岡山県倉敷市の美観地区にある和食料理店『ままかり亭』。
岡山を代表する郷土の魚「ままかり」をはじめ、下津井の活タコ、寄島の鰆、六口島の平目など、瀬戸内の旬魚と地酒を楽しめるお店。
郷土の味を県内外の人に楽しんでもらおうと、1985年に駅前通りにオープンしたお店「浜吉」の姉妹店にあたり、こちらのままかり亭は1989年にオープンしたそうです。
ままかりは岡山における地方名で、正式名「サッパ」という魚。
由来は「味がサッパりしている」、「笹の葉に似ている」などの説があるそうです。
成魚は鰯くらいの大きさの青背の小魚で、鮮度の落ちが早く、小骨も多くて調理に手間がかかるため、他県では漁獲があってもあまり食べられないそうですが、味はコハダに近いと言われています。
ままかりという呼び名の由来は、「まま(御飯)を隣の家にかり(借り)に行くほど美味しい」という話が特に有名。
他にも脂が乗る時期が秋の稲刈りの時期にあたることから「まま(稲)を刈る」でままかりになったとも言われています。
特に美味しい時期は5〜7月と10〜12月で、初夏は骨や皮が軟らかく、秋は脂が乗っていて美味しいとか。
サビキ釣りをしているとよくアジなどに混ざって釣れるのですが、確かに骨が多くて少し手間がかかるため、アジやイワシほどは嬉しくないのが正直なところ。
しかし実際に食べてみると、とても美味しい魚です。
お店で出しているのはあまり見かけないので、岡山に行ったら是非食べてみたかったままかり料理。
定番の有名店である、こちらのお店に行ってみることにしました。
この日は平日の水曜日、お店には夜営業開始直後の17時過ぎに訪問。
他にお客さんはおらず、17時半までの滞在で1人増えただけでした。
こちらのままかり亭は、築180年の米蔵を改築した店舗で、美観地区ならではの古風なたたずまいが魅力的。
メニューは地魚料理を中心としたラインナップ。
ままかりを食べるなら、特に人気なのが色んな料理を楽しめる「ままかり定食」。
今回はこちらを注文。
【ままかり定食】2700円(税込)
内訳は、ままかりのお刺身、ままかりの酢漬け、ままかり寿司、小鉢、お味噌汁、甘味と書いてありました。
ただ実際はこれより多かったです。
最初に小鉢(前菜大根酢漬け、えのきと水菜のおひたし、南蛮漬け、黒豆の煮物)、酢漬け、刺身が来ました。
酢漬けは焼いたものを三杯酢に漬けたものと、生のままかりに塩をあてた物を甘酢に漬けたものの2種類。
骨ごと頭も食べられるくらい柔らかく、さっぱりとして美味しいです。
特に焼きは風味も香ばしくて、より好みでした。
刺身はたこのぶつ切りと、ままかりの糸造り。
タコは弾力はありますが柔らかいです。
ままかりは青魚特有の風味はあるもののクセはなく、プリッとした身に大葉の刻みがよく合って美味しいです。
次は野菜の炊き合わせ。
出汁の効いた味付けで、冷やしてあります。
特にトウモロコシがシャキッとした食感で、香ばしい風味がたまらない美味しさでした。
次はままかり寿司。
ままかりは酢締めにされており、醤油をつけなくてもそのまま食べられます。
柔らかい身にふわっと広がるままかりの風味。
中のわさびが強めに効いていて驚きましたが、これも美味しかったです。
ご飯は白米ではなく山椒じゃこご飯。
ほんのりと広がる山椒の風味に、優しい甘さの効いた素朴な味付け。
最後のデザートにはトマトのコンポート。
グチュっとした食感や青臭い感じは全くなく、若干サクランボに近い味わいで驚きました。
自分で調理しても美味しいと思った魚ですが、やっぱりプロが作る料理は素晴らしいですね(^^)
好きです、ままかり!
ご馳走様でした!
ままかり亭
050-5869-8322
岡山県倉敷市本町3-12