(※訪問時期が3月下旬の時間差更新です。)
今では長崎名物の定番となっている、『ちゃんぽん』と『皿うどん』発祥のお店、明治32年(1899年)創業の老舗中華料理店。
ちゃんぽんと皿うどんの生みの親は、明治25年にこうもり傘一本だけを持って、福建省福州から長崎へ渡ってきた陳平順という方。
日清戦争を機に華僑に対する風当たりが強くなる中、行商などをしながら無心で働き、苦労しながら資金を貯えて四海樓を創業したそうです。
ちゃんぽんのルーツといわれているのが、『湯肉絲麺(とんにいしいめん)』という福建料理。
湯肉絲麺は麺を主体として豚肉、椎茸、筍、ねぎなどを入れたあっさりしたスープ。
これに濃い目のスープ、豊富な具、独自のコシのある麺を合わせ、日本風にアレンジしたものが『ちゃんぽん』になったそうです。
長崎に来ていた中国人留学生のために、安くてボリュームがあり、栄養価が高いメニューをと考案されたものだったとか。
当時は支那うどんと名付けられていたそうですが、『ちゃんぽん』と呼ばれるようになったのは大正時代になってから。
名付け親については未だにハッキリしてないとのこと。
福建語に「吃飯(シャポン又はセッポンと発音する)」という言葉があり、「ご飯を食べる」という意味だそうです。
この時期、華僑や留学生にとっては貧しい時代で、日々の食事が最大の関心事だったため、当時中国人は「吃过飯了嗎(ご飯を食べたか?)」という挨拶を交わしていたそうです。
「していない」答えると、四海樓では「では、うちで食べていきなさい。」と言って、ちゃんぽんを提供していたのかもしれません。
この挨拶言葉の「吃飯」が長崎人の耳にふれるようになって「支那うどん」と同義語になり、それが訛って「ちゃんぽん」になったのでないかというのが有力な説だとか。
また、皿うどんのルーツというのは『炒肉絲麺(ちゃあにいしいめん)』という料理。
炒肉絲麺はスープが無い、今でいう焼きそばのような料理。
当時外国からソースの輸入が盛んになると共に、国内でも盛んに生産されるようになってきたため、このソースの持ち味をベースに新しい味の料理をと、ちゃんぽんのバリエーションとして考案されたのが皿うどんだったそうです。
しかし現在皿うどんとして一般的に認知されているのは、油で揚げた極細麺の上からとろみを付けた具をかける料理で、これは本来「炒麺(ちゃーめん)」という料理。
皿うどんと混同されているらしく、四海樓では皿うどんというとちゃんぽんのような太麺の焼きそばのようなものが出てきます。
麺は椀や丼などの深い器に入れて食べるのが当り前だった時代。
スープがない麺料理が浅いお皿に乗って提供されたのは、当時相当インパクトがあったとか。
「うどん」状のものが「お皿」にのってだされてきたため、「皿うどん」となったのが名前の由来だそうです。
これらの情報は、四海樓の2階にある「ちゃんぽんミュージアム」に資料が展示されており、行ってみると四海樓やちゃんぽんの歴史についてとても勉強になりました。
また、これらの内容は公式ホームページにも掲載されています。
リンガーハットなど全国展開しているチェーン店や、市販の商品も数多くあり、長崎に行った時だけでなく、大阪でも割と日常的に食べる機会が多いちゃんぽんと皿うどん。
そしてどちらも大好物の料理です。
その発祥の店となれば、やはり長崎に来たら1度は訪れたいお店。
長崎自体は初めてではないものの、今までことごとく行くタイミングを逃してきたので、今回初めての訪問になります。
お店は大浦天主堂駅が最寄りで徒歩2分ほどの距離。
大浦天主堂、グラバー園など長崎を代表する観光地からすぐ近くにあります。
駐車場は敷地内かコインパーキングを利用。
一軒の飲食店というより、もはやホテルのような印象を受ける豪華な店舗。
現在の店舗は創業100周年となる平成12年の7月4日に新築オープンしたものだそうです。
レストランは5階にあり、エレベーターで登ります。
この日は土曜日、お店には18時前の到着。
5階に着くと、店内には沢山の待ち客の姿が。
この時点で30人待ちくらいでした。
しかし席数はかなり多く、回転もかなり速めの印象。
思ったより早く順番が来て、待ち時間は15分ほどで済みました。
メニューはちゃんぽん、皿うどんをメインに、様々な中華料理のラインナップ。
1人で来たためあまり色々食べれないので、今回はちゃんぽんと皿うどんのみを注文!
【蓋付ちゃんぽん】918円(税込)
こちらは大正時代から昭和初期にかけて、出前で使われていた器を復刻したという、少盛のちゃんぽん。
スープには丸鶏、豚骨、鶏骨を使用。
まろやかでクリーミーな口当たりの優しいスープで、海鮮などの具材の旨味も溶け込んでいる印象。
ラーメンなどのかんすい(炭酸カリウム約90%)を使った中華麺とは異なり、ちゃんぽんの麺には麦粉に唐灰汁(とうあく) (炭酸ナトリウム約90%)を入れて作るそうです。
太麺ですがそんなにコシは強くなく、少し柔めでプリンとした独特の麺です。
具材には豚肉、イカ、エビ、キクラゲ、キャベツ、もやし、ニラ、カマボコなど。
たっぷりの具材で栄養豊富なのもちゃんぽんの魅力の一つ。
やっぱりちゃんぽんは美味しいですね。
【皿うどん】1080円(税込)
パリパリの極細揚げ麺を食べ慣れていると、これが皿うどんということが意外に感じます。
四海樓では炒麺を注文すると、いつもの皿うどんが出て来ます。
ちゃんぽんと同じような麺、スープ、具材を使用した海鮮焼きそばという印象。
ソースをかけるとさらに焼きそば感が増します。
こちらも具材たっぷりなので、ちゃんぽんの後に食べると結構お腹にきました。
個人的にはいつもの皿うどんの方が好みでしたが、元祖の皿うどんを食べられて良かったです。
ちゃんぽんと皿うどんを食べるだけなら1人でも十分ですが、やはり基本は中華料理店なので、大人数で来て色々分けで楽しみたいお店。
今度はちゃんぽんも炒麺も食べたいので、複数人で来たいと思います。
この世にちゃんぽんと皿うどんを生み出した偉大なお店に感謝。
ご馳走様でした!
四海樓
095-822-1296
長崎県長崎市松が枝町4-5