ごきげんよう。栗毛馬です。
うちの老婦人こと母が、
「ロールケーキが食べたい。食べたい食べたい食べたい!」
と騒ぐので、つられて私も食べたくなってしまいました。
でも、なかなかないのですよね、シンプルでおいしいロールケーキって。
銀座ウエストのモカロールはおいしいけど、今回はバタークリーム系ではなく生クリームのものがいいのでまた今度。
フルーツなどは不要。素材の良し悪しとパティシエの腕前がダイレクトに反映される、ひたすらシンプルなものがいい…。
京橋で所用があったので、ついでにトシヨロイヅカ東京へ寄ってみることにしました。
こちらは老婦人がかなり前から行きたい、食べてみたいと言っていたお店(テレビで鎧塚シェフの特集を見て、素材から作る信念あるお菓子作りに感銘を受けたのだそうです)。
私も行ってみたいと思いつつ、延び延びになっていました。
有名なパティシエのお店ですから、きっと凝ったケーキが多い。昔ながらのシンプルなロールケーキなんてないだろうけど、なに、おいしいケーキ✨が食べられるのなら結局なんでもいいのです。
「ずいぶん変わったのね…!」
実に30年ぶりの京橋だという老婦人、口をあんぐり。
「昔は企業とショールームばかりの印象だったけど、おしゃれになったこと!」
本当に、京橋って素敵なところなのですね!
まず目を奪われたのが、植栽がモジャモジャとはみ出て茂るビル。
それから、おしゃれげなカフェがこれでもかと。
おやっ、日本橋タカシマヤの看板が見えるではありませんか。
目と鼻の先といってもいい距離に…!
「あんなところにタカシマヤが!」
指さしましたが、
「タカシマヤ?そんなわけないじゃない」
一瞥もくれず斬り捨て老婦人。
「いや、あそこに!ほら!」
さらに激しく示すと、
「あら、本当だ!こんなに近いの?これならいつでも来られたじゃない」
「本当。知らなくて損したね…」
さて、トシヨロイヅカ東京。
カフェは混んでいたので、ケーキをテイクアウトしてきました。
モノトーンのモダンなケーキ箱。
選んだのは、鮮やかな山吹色が美しいマンゴーが巻き込まれたロールケーキと、「糖質オフ」が謳われたアールグレイのロールケーキ(メロンのショートケーキにも心惹かれましたがロール状の形優先ということで我慢しました)。
ケーキは絶対に動かないよう、テープで箱にガッチリ固定されています。ありがたいけど、剥がすのがとても大変。早く食べたいのに…。
あっ、焦りで手元が狂って、指を生クリームに突っ込んでしまいました。
↓指の跡が見えない位置から撮影
ようよう皿に載せ、早く食べたい気持ちを抑えつつ撮影していると、先に食べ始めた老婦人が一言。
「スポンジが、おいしくない!ずいぶん変わったスポンジだわ」
えええ、そうなの?
言われてみればずいぶん色が白いスポンジのような…。
自分でも食べてみて。
ずいぶん詰まってる。そしてそっけない。不思議な香りをほのかに感じる。
確かに変わったスポンジだ、と思い。
ん?スポンジ?
「…これ、パンだよ!ロールケーキじゃなくて、薄切りパンを使ったフルーツロールだ!」
叫びました。
老婦人もびっくり仰天。
「えっ!まさか。(一口食べて)本当だ!言われてみればこれはパンだわ!全然気づかなかった!」
たぶん、パンで間違いないと思う…イーストっぽい匂いもするような気がするし。
生地はきめ細やかでなめらか。しっとりとして、フォークで容易に押し切れるほど引きがなく、口どけがいい。パンらしい弾力も感じられる。
どういう配合なんだろう?生クリームでも入っているのかしら?
ふわふわ甘いスポンジを想像していたので面食らいましたが、これだって十分おいしいよ…。スポンジに比べれば砂糖が少なくて健康的だし。
でも、パンか…。ケーキが食べたかったんだけどな。
思い返せば商品名は「ルレ・マングー」(マンゴーロール)。「ケーキ」とは一言も書いてなかった。
けど、いかにもケーキ風に、ケーキと同じショウケースに並んでいたら、誰だってケーキだと勘違いすると思いません…?
生クリームはあっさりとして柔らかで美味。
さすが、素材にこだわり抜くというトシヨロイヅカではあります。
素材といえば、マンゴーのおいしさが凄かった!
ねっとりとした果肉はとても密で、濃くて甘い。ぐじゅぐじゅせず、歯を押し返すかと思うほどの詰まり具合。しかし、筋っぽさは皆無。
ジューシーというよりとにかく濃厚!羊羹だったら間違いなく「夜の梅」。
こんなにおいしいマンゴーは食べたことがないです。
あっさり、サッパリのおいしいフルーツロールでしたが。
「ケーキ」を求めて食べた口には、正直ちょっと物足りない。
糖質オフのアールグレイロールも続けて食べてしまうことにしました。
「これは確かにケーキなのよね?パンじゃないわよね?」
疑わし気な老婦人。
「たぶん…。自信はないけど」
では、いただきます。
口に入れると、たっぷり打たれた紅茶シロップがジュッと溢れ、アールグレイの華やかな香りが口中に広がりました。
パァッと香るけど、きつ過ぎない。なんて上品な。ややや、これはきっと大変高級な茶葉ですぞ。
普段家で飲んでいるアーマッドとは大違い!
↓常備しているアールグレイ。これはこれで、穏便で飲みやすくて好きです。
ただ、ねぇ…。こんな感じか…。
おいしいか、と問われれば肯定しますが、すごくおいしいか?と訊かれたらためらってしまう。
「甘くないし、スポンジもボソボソ…。中途半端だわ。これなら普通のケーキを食べた方がずっといい。糖質オフって、じゃあ代わりに何が入っているの?って感じだし」
と、言いたいこと全部まとめてくれた老婦人。
決してまずいわけではないです。
奥様を病で亡くされている方ですし、健康を気遣う方や、糖質が気になる人でも食べられるようにと、やさしい気持ちで開発されたお菓子だと思う。
自分たちが求めるものとは違ったみたいだ…というだけ。
ケーキを食べるときは、糖分やカロリーの凄まじさは覚悟した上で食べます。
だからこそ、最高においしくないとイヤ。
リスクに見合う価値と言いますか、心の喜びが、体への悪影響を打ち消すほどのおいしさでないと…。
「ケーキ」に求めるものは人によって異なると思いますが、ケーキらしいおいしさに加えて、
「うれしさ」「おいしさ」「満足感」
精神面での充足感も求めるタイプの人には、『健康ケーキ』は向かないかも。
満足できなくて、結局「ちゃんとしたケーキ食べたいね」ってなるもの。
カロリーもお金も余計に掛かる…。もちろん、体にもさらに悪い。
ただ、
- 病気で、本当に厳しく糖質などを管理しなければならない人
- 甘いものが苦手だけど付き合いで食べなければならない人
にはピッタリだし、とても喜ばれるのではないかと思いました。
あと、マンゴーは本当においしかった。
メロンのショートケーキ、食べてみたかったなぁ…。