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メンズビギ横浜店スタッフによる、何でもアリのフリースタイルブログ

すっかり春の陽気になってきた

今日この頃…

こうなってくると

春のファッションへのお熱が

俄然上がってくる方も多いのでは?


ということで、

今回の「GMのどうでもいい話」は

小っ恥ずかしくて私が苦手な

お洒落についての話である。

あ、お洒落とはいっても

トレンドや着こなしの話ではなく、

洋服の取り扱いや接し方についてだ。


普段お客様からよく聞かれるのは

『これ、家で洗えますか?』である。

そんな時私は洗濯表示を確認して

一応オモテ向きの説明をするのだが、

心の中では

『何でも洗えるよ』と呟いている。


そう。私の場合は何でも洗えるのだ…

というよりも、何でも洗っちゃうのだ。

それは洗ってもし不具合があっても

自己責任だと覚悟を決めているから、

そこに一切の躊躇がないのである。

むしろこれを洗ったらどうなるか

この目で確かめてみたい衝動に駆られる。


でも、たいていの服は洗える。

それは洗剤や洗濯機も進化しているからだ。

しかも最近の服は型崩れの少ない

合繊繊維が含まれているものが多い。

必ず洗濯ネットに入れて

漂白剤が入っていない中性洗剤で

手洗いやソフト洗いのコースを選んで

洗濯機のスイッチをポン!と押すだけだ。

そして乾燥機は使わずに

干す時にシワをしっかり伸ばす。


私なんかこの方法で

コートやダウンはもちろん、

(さすがにこれは驚くかもしれないが)

昔レザーだって洗ってみたことがある。

このベジタブルタンニング仕上げの

味わい深いレザーライダースは

お店の代々のスタッフに受け継がれ、

現在は仁田が所有しており、

彼は今でもたまに着て来るぐらいだ。

さらにオイルドジャケットで有名な

英国製バブアーも何度も洗っており、

オイルが抜けて経年変化した

その何とも言えない雰囲気が

私は堪らなく好きなのである。


また、服を小さくしたい時は、

乾燥機の出番である。

逆に縮んだニットを大きくしたい時は、

ヘアリンスやコンディショナーを

ぬるま湯に溶かした中に服を入れ、

手でジワジワ伸ばしていく。


『可愛い子には旅をさせよ』


『獅子の子落とし』


こうした私の服に対する考え方は、

70年代のあるテレビ番組に起因している。

それは当時日本テレビ系列で

日曜午後1時15分から放映されていた

「TVジョッキー」という番組であった。


この番組の名コーナーの1つに
「奇人・変人コーナー」があった。
それは素人の参加者が
変わった特技を披露するコーナーで、
「ミミズをざる蕎麦代わりに食べる」とか、
「頬に針を突き刺す」とか、
「剣山の上に寝る」とか、
「牛乳とコーヒーを飲んで
目からコーヒー牛乳を出す」とか、
「ゴキブリをそのまま飲み込む」など、
そのグロテスクな特技と奇人ぶりは、
コンプライアンスという概念が一切ない
昭和ならではのテレビの世界だった。
ちなみにゴキブリを生で食った男は
その後死んだという噂が流布されたから、
令和の基準では不適切にもほどがある。

しかし、いま冷静に考えてみると
このコーナーの参加者は、
いつもこんなことをしていたとは思えず、
恐らく喉から手が出るほど欲しかった
優勝賞品目当ての一か八かの
一発芸ではなかったのだろうか?

その賞品とは?
当時日本中の若者の誰もが憧れた
白いギターとEDWINのジーンズである。

*画像はお借りしました

現代の平成や令和の若者には
とても理解できないだろうが、
アメリカンカルチャーに
ドップリと洗脳された
私を含めた当時の若者にとって、
白いギターとEDWINのジーンズは
その象徴として崇められていたのである。

そしてこの番組の合間に流れた
EDWINジーンズのCMが
当時小中学生の私にとって衝撃的であった。
それは…
ジーンズを穿いたまま風呂に入り、
石鹸を泡立てカラダと一緒に
ジーンズをゴシゴシ洗うというものだった。

そうなのだ。
お気に入りの服は
ゴシゴシ洗うのだ!
(あ、個人の感想です)
その行為は服を自分のモノにしていく
神聖なる儀式なのだ!
(あ、これも個人の感想です)

さらに中学生の私は、
ジーンズを洗うだけでは飽き足らず
風呂場にあった軽石を使って
当時流行りのストーンウォッシュにしたり、
母から家にあった足踏みミシンを教わって
パンツを好みの巾に詰めたり、
好みの色の染料を買って染めたり
独学で服のリメイクをしていくことになる。
おかげでパンツの裾上げや
ウエストのお直しなどは、
たいてい自分でできるようになった。
失敗することもあったが、
それはそれで着るだけでは得られない
服に対する知識や愛着が湧いてくるのだ。


ところで…
つい数日前のことだった。

この時期の販売員たる者は、
多少寒くたって率先して春らしい服装を
心掛けなければならないが、
私は数年前に買った白のカーゴパンツを
最近ローテーション入りさせていた。

これはファッション”あるある“だが、
買った当時はそうでもなかったのに
時間が経ってから良さを再発見して
ヘビロテになるということがある。
さらにパンツの場合は、
丈の長さの好みも変化していく。
去年まではこの丈で良かったのに
今年はもう少し長めに穿きたい気分
ということもある。
それはファッションのトレンドや傾向が
シーズン毎に少しずつ変化していることを
敏感に感じ取っているからなのだ。

さて、その白のカーゴパンツだが、
いまの気分に照らし合わせてみると、
丈が少し短い気がしたのである。
一度気になり始めると
それが時間とともに増幅していく。
パンツは巾と丈のバランスで
大きく見え方が変わるもので、
お洒落たる者には
ミリ単位のコダワリが求められるのだ。


あと1センチだけ長くしたいな…。

私はその日の夜、
早速プロジェクトに取り掛かった。
まずは裾のステッチをほどいて伸ばす。
すると裾の折り目の部分に黒ずみがある。
まずはこれを取り除かねばならない。
浴室の洗面器に40度ぐらいのお湯を張り、
その中に漂白剤入りの洗濯洗剤を入れ
パンツの裾部分を30分浸け置きした。
さらにウルカしたウタマロ石鹸を
歯ブラシに付けてゴシゴシ擦った。
仕上げにセスキ炭酸ソーダ水を吹き掛け
念入りに一晩浸け置きすることにした。

そして事件は翌朝に起こった。

予想通り裾の黒ずみはほぼ取れていた。
そのままこれで済ませば良かったのだが、
その時の私はなぜか完全主義者だった。
よせばいいのに
もっと白く!もっと白く!
と自分自身を駆り立てた私は、
とっておきの奥の手を使うことにした。
それはキッチンハイターである。
(よい子はマネしないでね!)
これはリスクが高い劇薬だが、
上手くいった時の効果は絶大だ。
なんたって何でも白くするのだから。

再び洗面器のぬるま湯に
キャップ一杯のキッチンハイターを入れ、
その中にパンツの裾付近を浸けた。
その間私は朝食を食べて
そろそろいいかな?と思い、
浴室の洗面器の中を覗いてみたら…

うわぁ!
何だこりゃ!

ピンクのムラ染めになっていたのである。
確かに白い部分はより白くなっているが、
そもそもこのパンツは純白ではなく
オフ白だったことに初めて気づいたのだ。

このデザインは攻めてる。
あまりにお洒落過ぎる。
今年還暦を迎えるオヤジが
こんなカーゴパンツ穿いてたら、
令和の奇人変人だ。

このやり方…
絶対オススメしません!

せっかくローテーション入りを果たした
このカーゴパンツは、
残念ながら現在故障者リスト入りで
登録を抹消されている。


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