賃貸では、敷金・礼金・更新料などの慣習がありますが
今回は更新料と賃貸仲介業務の裏側について私の独断と
偏見を含めて書いてみます。
まず更新料は地域によって慣習が異なるようです。
ネットの書き込みを見ると、
更新料は関東はあり、関西は無いようです。
関西は更新料の慣習は無いが敷金が高く、
関東では敷金1~2カ月に対して、
関西では5ヵ月とか6ヵ月らしいです。
いすみ市の場合は、多くの不動産会社が更新料1か月
で設定しています。
当社では、それだと借主の負担が大きいと考え、
貸主0.5か月、借主0.5か月で設定しています。
さて、不動産屋は何もやっていないのに更新料を取る
と言う人もいますが、実際は更新後、2年間の間に設備
の不具合などあった場合に業者を手配したり色々やる
事はあります。
※そのための手数料という事で、私は「更新料」ではなく
「更新手数料」という呼び方をしている。
いすみ市周辺の場合、昔は大家さんから管理料を
もらう習慣が無く、賃貸仲介の場合、借主からの
仲介手数料と更新時の手数料のみが収入でした。
しかし、これでは契約手続きが煩雑になった現在では
全く採算が取れません。
不動産屋は何もやっていないのに更新料を取るという
書き込みを見かけますが、実際には更新料では到底
回収できないほどの業務を担っています。
例えば、古い貸家などに10年以上長期間入居した
借主が退去した場合は、リフォームが必要になる事が
多いです。
大家さんの了解を取って、不具合箇所を伝えて、
見積もりを取って、業者を手配して・・
リフォームが完了したら施工前と施工後の写真を取って
送って・・など、
リフォーム再販売と同じくらい手間がかかる事もあり、
こうなると5万円くらいの仲介手数料では全く採算が
合いません。
台風で雨漏りした場合は、大家さんの了解を取って、
業者から見積もりを取って・・と手順を踏むわけにも
いかず、すぐに業者を手配して、見積もり云々の前に
まずは雨漏りを止める事が最優先です。
しかし、1円もキャッシュバックをもらわずに業者の
手配をして、写真付きで報告しても、細かい方だと
工事費用が高い。破損個所の写真が1枚足らない
など指摘して来られる事もあります。
業者の立場で言えば、下記のような大家さんに
当たったらたまりません。
トラブルに関しては売買よりも賃貸の方が多い印象です。
売買の場合は、仲介業者が売主・買主間の売買条件を
交渉する事になるので、契約時の重要事項説明でミス
しなければトラブルになる事は少ないです。
(クレーマーは避けなければなりませんが)
しかし賃貸では退去時の敷金精算時にトラブルを完全に
避ける事が難しいのです。
貸主から「床の傷」「壁紙のはがれ」「設備不良」などの
指摘が入り、貸主・借主の間で「壊した・壊していない」
というトラブルに発展することもあります。
その際、仲介業者は双方の間に立つため板挟みになる
ケースも少なくありません。
また、入居後に近隣住民とのトラブルが発生し、
相談や対応の電話がかかってくることもあります。
このように、実際の賃貸仲介の裏側をご存知であれば、
「不動産屋は何もしていないのに更新料を取っている」
といった書き込みは出来ないと思います。
さらに、家賃滞納の督促まで担当していたら業務負担が
大きいため、現在では賃貸保証会社を利用する形が
一般的になっています。
当社の賃貸仲介では、
・大家さんから広告宣伝費1か月分
・入居者から仲介手数料1か月分
を頂いて業務を行っていました。
「仲介手数料は0.5カ月が原則では?」と言われることも
ありましたが、(借主から事前同意を得て1カ月頂くこと
自体は違反ではありません)
入居後の不具合対応などを含めると、0.5カ月では採算が
合わないのが実情だからです。
また、売買(仲介・買取再販)と賃貸仲介を一人で兼務する
のが難しくなったことに加え、賃貸は入退去時のトラブルが
多く(特に素人大家さんの場合)、2020年以降は 自社物件
のみに絞り、賃貸仲介は扱わない方針 としました。
個人的な意見ですが、大家さんが広告宣伝費や管理料を
しっかり支払い、その分、借主の更新料を無くす仕組み
の方が双方にとって健全なのではないかと考えています。







