私が19歳くらいの頃でしたか。
一人暮らしをしていまして、
そのアパートのベランダ越しにやってくる一匹の野良猫がいました。
私は「ブーニャン」と名づけ、居候を許していました。
丸々とよく肥えた猫だったのですが、
この体重でどこからやってくるのだろう?不思議でした。
ブーニャンは、どこからともなくベランダに居ついていまして、
晴れた日には日光が良く当たるので、居心地がいいのかずっといました。
エサをやるようになったのは、私が越してきて三ヵ月くらい後です。
「腹減ってるやろ」
あじを丸ごと皿に入れてやると、ムシャムシャと美味しそうに食べます。
当時は波乗り(サーフィン)をしていまして、
休日はおらずアパートには平日の夜しか帰らない日々。
それでもブーニャンはたまの休日によく出会っていました。
一年くらいしてからでしょうか、先輩の誘いで九州へ波乗りに出かけ、
長い間部屋にもどらず、それから帰ってくるとブーニャンの姿はありませんでした。
「やっぱり一週間以上もいなかったからなあ」
その翌日、仕事から帰ってくると、いつになく毛艶の悪いブーニャンがいました。
戸を開けると入ってきたので「珍しいなあ」と思いました。
それからブーニャンはあまり外へ出なくなり、エサを食べては寝る毎日でした。
そして、その日は突然やってきました。
玄関先にトイレがあるので、夜中にトイレに行こうとすると、
扉の前でブーニャンは寝ていました。
私が両手で移動させると、なんとなくでしたが、からだが固く感じたのです。
翌朝、玄関にいこうとするとブーニャンは昨夜と同じ姿勢で寝ています。
「おい、エサはいらんのか?」
ブーニャンは冷たくなっていました。
どうやら天国へいったみたいです。
子供の頃に猫は死に際を人間には見せないなんて聞いていましたが、
ブーニャンは本当に眠るように、私の部屋でこの世を去っていました。
友人などを介して、やっとペット葬儀の所を見つけて、
ブーニャンを葬ってあげれたのですが、なぜこの猫は私の部屋を選んだのでしょうか。
いつも私がいないので、気楽な時間を過ごせたからなのかな?
口元をとがらせて眠っているブーニャンは、
よく考えると寂しい時間を埋めてくれるいい猫でした。
画像はYahoo!さんより


