自分に来る相談の中でこんな内容の相談が結構あります。
「食べログの点数を3.5以上にしたいです!」
昔と違い、今では広告や集客面においても影響力を持つようになった「食べログ」
確かにここで3.5以上の評価になると文字色が変わるので、ラーメン店だけに限らずこの点数を気にしている飲食店は結構あるのではないでしょうか。
自身への依頼においても、売上よりも「もっと美味しくしたい!」「お店の味の評価を上げたい!」というお店も結構ありますし、商品力向上だけを目的にした支援も今までに結構やっています。
実際に食べログの点数を上げるためだけのサポートをした案件もありますし、食べログの点数を上げること、さらには百名店に入ることまで出来た店舗もあります。
しかし、自分はあまりこの評価を気にしない販売戦略や商品戦略を打ち出すことの方が多く、お店の利益や売上向上を目的とする場合にはこれを気にしすぎる戦略はあまりおススメしていません。
もしあなたのお店が評価を上げたい!というのであれば、今から数回に渡って始まる長~いコラムをじっくり読んでみてはいかがでしょうかw
今回のタイトル。
結構攻めた内容ですがw、店によってはやりやすい場合もあれば、いくら商品力が高くても厳しい場合もあります。
なので、いくらお店が頑張ってもなかなか上手くいかないこともあるということです
そして、ある程度の「技術」「知識」「クオリティ」「資金力」「時間」も必要になってきます
そして何よりも
「努力」
これが無ければ絶対に出来ないということを付け加えておきます。
ではそのために必要なポイントごとに詳しく説明していきましょう
●立地(都道府県)
まず、前提として食べログは全国規模のサイトですが、ある程度人口のある都心部の店舗でないと評価をあげていくのは厳しいです。
これは食べログの基本的な採点システムの問題なんですが、食べログの評価はある程度のレビュー数が無いと点が上がりません。
もし5人のレビュワーが全員5点満点つけていたとしても5点にはならないということです。
都心部の立地のいいお店の場合、食べログにレビュワーとして登録している方も多く、食べに行きやすい場所にあるので点数の内容に関係なくレビュー件数は増えます。この「件数」が重要なポイントになっているんですね。
それ以外の採点に関する内容は色々あるんですが、それらについては割愛します。
要は食べログのレビューをする人数が多いであろう東京、大阪、名古屋などの都心部の店舗でなければ評価は上がりにくいということです。
地方の店舗でも人気有名店は多くありますし、評価の高い店舗もありますが、基本的にレビュー数が少なくなるので、上がりにくい場合が多いですね。
東京、大阪などのお店でも立地の悪い店舗やロードサイドの店舗などはレビュー数が増えない傾向にありますし、いくら平均の評価が高くても点数はなかなか上がらないことがあります。
ただし、地方の全体のレビュー件数が少ない都道府県の店舗などの場合は
観光地にある店舗は点数が上がりやすい
傾向にあります
これは単に「訪れる機会が多い」→「レビューされる機会が多い」ためです。
地元の人は滅多に行かない観光客向けのお店なのに、高評価なんだよなあ…なんてお店も結構ありますよねw
これはそういう理由で単純にレビュー件数が多くなることによって、地元の名店よりも全国的に知名度の高い店舗が上に出てくるというわけです。
地方にある行列の出来る口コミや評判の高いお店でも、食べログの評価はイマイチ…なんてお店も結構ありますよね。これはこのあたりの理由も原因の一つではないでしょうか。
さらに、登録店舗の評価を全国的に見ると都道府県によって平均評価にはかなり大きく差があるように思えます。これはそういう食べログの評価基準がネックになってるのかもしれないですね。関東と関西でも結構差がありますし。
まず、基本前提としてこの「立地」だけで点数が上がりにくい場合があるということは知っておきましょう。
●ジャンル
料理のジャンルでも評価の基準は変わります。
やはり平均単価の高いお店。「フレンチ」「イタリアン」「寿司」「和食」「中華」などのジャンルで、単価が1万円以上するお店とラーメンなどの1000円程度の単価のお店とでは食べたときの満足度は変わりますよね。
そして、その単価でのお店の接客、サービスに使えるコストも変わってくるわけで、実際に食べログで4.0以上の評価がつくお店はほとんどそういう平均単価の高いお店になっています。
しかし、実は「ラーメン」というジャンルはこの価格帯の単価のジャンルの中では評価は高くなる傾向にあります。
これは多くの方が「ラーメン」を食す機会が多いこと、「ラーメン」を中心にレビューをしているレビュワーが多いことなど、単純に「ラーメンというジャンルはレビュー数が多くなる」からだと考えられます。
前述のようにある程度のレビュー数がないと評価が上がらないシステムになっているので、平均的にも上がりやすい傾向にあり、店舗数も多いのが理由ではないでしょうか。
自分は全国各地に立地調査に行くので、その界隈の店舗を調べる際にはよく食べログを利用するのですが、どの地域でもラーメンはレビュー数に関しては多いですし、他ジャンルよりも平均的に高めになっていることが多いです。
なので、都心部の店舗の場合は3.5以上の評価のついているラーメン店も結構多い傾向にあると思います。
逆に他ジャンルの料理で「このクオリティでこの評価基準なのか…」と感じる料理ジャンルも多いので、ラーメンはその中では3.5という基準はつきやすいジャンルにはなると思います。
●商品
「食べログの評価が高くなる」
それにはもちろん「味」が大前提です。レビューする人はそのときに食べた「味」だけを主観で点数をつける人がほとんどなので、商品力が低いお店で点数を上げるのはやはり困難です。
これは個人的な見解ですが、以前に比べると本当に美味しい、クオリティの高いお店がちゃんと評価されるようになってきたと思います。
理由としては評価基準が変わったこともありますが、単純に食べログを利用するユーザーが増えたこと、食べる側の情報や知識が向上したことなどが挙げられると思います。
※参考記事
ということは、もちろん「美味しい」という基本的な要素は必要ですが、その「美味しい」料理をどのような方に、どのように評価されているかというのがポイントになってくるんですね
では評価の高いお店ってどんなお店なんでしょうか?
食べログで「ラーメン」というキーワードで検索すると全国の評価の高いお店のランキングが見れます。その全国300位までのお店を実際に検証してみました。
その300軒のうち8割以上のお店は実食しているお店なので、自身で感じた味やそのお店のルーツなども知っているお店ばかりなのですが、どのお店も本当に美味しい名店ばかりです。
自分自身で全国各地で食べ歩きをしているのでわかるんですが、現在の評価はしっかりと「味」という基準で概ね評価されていると思います。
そして、これらの高評価の店舗にはいくつかの共通点があります。
その多くのお店が清湯系のラーメン。そしてこの10年以内ぐらいにオープンしたお店が多く、見た目は奇麗に盛り付けられたビジュアルの良いラーメンが多いです。
濃厚系のお店はインパクトや印象に残るラーメン、つけ麺のお店が多くランクインしていますね。
もちろん、古くからある名店もありますが、20年前に大行列していたようなお店はほとんど入っていません。
これも実は一つのポイントです
先述の「ジャンル」という点で評価があがりやすい、あがりにくい話をしましたが、ラーメンの中での「ジャンル」でも評価のあがりやすさは違ってくるわけです
九州系の豚骨ラーメン、家系ラーメンのお店は全国各地にかなりの数あると思いますが、食べログの上位店にはあまり入ってきません。これはどういうことなんでしょうか?
1日に数百食を売るような大人気店もその中には沢山あります。しかし、そういう「人気」「売上」と食べログの評価はそこまで影響していないということになりますよね。
これは家系ラーメン、豚骨ラーメンなどはある程度「味の想像がしやすい」という点があると思います。
その中で「かなり濃厚」「インパクト抜群」のようなラーメンも評価が高くなる場合がありますが、こういうラーメンは賛否も分かれたりしますよね。
もちろん、その濃厚系ラーメンの中でのクオリティの差は色々ありますし、自分も「このお店をもっと評価して欲しい!」というようなフリークとして語りたいことは多々ありますがw、一般的にその微妙な差ってわかりにくいと思います。
では清湯系のラーメンの評価が上がりやすいのはなぜでしょうか?
一つに「こだわり感や差別化のポイントが伝わりやすい」というのがあると思います。
地鶏などの厳選素材や高級な調味料などを使うお店も増えました。使用する食材の量も増えて、以前の清湯系とは別モノのスープに進化してきました。それによって、この10年で味という部分でも大きく進化して、素材などを全面に出すことでその味の差が一般的にも伝わりやすくなったと思います。
さらに前述のような「情報」の浸透力もあります。味の違いがわかる人が増えてきたこともあると思います。見た目や雰囲気で違いを感じることもあると思います。ミシュランに掲載されるお店も「清湯系」が多いですよね。
要はラーメンはどのジャンルでも進化していますが「清湯系」のラーメンの進化は、一般のユーザーにその進化や味のクオリティの差が伝わりやすくなっているのではないか、そしてそのクオリティの高さが判断基準として上がりやすくなっているのではないかと自分は推測しています。
もちろん、これはお店の努力があるからこその評価です。商品力という観念からはそのクオリティの高さが伝わるようになったのは作り手としてはやりがいがありますよね。
そしてもう一つ。
この高評価の店舗を検証して感じたことの一つに
どのお店も満足度が高い
というのがあります。
これはもちろん味のクオリティもありますが、コストパフォーマンス、ボリュームなど食べた後の「満足感」全般的なことです。
そして、実食してるのでわかることなんですが、この高評価のほとんどのお店が
原価をしっかりかけている
のがよくわかります。
要はそれらのお店は味の向上のために、様々な努力をしているということです。お客様の満足度のために企業努力、サービスを惜しまないでいるということです。中途半端な商品では絶対に評価はあがりません。
高い評価をされるために最低限の商品力のラインは必ずあるということですね。
味の感想や評価は人それぞれ違いますが、「食べログの評価」という概念だけで商品を考えた場合、こういうポイントを考えていくと作るラーメンのジャンル、作り方、表現の仕方でもかなり変わってくると思います。
ただし、必ず言えるのは
本当に美味しい「ホンモノ」でなければ評価は上がらない
ということです
②へ続く…