疲労感が残るトレーニングメニューは良いのか悪いのか

昨日、あるマスターズスイマーとお話した時に、自分が参加しているマスターズ練の担当のコーチは、一見少なく軽そうに見えるメニューだけれど、とても苦しくて疲れるからマジックだ！！

ととても褒め称えていました。

そうでしょうか？

私はそういうメニュー作りには反対ですが、敢えてそれに対して意見は言いませんでした。

特にマスターズスイマーの場合、とても疲れたと感じることで達成感を得る方もいますから。

でも、そういうメニューではタイムアップは無理です。

その練習メニューの内容は、最初から最後までが、昔流行った「耐乳酸トレーニング」のように長いインターバルで行うものでした。

1本ごとに心拍数がかなり下がってからまたスタート・・・という繰り返しなので、キツイわけです。

このようなトレーニングは特に中高年マスターズスイマーには心臓の負担も大きいと思います。

だから苦しいわけで、それは筋肉が鍛えられたからでもなく、心拍数が落ちてから飛ばすので、酸素不足で疲労物質が溜まってしまうわけです。

乳酸が疲労物質だと思われていたのは、かなり過去の話。

ですから、「耐乳酸」という言葉も意味がありません。

乳酸はエネルギーに変わるもので、それには大量の酸素が必要なので、心拍数を落としてしまっては乳酸がエネルギーにはにくいわけです。

それで血液が酸性になってしまい、筋肉が働きにくくなるわけで、確かに辛いわけですが、そういう状態に耐える練習をすることはナンセンスで、そういう状態を作らないようにコンディションを作り上げるのが正しいトレーニングだと言えるわけです。

現役選手だと、メニューの作り方がおかしい、と気づく選手も多いものです。

今、ちょっと話を聞いてあげている高校生選手も、去年の4月から担当コーチが代わり、毎日インターバルの長い距離の短い練習ばかりなので、妙に疲れるし泳ぎも乱れてきて、タイムは中学生の時より悪くなってしまったと嘆いていました。

以前担当だったコーチの時は、トータルの量は今よりすごく多かったけれど、疲れが残るということはなかったし、メインメニューでどんどん追い込むことができたと言うのです。

その選手は、長距離の選手でもあるので、もっとインターバルの短い練習や長めの距離の単位の練習もたまには入れて欲しいと要望を出したそうですが、理由もなく却下されたそうで、所属クラブを替えたいと言っていたので、私も、大事な時期だから、移籍できるのだったら年度替わりの今こそ急いで替わった方がいいと話しました。

自分の実力に合わない練習を我慢して続けて、ものすごくタイムを落としてしまい、結局競泳自体を辞めてしまった選手を見ているから。

萩野選手が日本選手権直前に言っていたように、脱力して大きな泳ぎを続けることが、速く泳ぐための重要な要素です。

先日世界新記録を出した競歩の鈴木選手は、とても調子が良い時は、雲の上を歩いているように軽い・・・と言っていました。

オリンピックのマラソンで金メダルを獲得した高橋尚子選手は、走り終えた直後、笑顔で、

「とっても楽しい、４２．１９５ｋｍでした！！」

と言ったのは、有名な話です。