台風のレポートでは、必ずと言っていいほど激しい風雨の中にレポーターが立って実況報告をしていますが、どうしてそんな必要があるのか、いつも疑問に思います。
今朝見たニュースでは、女性キャスターが強風の中にいて、「キャー」「キャー」と悲鳴ばかりでレポートになっていませんでした。
また、スタジオからの質問も風雨で聞こえず、やりとりが成立しません。
強風で転倒して怪我人が出ているという所になぜ人が出てレポートをするのか？？？
風雨の凄さは室内から映した映像で良くわかります。
強い風雨の中で人がどうなるかは、安全を考慮した実験室の映像で良くわかります。
さて、水泳のお話・・・
流体の中で高速で進むためには、揚力を考える必要があります。
東京オリンピックの頃は、水を後ろに押すことだけを考えていた泳ぎです。
そこから、S字ストロークが生まれましたが、当時は、腕の軌道を長くするから・・・という理由が主流でした。
その頃はまだ、水を後ろに押す力で前に進むという考えが主流だったからです。
揚力という昔から飛行機や船で応用されていた理論にやっと水泳界が気づき、スカーリングプルという方法が流行るようになりました。
S字プルにさらに手のひらの向きによる揚力の考えをとり入れたものです。
そこに重心移動・前重心という理論が入り、水を真っ直ぐに押さえて腕を速く回した方が良いという考えに変わりました。
I字ストロークという名前が出来て、理論だけ聞いたコーチの多くは、手のひらを真っ直ぐ後ろに動かせばよいという誤解のまま指導していたようです・・・というか今でもそういう指導者が少なくないのに驚かされます。
I字というのは、外から見て手の位置が動いていないからという意味であり、
● 手のひらから前腕にかけての「面」で水を固体のように押さえ、自分の身体を前に進めているわけで、微妙に手のひらの向きを変えないと水はうまく抑えられません。
プロペラの原理です。
竹トンボを作る時、羽は、真っ直ぐではなく微妙に捻っていないと跳びません。
プロペラはその原理で、微妙に捻った羽を進行方向に垂直面で回して推進力を得るわけです。
換気扇や扇風機を見ればその原理はお分かりになると思います。
そして、
● トップレベルの選手のストロークを良く見ると、入水からキャッチにかけてとプッシュオフではスカーリング効果を十二分に使っていることがわかります。
スカーリングというと、進行方向に対して腕を横向きに振ること、と思われる場合が多いのですが、進行方向に対して直角であれば、縦方向のスカーリングもあることを考えるべきです。
リアースカルの応用の練習をさせるコーチは、それが良くわかっているコーチです。
リアースカルとは、水面にうつ伏せに浮き、気を付けの姿勢から、上腕は体側に付けたまま、肘から先で水面にほぼ垂直面で8の字を書いて進むものです。
プッシュオフでは、水面に腕を戻す必要がないので、その動きの応用で、肘を曲げた状態から手のひらを「ハ」の字に勢い良く水を切るように動かして進むドリルを行います。
まだまだ、クロール・背泳ぎ・バタフライで、親指が腿に付くまでかいて・・・という指導をするのを良く見かけますが、オリンピックや世界選手権を見ても、そこまで腕を後ろに動かしている選手はいません。
ペンギンは、あの短い羽で、一回の羽ばたきで驚くほど進むのをテレビや動物園で見たことのある方も多いと思います。
一番速いペンギンは時速３５ｋｍで泳ぐそうです。
時速３５ｍと言えば、（3600秒で割ってみればおわかりのとおり）秒速約１０ｍです。
空を飛ぶ鳥の場合は、風に乗って進む場合が多いのですが、ペンギンの場合は水流がなくても速く進んでいるのを良く見ます。（動物園の水槽など）
羽ばたきは前から後ろではなく、空飛ぶ鳥と同様、上から下に羽の面を微妙に変えながら動かしています。
また体型も流線型・・・
流線型と紡錘形は違います。
流線型は膨らんでいる部分が中心より前です。
お腹が出っ張っている方は紡錘形、肋骨が大きく広がり、肩甲骨が開いて、お腹が凹み、骨盤が細く閉じた状態が流線型・・・
水中生物に学ぶところは大きいですね！！
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