱の隅だったのですが、それぞれの項目にどんな内容のことを書けばよいか示されていたり、認知と行動心理症状が一つの項目にまとめられてたり、そんな整理がされています。

 

そういうところから見ても「『課題分析標準項目』熟成されているな~」と感じました。

10月16日、厚生労働省から「介護保険最新情報」のVol.1178Vol.1179が発出されました。

 

「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目」の一部改正について、Vol.1178では改正の内容、Vol.1179ではQ&Aが書かれています。

 

この改正内容について、いろいろなご意見があろうかと思いますが、私の見解を書いてみようと思います。

 

 

総論を話すと全体的には好印象を受けました。項目のそれぞれに聴取すべき具体的な内容が書かれているからです。

「ケアマネジメントの標準化」に寄与すると思います。

誤解の無いように付け加えれば、「ケアマネジメントの標準化」というのは、「どの人も同じようなケアプラン」という意味ではなく、「ケアマネジャーによって仕事に差が出にくい」という意味で私はとらえています。

 

だから、おもにケアマネジャーになりたての新人さんの仕事を助けてくれると思います。

 

ケアマネジメントプロセスの中では「アセスメント」がいちばん大事だと私は常々言っていましたが、聞くべき項目がこれだけ網羅してあれば、抜け漏れもしにくいと思います。

優れたケアマネジャーなら、今回これだけ丁寧に項目が示されていなくても、前から聴取していた内容なので、今以上にアセスメントに手間が取られることはないでしょう。

 

また、どの利用者にもこれだけのことを聴取しなければいけないか?ということに対しては、Q&Aでは「否」と書かれていました。

 

「ケアマネジメントの質を向上させる」という言葉には違和感を感じている私ですが、「ケアマネジメントの標準化」に寄与する今回の一部改正は良い改正だと思います。

 

次回以降、各論を書いていこうと思います。

 

 

 

 

久しぶりにまじめにケアマネの記事を書いたような気がします(笑)