雪丸、夢うつつ。 -3ページ目

雪丸、夢うつつ。

気まぐれに観劇レポなど。


*以下、ネタバレ含みます








結いの目で絡み合った歴史の先にまんばちゃんが辿り着いた、波音だけが響くあの場所はどこなんだろう…

という疑問からいろいろ考えてみた結果、自分の中で合点がいった気がしたまとめです。

*****

まんばちゃんが辿り着いた人の歴史の物語の果てが、あの波の音だけが響く誰も何もいない日本で、かつ、義輝が話していた神話の時代、神に作られた日ノ本の最初の姿。
つまりあれが円環の果て、日ノ本の始まりであり終わりの時代なんじゃないか?

(台詞が曖昧だけど)義輝に『お前のいた時代はどんなところだ』というようなことを聞かれたとき、三日月は「先の未来」とか「遥か昔」とか時代を限定するような言い方じゃなくて『ここよりずっと遠きところ』っていうように答えてた。
三日月はたった一人で帰る場所もなく恐ろしいほど長い長い時の円環の中を廻り続けてる。

大楽以外では、まんばちゃんが見せられた結いの目の歴史の終わりに戦争や原爆投下を思わせるシーンがあったけど、大楽ではそれがなくて、それでも最後はあの何もない時代に繋がっていた。
戦争や原爆投下がないルートに行けたとしても、三日月の言っていたように結局は歴史は変えられないのかもしれない。
けど、全く変わらなかったわけじゃない。

煤けた太陽は三日月に勝てるほど強くなった。

希望はある

そう信じて大楽最後の三日月は少し表情が柔らかくなったんじゃないだろうか。

刀が時代で在り様を変えるのも、それは人が居てこそ。

実戦刀としていられるのは人が携えて戦うから、美術品としていられるのは人が見て愛でるから、永く在り続けられるのは世代を越えても心を込めて手入れをする人たちがいるから。



誰も何もいない日本では、守るべき歴史ももはや存在しない。そこで何もかもが、終わり。
三日月は『歴史を守る刀』として務めを全うしている。歴史修正主義者と同じ考えを持っているわけではないし、本丸のみんなの敵ではない。

『未来を繋げたい』

そのために三日月は戦っている。

本丸のみんなに背負わせるわけにはいかないと言っていたのは、円環の中を廻り続けることがどれだけ辛く苦しいことか知っているから…
みんなをそれに巻き込みたくないんだと思う。

三日月が声をあげて笑うときは、いつも何かを誤魔化そうとしてる気がする。
ばみに強く強く抱きしめられたとき、どんな顔をしてたんだろう。
まんばちゃんと刀を交えたあと、小烏丸に主への言伝を頼むとき、どんな顔をしてたんだろう。

帰りたい、帰りたくない、
…今はまだ、帰れない

結いの目の不如帰が、仲間の元に心からの笑顔で帰ってくる日がいつか、いつか、来てほしい。

『おかえり』って言ってあげたい。みんなで。


*****

三日月はいつ、歴史の終わりを見たのか、どうして円環の中を廻り続けることができるようになったのか、分からないことはまだまだあるけど、

いずれ時が来れば分かる

と信じて、今は…

まあ、細かいことは気にするな(茶をすすりながら)



ここまで読んだいただき、ありがとうございます!

《悲伝を劇場で2回観てから、虚伝(再演を中心に初演も)を観直して改めて感じたこと、気になった台詞など、まとめてみました》


織田信長とは何者か(→三日月宗近とは何者か)
不動が顕現
三日月『主は何をお望みか』
→目を閉じて、答えを聞いているよう
→目を開けて頷くと同時に雷鳴

2205年、歴史改変を目論む「歴史修正主義者」により過去への攻撃が始まる
→時の政府はそれを阻止するため「審神者」を各時代へと送り込む

審神者とは「眠っている物の心を目覚めさせ、自ら戦う力を与える技を持つ者」
→その技で生み出された付喪神「刀剣男士」
→歴史を守るため、審神者と刀剣男士は過去に飛ぶ(→各時代にそれぞれの本丸があり、刀剣男士は戦いのためそこからさらに様々な過去に飛ぶ?)

『刀剣乱舞!虚伝!燃ゆる本能寺!』
『始めよう』

まんばは遠征から戻ったらある部屋へ行くように伝達を受け向かうが、主は不在、三日月がいる
三日月『遠征はいかがだった?』
まんば『何をとぼけている』
主は疲れているらしく部屋で休んでいる(→主の部屋は別にあるっぽい。三日月は主にかなり信頼されているよう。このとき、主が疲れてる原因は何だ?)

【主命】不動が顕現した日から近侍は三日月からまんばへ。まんばに不動の世話係を任せる

いち兄たちは「大阪冬の陣」へ出陣中
→【対 家康暗殺部隊】の様子がおかしい、強くなってる

まんばと不動は似てる
(→主は不動の世話をさせることでまんばを成長させようとしてる?)

三日月『探したぞ。今までどこにいた?』
まんば『あんたが不動を案内しろと言ったんだろ』
→いち兄たち帰ってきたので軍議

今までなら問題なく対処できたはず
三日月『近侍殿はどうお考えかな』

【主によると】時間遡行軍の動きにより、この本丸が管轄する時間軸において、何か変事が起こりつつある。調査のため、各時代に遠征部隊を

江雪『刀剣男士は、元の持ち主や刀剣として自身を取り巻く物語に囚われてしまう』
宗三『刀は、戦うために在る』

初演蘭丸は上様から不動を戴いたことを喜んでいたが、再演蘭丸は『形見をお分けいただいたようで、妙な胸騒ぎがしてならない』
(→ループに巻き込まれていて、歴史を繰り返している記憶がうっすらと残っている?)

何度も「本能寺の変」の夢を見る宗三は心のバランスが不安定
(→「同じことを何度も何度も繰り返す」と心が壊れてしまうのでは?
→心が壊れる→心が死ぬ→心に非ず→悲)

まんばが近侍で部隊が全滅しかけたときの話を聞いて、初演三日月は『本丸には戻ってこれたのだ』再演三日月は『本丸には戻ることができた、と聞いたぞ』と言っている
(→ループしているが、少しずつ変化があるのか?)

まんばには主の考えが分からない
(→三日月は主の考えを理解している、のか?あるいは三日月の考えを主は理解しているのか?)

【主命?】紅白戦の組み分け(織田刀仲直り作戦)
→まんばに斬りかかる三日月、斬り合うつもりはないまんば、首を横に振る三日月(→これは三日月の独断の行動?主も承知の上?もしや、むしろ主命?)
→三日月『これはなかなかに手のかかる…』(→三日月相手に本気で斬り合えるようにならないと駄目ってことか?)

江雪『誰かを守るためにこの剣が必要ならば、わたしがここにいる意味もあるのかもしれません』

三日月、まんばと盃を交わす
まんば『俺たちは物だ。どうして心がある?心が無ければ、想いに惑わされずに済むはずだ』
三日月『俺はこう思う。俺たちに心があるのは、「物であるがゆえ」なのではないか』

月を見て、どう思うか
まんば『…美しい』
三日月『(笑って)その美しいと思う心が、あの月に宿る。それはいつぞや、お主に返ってくるやもしれんな。心とは、森羅万象を廻る。だから人は、物を作り、物を語り、物に心を込めるのだ。我々 刀剣は、人の心を運ぶ歴史の縁なのやもしれん。織田の刀にも、お主にも、託された心があり(→ここで我々とか、自分を含めた言い方はしていない)、それが巡り巡って、繋がってゆくのだ…』

美しい、と思われた心が宿る月は
三日月『顕現したならば、さぞ見事な付喪神と成ろう』

まんば『俺は近侍として、どうすればいい』
三日月『お主は存分に美しい』
→とは【主の言葉】

【主】まんばに「美しい」と心を込めた

三日月『お主は、お主を信じ、その心でこの世を照らしてやればいい。あの月を照らす、陽の光のように、だ』(→月は三日月、太陽はまんば。三日月にとって、まんばは希望の光)

【主命】天正十年、本能寺へ、二部隊同時出陣せよ

初演蘭丸は光秀と話をしていても特に変わった様子はなかったが、再演蘭丸は『(椿を見て)わたしは、あまり好きではありません…。良くない兆しを思わせます。この本能寺で何か…悲しいことが、起こるような…』(→やはりループの記憶が微かに残っているように思える)

いつもなら歴史改変を事前に阻止するのが任務のはずが、光秀が本能寺にいるため、既に歴史が変わり始めているようだ

小夜『うちの本丸は厄介なことを押し付けられたみたいですね…』
光忠『僕たちの関わる歴史に何か不穏な動きがあるねぇ…』
(→主の言葉にもあったが、歴史や敵の強さに異常な変化があるのは、この本丸が管轄する時間軸・ここの刀剣男士たちが関わる歴史のみ、と分かる→この時点で、この本丸が何かしらの特異点ではないかと推測できる)

不動くん勝手に単独行動
→三日月は思考を巡らせてからハッとしたような表情をしている
(→今までのループでは無かった展開なのか?もしくは不動くんが顕現したのは今回が初めてなのか?)

不動『宗三って、綺麗だなぁ!信長公はあんたを見て、何を思ったんだろうな』
(→宗三は「お飾り」であった。義輝が美しい三日月を血で穢したくないと思ったのと同じように、信長も綺麗なままの宗三を手元に置いておきたかったのかもしれない)

(三日月と宗三、まんばと不動、似ているふた振りたちで始まる虚伝。悲伝に繋がる最初の物語だったんだなぁと改めて感じる)

初演蘭丸、不動くんに抱きしめられたときに『??どこかでお会いしましたでしょうか??』と言っていたのに、再演蘭丸は何も言わない
→不動くんたちが去ってから『どこかで…会ったことがあるような…』と呟く(→薄れたループの記憶は戻るのか?)

長谷部が不動くんの首根っこを掴む(虚伝ver.)

薬研『(信長のこと)嫌いとは言い切れない。好きだったかっていうと、それも分からない。でも、理解したいと思ってる』

ーーーーーー

再演蘭丸『わたしは…“今度こそ”…上様をお守りしなければならない…!』(→ら、蘭丸…!!!)

ーーーーーー

(→悲伝を観てからだと、円環の中にあって何とか上様を守りたい蘭丸と、その蘭丸を死なせたくないのに剣を交えなければいけない不動の姿が、悲伝クライマックスの三日月とまんばに重なる。
→蘭丸が守りたいのは上様、三日月が守りたいものは?…)

宗三に討たれる蘭丸『どうして…そんなに悲しい顔をするのです…あなたたちは…務めを…果たしたのでしょう…?…』
(→刀とは戦うために在り、刀剣男士の務めとは歴史をあるがままの姿で守ること、でも人の身を得た彼らには心がある、それゆえに…)

蘭丸『織田家に仕える家に生まれたわたしにとって…あの方は…わたしの主…!だから、上様を…守らなくちゃ…』→蘭丸の務め

蘭丸『いや…違う…。お家も、役目も、関係ない…!わたしは…わたしは…!織田信長を…!人として…愛していた…だから、あの方を…守りたかった……それなのに…くや…しい……』→蘭丸の心

宗三『あの男の心が、僕を、薬研を、長谷部を、そして不動を縛り続ける…。僕たちは…逃げることなんかできないんです…!』
薬研『…逃げることができないのであれば、どうする』
宗三『立ち向かうしか…ありません…!!』
(→繰り返し見る夢と、信長の心に縛られる宗三が、見えない殻を打ち破った瞬間のように思える。繰り返す歴史の中で、自らが結いの目となって固く縛られてしまった三日月は、まだその中で苦しんでいる。悲伝の先に救いがあってほしい…)

薬研『お前の背中ぐらいは、俺たちが守ってやるさ!!』
鯰尾『俺たちも戦います!!』
一期『宗三ばかりに背負わせるわけにはいかないからねえ!』
まんば『俺たちを信じろ!!!』
(→悲伝の三日月のことを思うと、ここがほんとに辛くもあり、希望でもある。円環の果てにいつか、未来が繋がりますように…!!!)

(→しかし、こうやって本丸の仲間たちが苦しんでる仲間を支え合って強くなっていく姿を近くで見ているのに、三日月はどうしてあんなに頑なに本当のことを話してくれないんだろうか。仲間を信じてないわけではない。「背負わせるわけにはいかない」だなんて、自分一人であんなに辛い思いをして…どうして…)

まんば『月を照らす陽の光のように、か。無茶を言ってくれる』
三日月『これはまた…随分 煤けた太陽だ…!』
(→どうしてまんばちゃんなんだろうか。三日月はまんばちゃんに希望を見出そうとしてるように思うけど、他の刀剣じゃなく、どうしてまんばちゃんなんだろうか。どちらも「美しい」「綺麗」と思われた心が宿っているから、人間でいう「魂」みたいな部分で共鳴する(できる)のだろうか)

虚伝不動くん→信長を守りたい。今ならそれができる(歴史は変えられると思ってる)
悲伝三日月→義輝を守りたかったが、使われなかったために、守りたくてもできなかった。だが今は、義輝に力を貸してくれと言われても、それはしない(何をしても結局は歴史は変えられないと思っている)

ーーーーーー

(しばし、真剣必殺で戦うみんなが格好良すぎて何も考えられなくなる)

ーーーーーー

光秀『後の世の者たちはこの日の本能寺を如何に語るのか…。「明智光秀は天下を欲しがったのか」それとも…「信長という男をただ超えたかったのか」…』→後の世の者が思う「明智光秀」

光秀『いや、違う…。わたしはただ…あのお方に必要とされたかった…!だが老いつつあるわたしに、蘭丸のような若さはもうない…。わたしは、あのお方に見捨てられるのが怖かった…! 織田信長とは何者か… わたしにとってあのお方は、主君であらねばならなかったのだ…!』→光秀の心

本能寺への出陣を終えて、主の考えが少し分かった気がするまんば
【主は】刀剣男士たちに「強くあれ」そう言っている
→目を閉じ微笑む三日月

三日月『山姥切も、随分頼もしくなったぞ。これで、俺がいなくなっても安心してこの本丸を任せられるというものだ』(→は〜〜〜〜〜悲しみで心が潰れる………)

(いつも辛そうな悲しそうな表情をしていた宗三が笑うのを見て、いつも微笑みを見せてた三日月が、いつか本丸のみんなに全てさらけだして涙を流して笑うところが見てみたいな、と思った。三日月が一人で背負っているものは何なのか…)

ーーーーーー

『刀剣乱舞!』
『またいつぞや、始めよう』

ー虚伝 燃ゆる本能寺、完

サラ、下手客席中扉の黒いカーテンから顔だけ出して、

「ここかなあ…?ここでいいのかなあ…」
恐る恐る中に入ってくる。ばっちり【あるかーど(ハァト)】Tシャツを着ているw
「ここで合ってるかなあ…暗いなあ…。ていうか、なんか匂うな。妙に女臭いな、ここ」

横通路を歩いて角を曲がり、ゆっくりと縦通路を歩いてステージの方へ。
「ああっ、あたしはどうしてもブラド様に聞きたいことがあるんだ!」

急にテンションだだ上がりのサラさんwでかい声出しながらお客さんにちょっかいかけるw(わたしもすごい勢いで肩をはたかれたw)
「こんなとこまで来ちまって…あたしゃどうしたらいいんだ?!」(近い近いwお客さんとの顔の距離が近いww)
「…って、あたしゃ誰に話しかけてんだか…」


そんなこんなでステージへ上がる。

「ここかなあ… あたしなんかがブラド様の館に入れるなんて…!それにしても暗いなあ…これじゃあ何が何だか…」

手探りで進もうとすると、突然の大音量とライトアップ!
「ぅわあああああ!」

びっくりしすぎて飛び上がるサラw
「(音響ルームに向かって)卑怯だぞ!急にそんな大きな音出して…!」(客席笑)

すかさず大音量再びw
「わああぁぁああ!だから!あたしゃ心臓には、じ、自信がないんだからねっ」(客席笑笑)

下手隅に灯りを見つける。
「あ、蝋燭…。よかった、ちょっとでも、心強い…」

そのとき燭台の下に何か見つける。
「ん?オルゴール?」

拾い上げてネジを回す。
「いい音…」

その音色を聴きつけて、亡者と化したアルカドニアたちが近づいてくる。

何も知らないサラはオルゴールを置いて、一息つこうと体を伸ばす。

サラと目が合うのが早いか、一斉に襲い掛かるアルカドニア。
「う、うわああああああ!!!」

ステージ上をあちらへこちらへ逃げ惑うサラ。


もう駄目かと思われたそのとき、


だるそうにウォルターが現れて、銀の十字架をかざす。
悲鳴を上げてあっという間にその場から逃げ去るアルカドニアたち。

「食べ残しのあと始末も大変だ…」
状況が飲みこめず、座り込んだままのサラに、
「君は…なんて言ったっけ…?」と、ウォルターが声を掛ける。
「サラ…」
「サラ、僕はもう、疲れてしまったよ…」 
「さっきの連中、いったい何なんだい?!」
「聞こえなかったかい?食べ残しだよ」
立ち上がって、ゆっくりとウォルターのほうに歩み寄るサラ。
「きっちり最後まで吸いきればあんなことにはならないんだが…」
そう言って例の液体が入ったボトルを開けて飲むウォルター。相変わらず美味そうではない。
不思議そうに眺めるサラ。

「飲んでみるかい?アルカードの大好物だ」
少し戸惑いながらもウォルターから差し出されたボトルを受け取るサラ。一口含んでむせる。
「なんだいっ…これっ……、…まさか!」
「そうさ?アルカードに心酔した若い娘たちの生き血だ」
猛烈な吐き気に襲われるサラ。
「彼女たちが彼らのことを求めれば求めるほど、その味に深みが出て美味くなるらしいが、僕にはさっぱり分からない」
「ブラド様もこれを…?!けほっ」
「いいや、ブラドだけは飲まない。変わったやつだ」
「ブラド様はどこ?!あの人に会わせて!」
「ブラドに会いたいだって?笑」
「あの人はきっと誰かに脅されているだけなんだよ!でなきゃそんな… こんなところ、早く逃げ出さなくっちゃ!」
「それならここを真っ直ぐ進むといい。きっとブラドに会える」
「ありがとう!」
「それと、もうひとつ言い忘れたんだが…」
「え?」

振り返ったサラに突然ボトルで殴りかかるウォルター。サラは額を抑えて倒れこむ。


「な…にを…」
「お前みたいな泥臭い女をブラドに会わせるもんか!僕だってろくに口を聞いてもらえないのに!」
苦しそうに体をよじるサラにウォルターは怒り・悲しみをぶつける。

「僕はずっと彼らに尽くしてきた。全てを捧げて尽くしてきた!それなのに、どうして彼らは僕に何も話してくれないんだ!」
怒りのままにサラを殴りつける。必死に這って下手セット中段に逃げるサラを追い、躊躇うことなくボトルを振り下ろすウォルター。
「どうしてだ!何とか言え!言え!!言え!!!」

何度も何度もサラを殴り続ける。それでもまだ息があるサラ。
「ど、うしても…、き…きたいことが…ある…んだ…」

呻くサラにウォルターが止めをさそうとした瞬間、


パン!!


目が覚めるような大きな発砲音がして、ウォルターの胸から血が流れ出す。

銃口をウォルターに向けたマリアが上手に立っている。


「マリア…、君か…」
「ウォルター、すっかり彼らの操り人形に成り果ててしまったのね…」
「操り人形か…、君に言われるとは…」

そう言って自嘲するウォルター、ふらふらとセット下に降りてきて倒れる。

「聞いてくれよマリアぁ…彼らが僕を必要としてくれないんだ…この、僕をだよぉ?!」
銃口を向けたまま黙って聞いているマリア。

「せめて…、この血を吸ってくれたらいいのに…」

「血は吸ってもらえなかったけど、代わりにたっぷり吸ってもらえたものがあるわ」
「なんだい…?それは…」


「魂よ」


それを聞いてふっと肩の力が抜けたように見えたが、一瞬ののち、まるで理性の糸が切れたかのように獣のような雄叫びを上げながらマリアへ向かっていくウォルター。

その胸に2発目の銃弾が撃ち込まれる。それでも止まらない。

さらにもう1発。

撃たれた反動で後ろにあった椅子に体を沈め、ウォルターは完全に動かなくなった。


そこへ上手セット上段からブラド登場。

「いいよ、マリア。いい覚悟だ」
「この二人はよく似てるわ。アルカードなしじゃ生きられない。でも私は違う」
「すっかり満ち足りたようだね」
「わたしに足りなかったもの、それは、どんなことをしてもアルカードをこの世から消し去りたいと願う強い気持ち」
「手放しの愛は掃いて捨てるほど浴びてきたからね。一度は向けられてみたいと思っていたんだ。ぞくぞくするような憎しみの刃を」
「でもこんな銃じゃあなたたちは死なない。あなたたちは化け物よ。さあ、お仲間はどこ?」
「カーミラたちなら食事を終えてほら、」

ブラドがぱちんと指を鳴らすと、カーテンの向こうに天井からぶら下がっている塊のような影。
「なんなの…あれじゃまるで…」
「蝙蝠のお昼寝っ♪ははは」声を上げて嗤うブラド。
「ひとつ、聞いてもいいかしら」
「…どうぞ(笑)」
「あなたたちのような存在がなぜいま姿を現したの」
「僕たちはいつだって存在するさ!姿形を変えてね。それは君たちが弱いからさ!」「どうやら人間という生き物は盲目的に愛情を注ぐ対象が必要らしい」「そのために戦争だって引き起こす。僕らは、そんな愚かな人間たちに罰を与えるために神様から遣わされた…呪いの使徒♪」
「とんだ神様ね」
「続きは君が再び僕の前に立てたら教えてあげるよ」
「どういう意味?」
「さっきの銃声はカーミラたちの眠りを妨げた。君が言った通り、銃で僕らは殺せない。さあ、君はどう戦う?」


銃声で目覚めたメンバー、吸血鬼らしく白シャツに裏地が赤の黒マントを羽織って登場。
ブラドは挑発するような笑みを浮かべたまま椅子に腰掛けセットの奥へ。

メンバーたちはマントを翻し、マリアに襲い掛かる。

素手で応戦するマリア。

カーミラに正面から噛み付かれようとしたそのとき、グサッと何かが刺さる鈍い音。

カーミラの表情が歪む。


「き、貴様ぁ…!」


ふらふらとマリアから離れたカーミラの胸には銀の杭が。


「教会の十字架を溶かして作った特注品よ!」

瞬く間にカーミラの体は炎に包まれ、凄まじい断末魔の叫びを残して灰となる。(のイメージでセットの中へはける)


「安心しなさい、…人数分あるわ!」

そう言ってコートを広げて見せるマリア。
マントを脱ぎ捨てなりふり構わないモードのメンバー。

(両者、睨み合って一歩も引かず、みたいな状況をダンスで表現してるんだけど、ダンスの知識が浅すぎてうまく言葉にできないわたくしめをお許し下さい(土下座))

激しい攻防の末、オルロックまで杭で打たれ(しかも2本)、セット後ろの梯子から飛び立つようにして蝙蝠の姿に戻って逃げ回るジルド・サンジェルミ・ポプシー・バットの4人(というイメージの映像がセット後ろのスクリーンに映し出されている)
しかし抵抗も虚しく、マリアがカーテンをはがしたことにより聖なる日の光を浴びてしまい炎上(セット上段の天井から下げられた布がマリアの動きに合わせて落ち、ひときわ眩しいライトの光でこれを表現)

これで終わった、と息をつくマリア。

そこへ、


「朝の光は清々しいけど、目に沁みるね」


寝ぼけたようなトーンでブラドが現れる。驚くマリア。

「あなた…!日の光を浴びても平気なの…?!」
「見ての通り、僕は炎に包まれない。もちろん十字架も効かない」
「あなた一体…!」

と、ここで瀕死のサラが突然現れてマリアの足を掴む。再び驚くマリア。

「あんたばっかりずるいよぉ…わたしだってブラド様に、聞きたいことが…ブラド様…ブラドさまぁ…」

弱った体で必死にブラドに手を伸ばそうとする。
「ひどく血が出てる。もう喋らない方がいい」と、優しく声を掛けるブラド。
「初めて会ったときから、気になっていたんだ…、あんた、どうしてそんな哀しそうな眼をしているんだい…」

「…てっぺんからの眺めっていうのはね、サラ。とても退屈なんだ」

そう言ってサラの元へ歩み寄る。

「でも今回は君たちのおかげで退屈せずに済んだ。…おやすみ、サラ」
「ああ、ブラド…さま…」

そっと撫でるようにサラのサングラスを外して自分の胸元に差すブラド。

そのままマリアに背を向けて立ち去ろうとするが、

「待って!まだわたしの質問に答えていないわ!」遮るように「マリア!!」

「よーく思い出してごらん?もう答えたじゃないか」

納得いかないマリアはブラドを追うが、逆に捕らえられる。


「僕を楽しませてくれたご褒美をあげよう」


マリアの首筋に牙を立てるブラド、そして耳元で何か囁いた?

はっとしたような表情のあと、その場に崩れ落ちるマリア。

ブラド、髪を耳にかけながら、


「美味しかったよ…君の、愛は」


そして燃える館の中へ消えてゆくブラド。

呆然とするマリアを残して幕が下りる-


上手からオルゴールの婦人、
「こうしてアルカードは忽然と姿を消し、彼らと世界を繋ぐ唯一の架け橋だったサイトも、この日を境に消滅したそうです。嘆き悲しんだアルカドニアたちは各地で暴動を起し、一大スキャンダルとなりました。しかし、それでも彼らが戻ってくることはありませんでした」

下手から紳士、

「謎の大量失踪事件に関わったであろうアルカードの存在は汚点とされ、その名を後世に残さぬよう、人々は必死で口を噤んだのです。しかしどんな時代も熱狂的な信者は生き残るもの。まさに今日ここにお集まりのみなさまのように」

中央幕から車椅子の婦人、
「我々はブラドに永遠の命を吹き込まれた選ばれし者」


オルゴールの婦人→サラ
紳士→ウォルター
車椅子の婦人→マリア


サラ「天使だって悪魔だって、なんだっていいじゃないか!」
ウォルター「聞き分けのない者には彼らからきつーくお仕置きをしてもらわないといけないな」

マリア「彼を退屈させちゃだめよ。彼は今も、遥か遠い彼方の頂から、わたしたちを見ていてくださるのだから…」


マリア「そうでしょう?ブラド…!」


暗転-


からの、2階通路柵から手を伸ばして蠢くグールアルカドニアたち。

闇に響くブラドの声。

「ようこそ。親愛なる、そして最悪なるアルカドニア」

照らされたステージ上にブラド、イントロとともに客席後方からメンバーがステージへ向かう。

カーミラとオルロックは一段下でポーズをとる。そして全員ステージ中央へ。


LAST ALUCARD SHOW-


ブラドの歌声とともに力強いダンスで魅せるカーミラ・オルロック・ジルド・サンジェルミ・ポプシー・バット。

間奏部分の激しいリズムに合わせて狂ったアルカドニアたちもステージへ。

アルカード、そしてアルカドニアたち、まさに狂演のショー。


そしてアウトロ前、音が途切れた瞬間、ブラドの最後の言葉。


「これは全て、君たちが望んだことさ…!」


アウトロに乗せて舞い散る赤い羽根。(しばらくしてメンバーはけたと思う)

最後はセットをスクリーンに見立て、音楽・振付・演出のクレジットを映して、客席から大きな拍手。


*************


音楽…篤志

振付…MIKIKO

演出…河原雅彦


*************


THE ALUCARD SHOW-

終幕.