結婚式は、新郎・新婦さんのみならず、
その場に集う人の色んな想いが交錯します。
先日司会を担当した披露宴で、
心の琴線に触れる瞬間に
立ち会わせてもらいました。
新郎さんのお父様が余興として、
ピアノ演奏をしてくださることになりました。
そして迎えた結婚式当日。
演奏前にお父様がこんな話をされていました。
「息子(新郎さん)の母親、
すなわち私の妻が使っていた
電子ピアノが我が家にはあります。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、
妻は息子が幼い時に他界しています。
私も息子もずっと触れることのなかった
電子ピアノ。
今回こうして息子が結婚式をするとなって、
何か賑やかしで私にできることがあればと
これまで一切触れていなかった電子ピアノを
練習してまいりました。
音楽に精通された方もこの中にはいらっしゃると
聞いております。
そんな皆様が聞いたら
さぞや失望されるレベルではありますが、
お祝いの席に免じてお許しいただき
しばしお耳をお貸しください」
こう切り出してピアノを弾き始めたお父様。
演奏されたのは、山口百恵さんの「秋桜」
ピアノだけではなく、
合わせて歌も披露してくれました。
普段練習されていたのが電子ピアノ
ということもあり、
勝手の違うピアノに戸惑いながら
緊張も相まって途中詰まったりしながらも、
一生懸命演奏されるこの後ろ姿。
さらにはお父様のなんとも優しい歌声と共に
歌詞も相まって、気付いたら涙が出てました。
これは司会の私だけではなく、
会場にいる多くの方が同じように
感じたようです。
演奏の途中にご親族が、
新郎さんの元にお母様の写真を
持ってきてくださいました。
それを両手でそっと抱えた新郎さん。
そこから堰を切ったように、
静かに泣き始めたんです。
お父様のピアノの音色と歌声、
新郎さんの涙。
同じ空間に身を置けたことを
心から感謝してしまいたくなるくらい、
それはそれは優しい時間が流れていました。
きっとそこには亡くなったお母様も
いてくれたようにすら感じました。
想いのこもった音色や歌声には
叶わないと痛感させられました。
その場にいる人も、
その場にはいなくとも想いを寄せる人、
色んな人の気持ちが交錯する場である
結婚式。
こうして心の琴線に触れる音色を
聞かせていただくのは、まさに役得です!
本日も結びまでお読みいただき
ありがとうございます。