映画「ミラベルと魔法だらけの家」 | きみcomブログ

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猫とミュージカルと英国が大好き。

先月から公開されて

ずっと気になっていたディズニー映画。

「ミラベルと魔法だらけの家」を観てきました。

 

 

劇場公開版としては初の

南米出身ヒロインだそうです。

眼鏡をかけたヒロインも初なんですね。

 

 

舞台はコロンビア。

50年前、アルマおばあちゃんが授かった

奇跡のろうそくのおかげで

家族みんなが自分だけの「ギフト(能力)を使える」

マドリガル家。

 

 

彼らは自らの意思を持った

光り輝く家「カシータ」に暮らしています。

ここはなんだか「美女と野獣」の

お城を思い出して懐かしかった。

 

 

マドリガル家の子供たちは

5歳になると、儀式としてカシータのドアノブに触れ

新しい魔法のギフトと部屋を授けられます。

 

 

ギフトは一人にひとつだけ。

お天気を操ったり、人を癒す食べ物を作ったり

どこにでも花を咲かせたり、遠いところの音も聞こえる耳だったり。

 

 

アルマおばあちゃんはその不思議な力を

町の人々を助けるために使うよう

家族に厳しく言ってきました。

 

 

しかし、15歳になる末娘のミラベルは

10年前に儀式をしたもののギフトは来ず。

以来、ミラベルと家族には微妙な距離ができています。

とくにアルマはミラベルに失望を隠して接しているよう。

 

 

さて、従弟のアントニオが儀式を受ける年齢になり

ギフトは無事届きますが、

同時にカシータの壁にヒビが入り

不気味な異変が起こりはじめる・・というお話です。

 

 

謎解きに挑むミラベルの冒険、

ハッピーエンドはお約束だけど

テーマというか、感情描写がよくできていて

すごく面白かった!

 

 

最近のディズニー映画の特徴なのか

テーマ的に子どもさんより大人の方が刺さるんじゃないかな~。

 

 

まず、才能がキラキラ輝く家族や親戚の中にいる

ごく平凡な子(と、本人は思っている)の気持ち。

儀式後アントニオが町の人たちからも祝福される

様子に、嬉しいながらも寂しさを隠せないミラベルの表情。

 

 

どうして自分にはギフトが来ないの?

私もなにか皆の役にたちたい!

と内面を歌う姿に共感してしまいます。

 

 

だけど、この作品が面白いのはミラベルが

劣等感を克服してなにかを得ていく過程じゃなくて

能力があってキラキラしている人にも

実は深い葛藤や悩み、本音があるってところ。

 

 

ミラベルが確かに主役ではあるけど

彼女を通して、ほかの登場人物が描かれる

部分が興味深いんだなあ。

 

 

たとえば長女イサベラはいつも綺麗でエレガントで

赤やピンクのバラを咲かせ、

おばあちゃんが認める婚約者もいるけど

実は婚約者のこと別に好きじゃないし

(つまり家のため我慢してる)

めちゃくちゃな色の花も咲かせたいし

サボテンだって大好き。

 

 

次女ルイーサはロバを6頭いっぺんに

かついでも平気な力持ちだけど

実は弱くなったらどうしよう、いつも強くないと

自分には価値がなくなってしまう、と

内心はぐらぐら綱渡り状態。

 

 

いつもどっしり構えてるアルマだって

一家が魔法の力を失うことへの恐怖や不安が

根底にあって

カシータの異変に気づいているのに

それを直視せず虚勢を張ってしまう。

 

 

なにも持ってないと思われたミラベルだけど

情熱と行動力と真実を見つめる勇気を持つ

彼女自身が、最大の

一家を救うギフトだったんですね。

 

 

音楽は「イン・ザ・ハイツ」「ハミルトン」等

トニー賞はじめ各賞を受賞して

今や世界的に名が知られるようになった

リン=マニュエル・ミランダ。

 

 

アニメの美しい色彩に負けないぐらい

パワーのある音楽がどれも良いです。

 

 

とくに、次女ルイーサが自分の内面を告白する

「増していくプレッシャー」は

韻をふんで歌われる曲がいいし

心象風景に出てくるロバたちがクールで

めちゃ可愛い☆

 

ルイーサの心のユートピアには

ユニコーンじゃなくて角の生えたロバがいるんだね。

(ディズニースタジオ公式で一部公開されています。

ぜひYouTube動画を見てくださいませ)

 

 

さてカシータに象徴される

マドリガル家の魔法はどうなるのか?


 

謎のカギをにぎる行方不明の叔父、

未来をビジョンで見ることのできたという

ブルーノのキャラクターが

予想以上に可愛くて終盤まで楽しめました。

 

 

持っているものを失うのはこわいけど

勇気をだして踏み出すこと。

本音を隠さず、周囲を信頼しながら

前にすすめば

また新しい自分に出会える。

 

 

今の自分自身にも

重なる部分がたくさんありました。

 

 

宣伝不足ぎみなのか

ディズニー映画にしてはあまり盛り上がってない気もするけど

すごーくよくできた作品だと思います。

 

 

本編の前に上映される10分程度の

ショートストーリーも可愛くてあったかい。

 

 

家族でも、友人同士でも

おひとりさまでも楽しめる

大満足のミュージカル映画でした。