「課題分析標準項目」改正の各論その3は家族に関することです。

 

改正前は、「21 介護力」という項目に家族に関することを書くことになっていました。「介護力」とは、家族が利用者を介護する力がどれだけあるか、という視点ですが、「どんな人には介護力が有って、どんな人には無いか」という目安が示されていませんでした。

 

改正後は、「本人との関係」「居住環境」「年代」「仕事の有無」などを記載するように示されており、それらを総合して「介護力が有るか・無いか」の判断基準にできるようになっています。

 

また、家族については「21 社会との関わり」の項目の中にも「家族との関わり」について書くように示されており、利用者本人が家族という単位も社会的なものであり、そこでの役割の有無などにも視点を置くようになっています。

動作的にどうしても活動範囲が狭まってしまう要介護者に対して「めざすところは地域への参加です」といっても、ハードルが高すぎて「絵に描いた餅」になってしまう事例がありましたが、家族という社会単位を意識させることで現実的なハードル設定にできるようにも思いますし、地域参加へのスモールステップにもなると思います。

 

話が少しずれますが、ケアマネジャーの法定研修の改正も予定されていますが、そのカリキュラムの中に「疾患別のケアマネジメント」を学ぶようになっています。医療面を強化した学びになるのも良いけれども、人の生活は身体的な部分だけでなく、社会的な部分も大切なのにな、と思ってたところでした。しかし、今回の「課題分析標準項目」の改正をみて、家族や社会への視点もおろそかにしないようになっていたのでホッとしました。

 

 

 

以上の3つの各論で「重箱の隅」つつきは止めにして(笑)、次からは今回の改正を将来的な視点でどうなるか考えてみようと思います。

「課題分析標準項目」各論その2は「言葉の整理」です。

 

「課題分析標準項目」は平成12年の制度当初から示されたもので、約四半世紀を経て時代に合わない表現も目立つようになりました。

 

なかでも「(認知症による)問題行動」という言葉は、「支援者側から見て”問題”と感じる行動」を意味するものであって、今はそういう認識を正される時代です。今回、「認知機能や判断能力」という項目の中に含められています。

 

そして、私がもっとも良かったと思うのは「7主訴」の項目です。この中に「要望について記載する項目」とありますが、この「要望」という言葉につよい違和感を感じていました。

 

ながらく悪いケアマネジャーの見本として「御用聞きケアマネ」が挙げられていました。利用者や家族の要望のみを聞き、必要なサービスを調整しない、または不必要なサービスを過剰に提供する、といったことが指摘されていました。

 

それなのに「要望」をアセスメント項目に入れるってなんなん?と思っていました。誤解を招く表現だと思っていました。今回「意向」という言葉に改められたようですが、言葉の意味を考えても「意向」のほうがずいぶんをふさわしい気がします。

 

今日から「課題分析標準項目」改正の各論を、重箱の隅をつつくように(笑)論じてみたいと思います。

その1は「項目の整理」について。

 

自分のアセスメントを振り返るため「課題分析標準項目」をにらめっこするたびに、(重複してるところがいくつもあるな~)と思っていました。

 

改正前の項目に、たとえば「ADL」の項目がありますが、それとは別に「排尿・排便」「食事摂取」が項目立てしてあることなど。「排泄や食事はADLのひとつじゃん」って、いつも思っていました。

あとは、「認知」と「問題行動」が別々になっていて、項目順で言うと「認知」が13、「問題行動」が20。記入する内容はちがっても、お互いが関連深いはずなのでつづきで項目立てされていたほうがいいのになあ、と思っていました。

 

そんな重箱の隅だったのですが、それぞれの項目にどんな内容のことを書けばよいか示されていたり、認知と行動心理症状が一つの項目にまとめられてたり、そんな整理がされています。

 

そういうところから見ても「『課題分析標準項目』熟成されているな~」と感じました。