ブログを始めようと思った動機をお話ししましょう。
何の目的で私がこのブログを始めたか、を。
結論から言えば、「医療知識を伝えたい」なんです。
私は何度も書いているとおり、「福祉系ケアマネ」です。
昔は「医療嫌い」でした。
20代のころ、私は特別養護老人ホームに勤務していました。
近くに痴呆(今でいう認知症)患者を入院させる精神科病棟があり、
よく出入りしていました。
その精神科病棟も例に漏れることなく異様な場所でした。
病棟に入るのにカギを開けないと入れない、
一人個室にむき出しのトイレがある、
窓に鉄格子がはめ込んである。
入院患者さんはひとところに集められている、
座ったまま微動だにせず、口からよだれが流れたままになっている、
歩く姿もボーッと歩いている、
廊下に横たわっている。
そして病棟全体にただよう排泄物のにおいと、淀んだ空気。
喚起もしていないのでしょう。
この状況を見て「医療は役に立たないじゃないか」と思いました。
これが、医療嫌いになったきっかけだと思います。
医療なんて人間の病気の部分しか看ないじゃないか、
「全人的」に見ないといけないじゃないか、
という思いが積もっていきました。
私は「老人や障害者に『よりよい生活』を送ってもらいたい」
という崇高な目的を持って仕事をして、ときには上司や同僚と衝突しました。
それでも『よりよい生活』を守るためには自分がやらないといけない、という
正義感、使命感を持ち続けていました。
でも、一人でそれを実現させることは不可能で、
それを周りのせいにしていました。
アオかったんです、ケツの青い若造だったんです(・・。)ゞ
転機は「バリバリの福祉系」法人に転職したときにやってきました。
そこの実践は、障害者の自立(自律)を本気になって目指すところでした。
法人の理念が自分の信念と合致し、「ここは俺の居場所だ」と確信しました。
「ここだったら、俺の信念を実現することができる」と。
その法人に勤めて、初めてカンファレンスをしたときのことです。
私の担当する人をどう支援すれば自律に近づけることができるか、
ということを施設の職員全員で話し合います。
法人の理事長も顔を見せました。
はじめに私がこの人のひととなりを説明し、方針を述べます。
これは、ケアマネの仕事で言えば、
「アセスメント→ニーズ→ケアプラン原案」を提案したところです。
1~2ヶ月かけて情報を集めました。
日頃の施設での様子、家での様子、役場からの情報。
心あたりのあるところはすべて聞いて回りました。
自分には自信がありました。
はじめに理事長が質問の口火を切りました。
「この人はてんかんがあるが、タンザイチリョウか、タザイチリョウか?」。
私はポカーンとしてしまいました。聞いたことがない言葉。
「ああ、だめだな、これは。それを調べてから次に進もう。」と
理事長に言われて、私のカンファレンスの時間は終わりました。
質疑応答の時間は、その質問だけ。
「タンザイチリョウか、タザイチリョウか」とは
「単剤治療か、多剤治療か」ということ。
つまり、てんかんの薬が1種類か、数種類か、ということなのです。
てんかんを持っている人は、発作が起きないように微妙に薬の調整をしています。
日常生活を安全に過ごすためには発作を起こさせないことが第一条件なのです。
(続く 。)
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