少し天気がよくなったので、散歩に出かけてみたら、
ある路地裏で懐かしい思い出が・・・
「こんばんは」
いらっしゃい~
若い頃は毎日のようにそのスナックに通っていました。
スナックバー、英語でsnack barと書くが、
店舗としてはカウンターがある飲食店で、
アルコールを提供するものを指す。
わが国では高速道路のサービスエリアなどのスナックはアルコールを提供していない。
現在ではカラオケが中心だが、当時はカラオケというより、
お話をするのが楽しくて通っていた感があります。
細い通りのお店の前には、枝ぶりの立派な桜の木がありました。
そんな桜が散る頃でしたか、
「旦那さん見つかったん?」
スナックのママさんの旦那さんが行方不明になって一週間になる。
「やっぱり警察に届けたほうがええん違う?」
若い私には大人の事情というのが理解できていなっかったので、
どうしてもっと真剣に探さないのかわからず、思いのままに喋っていました。
後になって知ったのですが、どうやら店に来ていた客の女性と逃げたらしいのです。
こんな話はいくらでもあるのだが、身近に聞くとママをどう慰めたらいいのかわからない。
そんなママは勝気な方でとても美人でもありました。
客のほとんどはそんなママと話しをして、あわよくば食事などに誘おうと、
まあ下心なければ酒を呑ませるだけの小さな店に通う理由など無いですよね。
その後カラオケの機械を8トラックからディスクに新調したときは、
すごい客で予約をしないと入店できないほどでした。
私たち若い者にとって、待ってまで入るなんて面倒なことは考えず、
携帯電話も無かった時代のことなので、予約などせず次第に店から離れていったのです。
それから20年ぶりくらいになぜだろう、フトその店の事を思い出し行くと、
ママは初老のお婆さんになっていた。
まあ月日が流れれば、人間は老いるの当たり前なのだが、
それにしても少しショックではあった。
「お元気そうで」
あなたもいいおじさんになったわね
他の客の姿はなく、どことなく店も古ぼけていた。
あれほど流行っていた店とはとても思えない。
しばらく世間話しをしていると、
もうね、お店を締めるのよ
と、言う。
「客やったら、これから毎日来るし友達連れてくるで」
ママは首を振りながら、
ここのところ体調が悪くてね
そんな話しを聞いて間もなく、お店は閉店していた。
そして風の噂で、彼女がこの世を去ったと聞いた。
昭和平成と景気に左右されながら頑張ってこられた元気な彼女を思い出す。
ひょっとしたらママは私の事を懐かしんで呼んでくれたのだろうか?
お店も、あの立派だった桜の木も無くなり、アスファルトとコンクリートだけになった、
そんな細道にさよならをしてきました。
画像はYahoo!さんより