7月2日で、株式会社はこは創業11周年を迎えます。
10年という節目を越えて、20年に向けた折り返し地点に立ったような感覚があります。
マラソンで言えば、折り返し地点を回ってからの後半戦。ここから先のほうが、きっとまた違う難しさがあるのだと思います。
会社を続けるというのは、思っていたよりもずっと大変です。
独立したばかりの頃は、仕事をつくること、売上を立てること、目の前のお客様に価値を返すことで精一杯でした。
もちろんそれは今も大切です。
ただ、11年続けてみると、「会社を続ける」ということには、それだけではない難しさがあるのだと分かってきます。
今日は、はこを11年間続けてきた中で、今だから言えることを書いてみようと思います。
組織の成長には、思っている以上に時間がかかる
会社は、人を採用すれば大きくなるわけではありません。
人が増えれば、できることは増えます。けれど同時に、考え方の違い、役割の曖昧さ、情報共有の難しさ、判断基準のズレも生まれます。
組織をつくるというのは、単に人数を増やすことではなく、会社の中にルールと役割をつくり、それがきちんと機能する状態をつくることです。
そして、ここには分かりやすい正解がありません。
同じ制度を入れても、会社によってうまくいくこともあれば、まったく機能しないこともあります。外部のプロに入ってもらえばすべて解決する、というものでもありません。
大事なのは、その組織にいる人たちのこと、やっている事業のこと、会社が大切にしてきた価値観を理解したうえで、「今の自分たちに合う形」を考え続けることなのだと思います。
人との出会いも、ほとんどは偶然です。今いるメンバーと、同じタイミングで、同じ状況でもう一度出会える可能性は高くありません。
そして、良いチームになるまでには同じ時間をともに過ごす時間がです。
そういう意味では、時間をかけてきたからこそ残る強さがあります。
組織は、急には育ちません。
でも、時間をかけて育った組織には、簡単には真似できない粘り強さがあるのだと思います。
経営者は、個人と法人を切り替える練習が必要になる
会社を続ける中で、ずっと難しいと感じていることがあります。
それは、経営者として「個人」と「法人」をきちんと切り替えることです。
これは言葉にすると当たり前のように聞こえます。
けれど実際にやってみると、簡単ではありません。
特にお金の問題は、この境目をどう整理できるかが、会社のガバナンスとしてもとても重要になります。
これは自分のお金なのか。それとも会社のお金なのか。
頭では分かっています。けれど、人は弱い生き物です。目の前に使えるお金があると、つい「使ってもいいのではないか」と考えてしまうこともあります。
だからこそ、ここは練習が必要です。
経営者としてお金にどう向き合うか。個人としての自分と、法人の代表としての自分をどう切り分けるか。
会社として「残すお金」と「投資すべきお金」をきちんと分けて、ちゃんと使い切ることが出来ているのか?
まだ投資すべきが上手に出来ていませんが、ちゃんと整理して考えられるようになってきたのは、ここ数年のことのような気がします。
経営は、きれいごとだけでは続きません。でも、きれいごとを捨ててしまっても続かない。
法人の意味は組織で価値を出し、その価値を働く人に再配分出来る構造を作ることでもあります。
だからこそ、お金や権限や責任との向き合い方は、時間をかけて身につけていかないといけません。
時間が経てば、人はちゃんと老いる
もうひとつ、あえて書いておきたいことがあります。
時間が経てば、人は老います。
当たり前のことなのですが、経営をしていると、この事実を意外と忘れがちです。
私が独立したのは35歳のときでした。少し遅いタイミングだったと思います。
そこから11年が経ち、今は46歳です。
10年は、思っているよりも早く過ぎます。
そして10年経つと、体はちゃんと変わります。
体力は落ちます。老眼も来ます。耳も少しずつ遠くなります。若い頃と同じ感覚で、同じ量を、同じスピードでこなせるわけではありません。
これは悲観的な話ではなく、前提として受け入れておいたほうがいいことだと思っています。
経営者も、独立した人も、自分の時間と体力を資本にして走り出します。けれど、その資本は永遠ではありません。
だからこそ、今日が一番若い日であるという言葉は、本当なのだと思います。
やりたいことがあるなら、先延ばしにしすぎないほうがいい。
一方で、長く続けたいなら、自分が変化していくことも前提に入れておいたほうがいい。
会社を続けるということは、自分自身の変化とも向き合い続けることなのだと感じています。
10年を越えると、会社のリスクは変わる
創業から10年までは、「市場に存在を許されるか」の勝負だったのだと思います。
仕事をいただけるのか。
お客様に価値を返せるのか。
売上を立てられるのか。
会社として生き残れるのか。
よく「創業10年までの生存率」のような話があります。もちろん簡単なことではありません。ただ、やってみると、10年続けることだけがゴールではないことにも気づきます。
10年を越えてからのリスクは、「潰れるかどうか」だけではありません。
今の私が感じているリスクは、大きく3つあります。
1つ目は、創業者依存のまま会社が止まること。
2つ目は、主力事業の賞味期限に気づくのが遅れること。
3つ目は、組織が大きくなったのに、学習速度が落ちること。
会社は、最初は創業者の熱量で動きます。それは悪いことではありません。むしろ創業期には、その熱量がなければ前に進めない場面も多いと思います。
ただ、いつまでも創業者だけに依存していると、会社はどこかで止まります。
また、今うまくいっている事業が、これからも同じように価値を持ち続けるとは限りません。市場も、お客様の課題も、情報環境も変わっていきます。
そして組織が大きくなるほど、本来は多くの知恵が集まるはずなのに、逆に意思決定が遅くなったり、学ぶスピードが落ちたりすることがあります。
10年以降の会社に必要なのは、過去の成功を守る力だけではなく、会社自身が変化できる構造を持つことなのだと思います。
20周年に向けて、はこが目指したいこと
20周年まで、あと9年です。
はこは、ありがたいことに次の10年のスタートを切ることができました。
だからこそ、ここからは自分のためだけではなく、お客様、メンバーひとりひとり、そして社会にとって価値のある会社を目指していきたいと思っています。
ただお金を稼ぐ会社ではなく、社会に対して価値を生む会社になる。
単に今ある仕事を回すだけではなく、「次の困りごと」を見つけて、それを解ける会社になる。
独立したとき、はこの目標は「今日よりもより良い明日を創りだす」でした。現在は、「誠実な想いがまっすぐ届く社会を作る」を掲げています。
インターネットの普及によって、人が扱う情報量は爆発的に増えました。便利になった一方で、レコメンドの仕組みによって、ひとりひとりに偏った情報が届きやすくもなっています。
そんな時代に、どんな情報に触れ、何を選択するのか。そこに対して、より良い影響を出せる会社でありたいと思っています。
粛々と続けたから分かることがある
会社を続けてきて思うのは、「続ける」ということ自体が、想像以上に難しいということです。
続けるから分かることがあります。
続けたからできる差別化があります。
続けてきた時間が、会社の信頼や文化や強さになります。
でも、続けるだけでも難しい。
そして、これからも続けるのはきっと難しい。
だからこそ、11周年はゴールではなく、もう一度足元を見つめ直すタイミングなのだと思います。
独立を考えている人に伝えたいのは、会社をつくることは自由であり、同時に責任でもあるということです。
自分で決められる喜びがあります。
自分で引き受けなければならない重さもあります。
それでも、続けた先にしか見えない景色があります。
はこは名前に囚われず中身で勝負するという意味で名付けた会社です。そういう意味では、自分の枠にとらわれず、20周年に向けて、焦らず、でも止まらず、これからも粛々と一歩ずつ進んでいこうと思います。
ここまで一緒に歩いてくれたメンバー、お客様、関わってくださった皆さまには、本当に感謝しかありません。改めていつも本当にありがとうございます!
























