たし算についても | メタメタの日

「+」の記号を使って,たし算を式に表すということは,1514年のオランダの算術書が初出と片野善一郎『数学用語と記号ものがたり』(裳華房,2003年)にあります.

 記号を使う前は,言葉で表わしていたわけです.

たし算の表現が言葉から記号に変わったときに,数学は抽象の階梯をさらに進み,より精確になったのでしょうが,そのときに捨象したものが当然あります.

「4+3」という記号式の意味は,「4に3をたす」「4を3にたす」「4と3をたす」などの「言葉のたし算」のどれかでなければならない,という話ではないと思うのです.

「言葉のたし算」なら,合併,添加,増加などの区別を表現できるが,「たし算の記号式」では,それらの区別を表現できない.というより,合併,添加,増加などのどれであっても同じ記号式で表現する,ということでしょう.