サッカー━━手以外の部分、特に足と頭でボールを押し込んでゴールをきめるというシンプルなスポーツですが、ゴールパターンにはありとあらゆる様々な種類が存在します。これもサッカーの無限の可能性を感じさせる魅力のひとつです。
では、サッカーのゴールパターンにはどのようなものがあり、どのゴールパターンによるゴールが最も多く、どのゴールパターンによるゴールは少ないのか?独自に検証してみました。すると意外な真相が浮かび上がってきたのです。
少し古いデータになるのですが、欧州CL2003/4の309ゴール、欧州CL2004/5の331ゴール、1998年フランスワールドカップの171ゴール、2002年日韓ワールドカップの161ゴール、これらを対象に調べてみました。では、ゴールパターンの多い順からトップ5をあげます。
ちなみにペナルティキックと【セカンドボールを押し込む】というゴールパターンは除外します。
『ペナルティキックはわかるが、セカンドボールをなぜ除外するのだ?』━━セカンドボールはサッカーのすべての攻撃パターンから生まれる可能性があるものです。そのため【セカンドボールを押し込む】というゴールパターンが必然的に多くなるのは当たり前だからです。
欧州CL2003・4
クロスをヘディングやボレーで押し込む━━64ゴール
グラウンダークロスを押し込む━━30ゴール
ミドルシュート━━26ゴール
スルーパスを押し込む━━22ゴール
個人技━━18ゴール
欧州CL2004・5
クロスをヘディングやボレーで押し込む━━65ゴール
ミドルシュート━━48ゴール
グラウンダークロスを押し込む━━43ゴール
スルーパスを押し込む━━31ゴール
個人技━━18ゴール
1998年フランスワールドカップ
クロスをヘディングやボレーで押し込む━━36ゴール
個人技━━27ゴール
裏へのミドル・ロング・タッチダウンパスを押し込む━━20ゴール
スルーパスを押し込む、ミドルシュート━━15ゴール
グラウンダークロスを押し込む━━9ゴール
2002年日韓ワールドカップ
クロスをヘディングやボレーで押し込む━━43ゴール
グラウンダークロスを押し込む━━17ゴール
ミドルシュート、個人技━━13ゴール
フリーキック、裏へのミドル・ロング・タッチダウンパスを押し込む━━9ゴール
スルーパスを押し込む━━7ゴール
このデータでわかることは━━
クロスをヘディングやボレーで押し込む
グラウンダークロスを押し込む
スルーパスを押し込む
ミドルシュート
━━この4つが4大ゴールパターンらしいということです。この4つの次に個人技や【裏へのパスを押し込む】といったものが続く印象。
さて、ここでひとつ重大なことに気づかれた方はいるでしょうか?ワンツーパスによる突破からのゴールパターンが1度も出ていないということです。
実はワンツー突破からのゴールというのは極めて少なく、どの大会をとってみても片手で数えるくらいしかないのです。
ワンツーパスによる突破というのは、よくスルーパスによる突破と並び称される突破法としてサッカーの本に紹介されますが、どうやらスルーパスよりも格段に難しいものなようです。
私はサッカー未経験者なので憶測にすぎませんが、理由はなんとなくわかる気がします。
スルーパスというのは足の速いFWに縦のショートパスを出せばいいだけですが、ワンツーパスというのは壁になる選手が絶妙の速度、絶妙の角度によるパスをワンタッチで送る必要があります。その技術がスルーパスのそれよりも遥かに高度なものが要求されるのでしょう。
サッカーのスーパーゴールといえば個人技やアクロバティックなシュートを連想しがちですが、古典的な突破法であるワンツーパスからのゴールというのも非常に難しく、充分にスーパーゴールといっていいようです。
今度からもしもワンツー突破からのゴールを目撃したら、『自分はものすごいゴールを見てしまった……』と深く感動に浸るといいでしょう。