あの女性とどうして接していいか
分からないまま…時間が過ぎていく…
風に吹かれて…『再会…』
毎日の仕事の中で
忙しさと疲労感に襲われてく
ゆっくり出来るのは
自宅に帰ってからのわずかな時間…
そんな、ある日のこと
知らない番号の着信があった
基本知らない番号は対応しない…
しばらくして、ふと思った…
そういえば、あの年配の女性に
携番を教えていた事を思い出した
一応連絡してみる事にした
やはり、あの年配の女性だった…
『突然連絡してごめんね
来週の水曜日、あの場所に来れる?
実は…娘の誕生日なんだよね…
会ってもらえない?』
いきなりの展開だった…
俺も休みで何も予定のない日だった
とりあえず、時間を決めて約束した…
その日になって不安だらけで
車を走らせる…どうなるのか…
約束の時間、あの場所で待つ…
遠くから二人の女性が近づいてくる
車椅子を押しながらゆっくり…
俺の前に来た、あの女性は
笑顔で言った
『久しぶりだね…元気だった…』
年配の女性は
『私は車の中で待ってるから』って
言って娘を残して歩いていった
いざ二人きりになると
何を話していいか分からない…
最初の時とは状況が違う
車椅子の女性が最初に会ってから
今日までの事を話し始めた
なぜか今まで聞いていた
海の波の音、砂浜に吹く風の音が
その時は優しい音色に聞こえてきた…
笑顔で楽しそうに話す女性
時間の流れが早く感じる
会った時は雲ひとつない空だったのに
夕日に染められて俺達の
周辺はオレンジの光に包まれている
車椅子の女性が急に黙りこんだ
俺は『どうした?』聞いた
真顔になった女性が言った
『今日、私の誕生日なんだぁ。
だから、誕生日プレゼントが欲しい…
急に言っても無理だろうから…
ひとつ私のお願い聞いてよ…』
俺はいったい何を言い出すのか不安でいた
『私の病気は治るかどうか分からない…
こんな身体だから…
今まで恋愛から逃げてきた…
だから… 一度でいいから…
手をつないで海辺を歩きたい…
変なこと言ってるのは分かる…
でも、私にとっては今しかないかも…
歩く事さえ出来なくなるかも…
だから… お願い………』
車椅子に乗った女性は
目に涙をため…小さな体を震わせていた
今は俺の出来ることをしてあげよう…
『いいよ。一緒に歩こう…』
俺は女性を車椅子から抱き上げ
波打ち際まで連れていった…
そして、女性と手をつなぎ
ゆっくり波打ち際を歩いた
綺麗な夕焼けが波をオレンジ色にかえる
淡い光が二人を包み…
二人だけの世界が広がる…
女性が足を止める…
夕焼けを見ながら
つないだ手に力が入る…

『ありがとう。あなたに会えて良かった
でも…名前は聞かない…
名前を聞いたら…
忘れられなくなりそうだから…』
そこには、笑顔の女性がいた…
女性が『もう、帰ろうか?』と言うと
車で待つ年配の女性に手を振った
俺は女性を車椅子まで連れていく
年配の女性も迎えにきた
そして、帰り際…
女性が手を出してきた…
『もう一度だけ…』
その女性は笑顔で出した言葉…
俺は女性の手を握りしめた…
『じゃ 帰るね。
今日はありがとう…
さようなら…』
その言葉を残して女性達は帰った
そして、俺も自分の居場所に戻る
繰り返す同じ日を過ごすために…
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