言葉が見つからない
頭の中が真っ白で
俺が子供の頃から一緒にいた
父親 母親 兄貴
みんなが一緒にご飯食べたり
一緒に笑ったり 一緒に旅行したり
何でもない普通の暮らし
あたりまえの幸せを感じていた
でも、俺もまだ子供だったから
色々なイタズラしたり
ワガママ言ったり
反抗期があったり
誰の言うことも聞かなかったり
自分勝手に何でもしてきた
そんな俺を何も言わず
黙って見てるだけの父親がいた
まだ、子供だから父親の考えなんて
何も分からなかった
月日が流れ 実家を出て
一人暮らしをはじめながら
色々な経験をし
色々なことを覚え大人になった
今なら少しは父親の考えてたこと
分かる気がする
そんな父親が緊急入院した
かなり悪化した病気 「 癌 」
その時は何も考えられなかった
仕事帰り毎日のように病院に行ったり
休みの日には、ずっと病院にいたり
2ヶ月位して退院することになった
病気が治った訳ではない
話は聞いていた
治しきれる状態じゃないって事は
だから体力を回復しての退院
その意味も分かっている
痩せて細くなって
目が悪くなって
誰がいるかも分からない状態
話をして相手を確かめてる
俺は仕事も忙しく
父親に会いに行く回数が減った
たまに行っても声をかけないと
息子の俺のことも分からない
それでも、会いに行くようにした
ちょうど仕事が休みの日で
ゆっくりしていた時だった
実家からの着信
番号を見た瞬間
父親の顔が浮かんだ
それは、静かに話す母親だった
『朝、父親が起きて来ないから
起こしに行ったら冷たくなってる』
その言葉を聞いた俺は
頭が真っ白になった
直ぐに実家に向かった
そこには布団に寝たままの父親
その近くに座ってる母親
俺は父親の手を握った
その手は
冷たくなり、固くなっている
俺は父親の頬に手をあてた
何の言葉も出なかった
父親は寝てる間に
脳梗塞をおこしたらしい
覚悟はしていても寂しいもの
今は、まだ家で寝てます。
父親 満83歳
今まで ありがとう
そして
明日、最後の別れをしてきます。
。