ごきげんよう。栗毛馬です。

 

刺繍の話の続きです。



私が刺繍を始めたのは、15年ほど前。

きっかけは、母が買ってきた佐藤ちひろさんの本「ちいさな刺しゅう」でした。

 


刺繍には全く興味がありませんでしたが、何気なく手に取ってパラパラっとめくって驚きました。

こんなに愛らしく、美しく、洗練されている刺繍があるなんて!

今は、こんな刺繍があるんだなぁ…。知らなかった。


失礼ながら、それまで私の頭の中にあった「刺繍」は、小学生の家庭科でやらされるようなもののイメージ。

カラフルすぎ、あたたかみと手作り感が強すぎ…要は、「ダサい」。

 

刺繍へのそんなイメージが180度ひっくり返った瞬間でした。

素敵だ。この刺繍なら、好き!

 

 

「何か気に入ったのある?刺すわよ」

老婦人に聞かれて、
「これがいい!」

即答したのは、もちろん『ロバ』。

 

ところが、

「ロバ!?こんなの、できるわけないじゃない!これはロングアンドショート(注:ステッチの名前)だから難しいの!もっと簡単なのにして!」

と言うではありませんか。

 

え、難しいの?そんなん知らんよ。そうか、ロバは難しいのか…。

残念に思い、次に気に入った『ハリネズミ』を刺してもらいました。

 

老婦人、「これならなんとかなりそうだわ」と受注してくれて、できあがったのがこちら。



かわいいでしょう?


ところが、老婦人はできばえが著しく気に入らなかったらしいのです。

それで、「この本は、難しい!うまくできないから、もうやりたくない。自分で刺して」だって。

 

私にはあのハリネズミのどこがいけないのだかさっぱりわかりませんでしたが、作り手には、見るだけの人にはわからないポイントやこだわりがあるのでしょう。

それにしても、ロバ…。こんなにかわいいモチーフの完成形が見られないなんて残念すぎます。

母がやらないというならば、自分でやってみるか。

というわけでやり始めたら、性に合っていたのでしょう、自分では普通に刺していただけのつもりですが、

「どうしてそんなにきれいにできるの!」
老婦人が驚愕するのです。

こちらも驚いて、
「別に、普通だよ!何も難しくないよ。埋めていけばいいんだもん」
思ったとおりをそのまま返しましたが、

「それが、普通はできないのよ!私だってエスカの先生にすごく褒められたことがあるのに、その私よりずーっと上手!やったことないのにどうして?」
と、なぜか怒られる始末。

※『エスカ』とは、デンマークの伝統的な手芸です。布に刺繍をしてボール紙に貼り、小箱に仕立てます。私も一度だけ挑戦しましたが、大変すぎて二度とやりたくないと思いました。

 

完成したのが、こちら。





 

この、やさしい目。だからロバって好きなんです。

 

刺繍の面白さを知った私はすっかりはまって、佐藤ちひろさんの本を買い集め、次々に刺しました。

 

 

 

『やさしい刺しゅう』から『ケーキ』

 

 

 

 

 

同、『うみがめ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『STITCH LESSON』から『ぶた』

 

 

 

 

刺繍は、集中して無になれるのもいいところです。

 

ただ、刺繍したものを小物に仕立てるのはとても大変!

たとえばエコバッグなど、市販の完成品に刺繍をするのは仕立て要らずで楽ですが、その分刺繍自体がやりにくい。

 

それで今はやっていませんが、久しぶりに見たらまたやりたくなってきました。

 

でも、ステッチの刺し方や会得したコツ、きれいさっぱり忘れちゃった。

 

↓『アルファベット刺繍』を見て勉強しなおすか…。