Sherri Betz氏「高齢者のためのプログラミング」 | めるもバレエ metamorphose Ballet

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 アメリカから初来日されたSherri Betz氏のWSを福岡で受けてまいりました!Sherri先生はポールスター・ピラティスの副代表で理学療法士、骨粗鬆症の専門家の方です。今回はSherri先生の専門分野である高齢者の方に向けたプログラム・デザインについて主に講義していただきました。

 以下、かぎかっこ内はSherriさんがお話してくださったことで、わたしが感銘を受けた部分の抜粋です。一字一句正確なものではなく通訳さんがその場で訳してくださった概要の、さらにわたしの記憶からになります。

 「週一回の高齢者のためのグループ・クラスがわたしが最も誇りに感じるクラスです。できるだけ多くの高齢者の方にできるだけ長く社会に貢献してもらいたいので、ここにいるみなさん全員が週に1回高齢者のためのグループ・クラスを持つことがわたしの夢です」
 それは間違いなく社会を支える大きな力になります。わたしは今グループ・クラスを担当していないので考えるきっかけになりました。実はグループ・クラスが苦手でもあるのです…。でも苦手を乗り越える自分のためのトレーニングにもなりますし、今後は機会を作って社会貢献できたらと僭越ですが検討しています。

 Sherri先生の資料の中で驚いたのが完璧な胸椎伸展をしている老婦人の写真があったのですが、なんと82歳で骨粗鬆症と狭窄症をお持ちの方なのだそうです。しかもダンサーでもインストラクターでもないそうで、あれほど綺麗な伸展ができるようになるとは。。。

 「骨粗鬆症というと大事に大事に、動かさないようにしなければいけないイメージがありますができることはたくさんあります。身体は何もしないでいると坂を転がり落ちるように悪くなっていきます」

 ポールスターにはご高齢の方を安全にそこまで持っていくしっかりとしたストラテジーがあるのですよね。それがポールスターの原理原則です。あまり保守的になってばかりでは良くなるものもならないのです。

 具体的な例を挙げつつこのようなお話をしてくださるSherri先生の自信は、まさに現場で高齢者の方に教え、実際にたくさんの成功例を築いてきたからに他なりません。

 大御所になればなるほど、インストラクターにしか教えないインストラクターの方もいます。「週一回の高齢者のためのグループ・クラスがわたしが最も誇りに感じるクラス」とおっしゃるSherri先生とは対照的です。インストラクターに教えるピラティスは試験対策的なものから脱却せず「こういうクライアントさんが来たらこうだよね」と現場を想定した脳内シミュレーションに過ぎません。それでは本当に困っている人を導くための鍛錬はなかなかされないとおもいます。イントラにしか教えないイントラに教わったインストラクターも、現場力は身につきづらいのではないでしょうか。
 どれほどキャリアを積んでも現場に立ち、それを誇りにされているSherri先生は輝いていらっしゃいます。わたしも何よりも一般の方を見させていただいていることに感謝し続けていきたいです。

 「コア・コントロールができなくてホームに入る人はいないけれど、脚力が落ちて歩けなくなってしまったら入らざるを得ないです。最も大切なのは立位、歩行、脚力です。そのために片足立ちができるようになること、65歳の時点で片足立ちでのヒール・レイズが25回できることが目標です。手首を骨折しないために必要なことは手首の強化よりもバランス・トレーニングです」
 バランスとそのためのアライメント、脚力の重要性!まさにその通りです。高齢になってもそれを維持するためには今からがんばるしかありません。

 「何時間もかけて正しい腕の動きを教えます」
 これを聞いてとてもうれしかったです!正しいアーム・アークはとても難しく教えるのにいつも苦労しているパートなのですが、どうしてもどうしても綺麗な軌道で動く腕の軌跡しか見たくないのです。時間がかかってしまいクライアントさんに申し訳なく思うことも多々あるのですが、自信を持って時間をかけようと思いましたw 難しい動きは時間をかけるしかないこともあるのです。

 「マッサージは楽しいから受けるのであって、身体が良くなるために受けるものではありませんよ。どこかの筋肉が固くなるのは身体が上手く使えてないから、偏った筋緊張がこわばりを招くからです」
 こわばりや偏りを修正するにはマッサージではなく正しい動きをするしかない、だから普段の生活の中で正しく動けるようになる努力をするしかありません。それがピラティスであり、それを教えるのがインストラクターなのです。

 「ピラティス」と銘打ったセッションで枕を使って横になってマッサージをしているのを見かけるのですが(しかも理学療法士でないのに!)、本当に問題を解決に導いているのか疑問が残ります。そういうセッションはインストラクターとクライアントの馴れ合いになってしまっているのかもしれません。正しい動きを覚えることはイントラも受け手もお互いが必死にならなければ達成できませんが、マッサージは「なんだか気持ちいい、良くなった気になる」とクライアントが思い、提供する側も「なにか良いことができた、気持ちよくなってもらえた」となっているだけかもしれません。立って歩いてスタジオまで来た人をベッドに寝かせることは矛盾があります。楽をしてもらうことは弱くすることに簡単に繋ってしまいます。ピラティスに仰臥位があるのは固有感覚のヘルプのためフィード・バックを感じるためであり、基本は立位、あるいは立位を想定した仮想立位の仰臥位です。寝ることはピラティスではありません。

 繊細で細かな身体の動きを「感じる」ことはなんだか頭がいいような気がしてインストラクターもクライアントもお互い自分に酔えるかもしれませんが、ただ感じている場合ではなく実際に強くならなければ意味がありません。65歳で25回のヒール・レイズが目標なのです。どれだけみっともなくてもインテリジェントに見えなくても、はじめはベーシックなエクササイズを一生懸命やるしかありません。ダサい動きでもそれがいつしか繊細な美しい動きに繋がっていくことを信じて盲目的にやり続けるしかないのです。ベーシックを通らずしてインテリジェンスな動きには辿り着けません。わたしもピラティスやり始めはダッサダサでひどいものでした。今はだいぶましになりました。

 わたし達にはいつもいつも何か目新しいエクササイズが必要なのではないとおもいます。ベーシックなエクササイズにおける動きの精度を上げていくことが、上手な立位と歩行に繋がっていきます。ピラティスやボディ・ワークの資格を2つも3つも持っているのにベーシックすら上手くできない方がいますが、意識が外にいってしまいすぐに他が気になってしまうからそういう状態に陥っているのかもしれません。各団体ごはんを食べるために手ぐすね引いていますから、「新しい知識」はマーケティングの勧誘だったりもします。誘惑に負けずに一つ所で自分に集中していけばきっと上手くなります。自信がないと目移りしてしまいますが、自信が持てるようになるまでには時間がかかるものなので浮つかず落ち着いて継続的にがんばりましょう。もちろん資格を取ることが悪いことでは全くなく、2つ3つと重ねていくうちに知識も動きもきちんと向上していくことがベストです。

 話がずれてしまいましたが、ポールスターに継続教育が課せられているのは何度でもベーシックに戻ることが大切であるから、と確認するためでもあるようにおもえたSherriさんのワークショップでした。もちろん、継続教育で最新の情報を提供していただけるWSも多々ありますから、やっぱりポールスターはすごいぞーとおもいます!いえーい !

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