1986年メキシコW杯フランスvsブラジル戦はなにがすごいのか? | ギタリスター誕生~ギター500年の歴史がここから変わる~
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 ワールドカップ史上最高の試合はなにか?無数の意見はあると思いますが、最終的に最も多くの票を集めるであろうといわれるのが、1986年メキシコワールドカップのフランスvsブラジル戦です。

 

 
 日本を代表するサッカーライターの後藤健生さんもこの試合を生涯のベストマッチにあげています。ちなみに私もそうです。

 

 
 そんなフランスvsブラジル戦について、次のような意見を述べる人を見かけたことがあります。

 

 

 
とあるフランスvsブラジル戦信者の意見
 86年メキシコワールドカップ ブラジル VS フランス ジーコ率いる黄金のカルテット VS プラティニ率いる三銃士

 
 後半にブラジルPK獲得、キッカージーコ・・・慰めるプラティニ。そのまま決着つかず、PK戦に。

 
 今度はジーコが決め、そのままキーパーに気合い注入。それが裏目に出たか・・・ポストに当たったボールがキーパーの背中に当たってゴール・・・

 
 キッカープラティニ、何を思ったか、蹴った瞬間、ありえない方向にボールが・・・頭を抱えるプラティニ(蹴ったと同時に頭を抱える。)そして・・・すべてが絵になる試合でした。

 

 

 
弥勒の論証

 
 フランスの中盤は三銃士ではなく四銃士です。また、ブラジルの黄金のカルテットは前回大会の話で、この大会でスタメン出場し続けたのはソクラテスひとりだけです。

 

 
 この時点でまちがいだらけなのですが、着眼点が完全にとち狂っているとしかいいようがありません。『いったいあの試合のどこを観ているんだ?』という感じです。

 

 
 前述の意見を述べた人は後半のジーコのPKとPK戦をやたらと強調していますが、フランスvsブラジル戦のすごいところはそんなところではありません。私はフランスvsブラジル戦のビデオを持っていますが、毎回PK戦のところは観ません。

 

 
 では、1986年メキシコワールドカップのフランスvsブラジル戦とは、なにがどうすごいのか?

 

 
 両チームともパスワークを武器にするポゼッションスタイルで、単純なクロスやロングボールはほとんど使いません。華麗なパスワークでテクニカルに敵の守備網を切り裂く攻撃をくり出し続けます。

 

 
 ━━フランスの華麗なパスワークによる攻撃は失敗に終わり、ブラジルボールになる……   

 

 
 ━━ブラジルのテクニカルなパスワークによる攻撃は失敗に終わり、フランスボールになる……

 

 
 ━━フランスの華麗なパスワークによる攻撃は失敗に終わり、ブラジルボールになる……   

 

 
 ━━ブラジルのテクニカルなパスワークによる攻撃は失敗に終わり、フランスボールになる……

 

 
 これが120分間、延々と続くのです。観ている側は休む暇などありません。

 

 
 メッシやマラドーナのような個人技はないですし、120分間で両チーム合わせて2点しか入らない試合なので、初心者の人にはなにがどうすごいのかいまいちわからないと思います。しかし、サッカーの戦術的な知識を深めれば深めるほど、この試合のとてつもなさが徐々にわかってくるのです。

 

 
 フランスvsブラジル戦のすごいところはPK戦などではありません。なにもわかっていない分際でフランスvsブラジル戦を語るなといいたいです。 

 

 
 余談ですが、虚々実々の攻撃が120分間くり返される試合としては、1998年フランスワールドカップのブラジルvsオランダ戦もひけをとらない名勝負です。

 

 

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