数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc -117ページ目

入試問題文を聴いて覚える化学 有機化学 脂肪族化合物編②


今日も、入試問題文を聴いて覚える化学 有機化学 脂肪族化合物編②です。


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入試問題文を聴いて覚える化学 有機・脂肪族化合物編②


■ 2011年度 同志社大学
 有機化学工業は現在,主に石油を原料としている。原油を分留して得られるナフサを原料として,エチレン(エテン)やプロピレン(プロペン),ベンゼンやパラp-キシレンなどをつくり,それらから,各種の化学物質が合成される。たとえば,エチレンに水が付加することでエタノールとなり,エタノールを酸化すると,まずアセトアルデヒドとなり,さらに酢酸となる。

 エタノールと酢酸の縮合反応からは酢酸エチルが,2分子のエタノールの縮合反応からはジエチルエーテルがつくられる。プロピレンとベンゼンからクメンをつくり,酸化したのち硫酸で分解するとフェノールとアセトンをつくることができる。

 しかしながら,石油が限りある資源であることから,石油の代替資源たんさく探索が進められている。
 
 石炭や天然ガスなどからつくられる合成ガスは,一酸化炭素と水素などの混合物である。合成ガスはメタノールやエチレングリコールをつくる反応に用いられている。
 
また,コバルトや鉄などの触媒を使って,合成ガスから炭化水素をつくる技術も開発されている。

 バイオマスは再生可能な資源として注目されており,バイオマスをエネルギー源や化学工業原料として利用する技術が開発されている。発酵法により,糖類からエタノールや乳酸を製造できる。乳酸が脱水縮合重合したポリ乳酸は生分解性を持つことから,ポリエチレンなどの石油からつくるプラスチックの代替品としての利用が期待されている。



■ 2011年度 鳥取大学
 アセチレンは,石油を高温で分解してつくられる。また,炭化カルシウム(カーバイド)に水を加えてつくることもできる。

  アセチレンは付加反応を起こしやすい。例えば,白金やニッケルを触媒としてアセチレンに水素を反応させると,エチレンを経てエタンになる。また,臭素水中の臭素もアセチレンに対して付加反応を起こす。

 この他にも,水銀(Ⅱ)イオンを触媒として,希硫酸中でアセチレンと水を反応させるとビニルアルコールが生成するが,これもまたアセチレンへの付加反応の例である。ただし,ビニルアルコールは不安定で,すぐにアセトアルデヒドに変わる。この方法はアセトアルデヒドの主要な工業的製法であったが,水銀公害の問題が生じたため,その後は使われていない。現在はエチレンを酸素で酸化してアセトアルデヒドが製造されている。



■ 2011年度 京都産業大学
 エタノールは第一級アルコールであり,グルコースを酵母などの微生物の働きによって酸素のない状態で分解すると生じる。この方法はアルコール飲料(酒)を作るのに広く用いられている。

 また工業的には,高温・高圧下でエチレンに水蒸気を作用させてつくられる。
エタノールを原料として,様々な化合物が得られる。エタノールを二クロム酸カリウムの硫酸酸性溶液で酸化するとアセトアルデヒドが生じ,さらに酸化すると酢酸が得られる。酢酸の2分子から水1分子が取れて結合すると無水酢酸が生じる。

 エタノールに濃硫酸を加えて130~140℃に熱すると,ジエチルエーテルが得られる。エタノールと酢酸の混合物に濃硫酸を少し加えて熱すると,酢酸エチルが生じる。エタノールに水酸化ナトリウム水溶液とヨウ素を加えて加熱すると,特有の臭気を持ったヨードホルムが黄色沈殿する。

 また、エタノールにナトリウムの単体を加えると水素を発生しながらナトリウムエトキシドを生成する。



■ 2011年度 埼玉大学
 微生物が増殖することによって食品が劣化することを一般に腐敗とよぶ。これに対し,食品中の油脂は微生物とは無関係に空気中の酸素や日光により変質し,特に不飽和脂肪酸を多く含む油脂は味や風味が容易に損なわれる。これは酸敗(さんぱい)とよばれ,これを防いで食品の保存性を高めるためにトコフェロール(ビタミンE)やアスコルビン酸(ビタミンC)が食品添加物として加えられる。

 油脂はグリセリンと脂肪酸(R-COOH)とのエステルであり,動物・植物の体内に広く存在する。ヒトは成長および生命活動の維持に必要な幾つかの脂肪酸を体内で合成できないため,それらを含んでいる食物を摂取する必要がある。

 このような脂肪酸は必須脂肪酸とよばれる。天然の油脂の多くは炭素数16および炭素数18の高級脂肪酸により構成され,食品や洗剤などの工業製品の原料として利用されている。油脂の性質はそれを構成している脂肪酸により大きく異なる。

 このため,不飽和脂肪酸で構成される比較的安価な油脂を原料とし,触媒を用いて水素(H2)を付加させ,好ましい物性をもった油脂を工業的に生産することもある。
 
 近年,廃食用油等を活用したバイオディーゼル燃料がカーボンニュートラルな環境低負荷燃料として注目されている。バイオディーゼル燃料は脂肪酸メチルエステルを主成分としている。この脂肪酸メチルエステルは,油脂にメタノール(CH3OH)を加え,触媒を作用させると生成する。



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入試問題文を聴いて覚える化学 有機化学 脂肪族化合物編①

今日も、入試問題文を聴いて覚える化学 有機化学 脂肪族化合物編①

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入試問題文を聴いて覚える化学 有機化学 脂肪族化合物編①

■ 2011年度 新潟大学
 鎖状構造の飽和炭化水素をアルカンという。メタンは最も構造の簡単なアルカンで,正四面体構造をしている。メタンと塩素の混合気体に光を当てると,置換反応が進行して,水素が塩素に置換された化合物ができる。炭素の数が4以上のアルカンには,炭素原子のつながり方の違いによる構造異性体が存在する。
 
 分子内に二重結合を一つ含む鎖式不飽和炭化水素をアルケンという。エチレンは最も構造の簡単なアルケンで,エタノールに濃硫酸を加えて160℃以上に熱すると,分子内で脱水反応が起こりエチレンが生成する。臭素水にエチレンを通じると,臭素の赤褐色が消失する。炭素数が4以上のアルケンには,炭素原子のつながり方および二重結合の位置の違いによる構造異性体の他に,二重結合についた炭化水素基の配置が異なる幾何異性体が存在する。
 
 分子内に三重結合を一つ含む鎖式不飽和炭化水素をアルキンという。アセチレンは最も構造の簡単なアルキンで,炭化カルシウム(カーバイド)に水を作用させるとアセチレンが生成する。炭素と炭素の三重結合には,二重結合と同様に付加反応が起こりやすい。塩化水銀(Ⅱ)を触媒にして,アセチレンに一分子の塩化水素を付加させると,合成樹脂の原料となる塩化ビニルが生成する。




■ 2011年度 秋田大学
 アルコールにはヒドロキシ基が1個の1価アルコールと,2個以上の多価アルコールがある。一般に単に「アルコール」という場合,エタノールをさす場合が多い。最も炭素数の少ない1価アルコールはメタノールであり,メタノール及びエタノールにはアルコールとしての異性体は存在しない。
 
 エタノールを含むアルコール飲料は,古来より微生物を用いて醸造されてきた。この方法では主にさまざまな方法で得られたグルコースなどを出発物質として,酵母の作用によりアルコールを合成している。この方法は近年,ガソリンの代替燃料を生産する方法としても着目されている。
 
 エタノールを二クロム酸カリウムの硫酸酸性水溶液で酸化するとアセトアルデヒドが生成する。この物質をさらに酸化してカルボン酸である酢酸にすることができる。酢酸もまた,化学製品の原料として,我々の生活に欠かせない重要な物質である。
 
 一方,多価アルコールにも重要な化合物が多く存在する。例として,エチレングリコールはポリエチレンテレフタラートの原料として用いられる。また,油脂は高級脂肪酸とグリセリンのエステルである。



■ 2011年度 名古屋工業大学
 近年,温暖化対策として二酸化炭素削減のためや,化石燃料の枯渇問題から燃料としてバイオエタノールが注目されている。バイオエタノールとは,廃木材,ある種の海草およびサトウキビやトウモロコシなどのバイオマスを微生物の力を借りて発酵させ,それを蒸留して生成されるエタノールのことである。日本では米を発酵させ,日本酒を造っているが,日本酒を製造する過程で,生産工程の管理が悪いと酢(酢酸)が生成することがある。このエタノールと酢酸を縮合(しゅくごう)させて生じる酢酸エチルは,日本酒の香気成分の1つである。
 
 バイオエタノールは空気中の二酸化炭素を固定したバイオマスから造り出すので,その燃焼によって大気中の二酸化炭素の量を増やさないと考えられている。この点から,エネルギー源としての将来性が期待され,研究が進められている。
 
 しかし,原料の分別および発酵して得たエタノールを蒸留して利用可能な純度にするまでに必要なエネルギーが莫大であるため,結果として二酸化炭素発生の増大につながる恐れも指摘されている。
 
 燃料としてエタノールを炭化水素(ガソリン)と比較すると,同一体積での発熱量が小さいという欠点がある。しかし,二酸化炭素の発生量あたりの発熱量で見てみるとそれほどの差はない。米国ではガソリンとエタノールを混合したガソホールがガソリンの代替(だいたい)燃料(ねんりょう)として用いられている。




■ 2011年度 関西学院大学
  現代の有機化学工業では,エチレンなどのアルケンを出発物質とする方法が主流となっている。しかし一時期,アルキンであるアセチレンを利用する化学工業も栄えた。
 
 アセトアルデヒドの工業的製法を歴史的にみると,過去にはアセチレンに水を付加させる反応を利用していた。この方法は水銀塩を触媒として用いるもので水俣病の原因となった。現在では,アセチレンの代わりにエチレンを用いる一段階反応へと完全に製法が転換している。
 
 一方,類似の製法転換を経たものに酢酸ビニルがある。酢酸ビニルは日本で発明された高分子ビニロンの単量体(モノマー)として知られる。当初はアセチレンを原料として合成されていたが,現在ではエチレンを原料としている。


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入試問題文を聴いて覚える化学 鉄編

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入試問題文を聴いて覚える化学 鉄編

■ 2011年度 大阪大学 
 鉄は,遷移金属の中では最も豊富に存在する元素であり,粒状の単体は銀白色である。湿度の高い空気中に放置すると酸化されて赤色の錆びを与える。
 
 使い捨てカイロが温かくなるのも,保水剤に含まれる水と酸素が鉄の粉末と反応して生じる熱を利用している。用途に応じては,腐食されないように多様な工夫がなされている。例えば,鉄の鋼板(こうばん)に鉄よりもイオン化傾向の小さい金属をめっきすると,鉄の腐食を防ぐことができる。

 しかし,めっき表面に傷が生じた際には,露出した鉄が先に腐食されてしまう。一方,鉄よりもイオン化傾向の大きい金属をめっきした鋼板では表面に傷が生じた際に,露出した鉄が腐食されるよりも先にめっきした金属が腐食されることで鉄の腐食を防ぐ。これは,イオン化傾向のより大きい金属から小さい金属へと電子が移動してイオンが生じる原理を利用している。

 アルミニウムは,鉄よりもイオン化傾向の大きい金属であり,鉄よりも腐食されやすいと考えられるが,実際には窓枠などに利用されている。これは,電解酸化によりアルミニウムの表面に腐食に強い薄い酸化膜を生じてアルミニウム内部の腐食が防がれるためである。また,ステンレス鋼(こう)は鉄とクロムを主成分とする合金であり非常に腐食に強いため,日常生活において高い安全性が求められる製品に使用される。



■ 2011年度 長崎大学
 金属の酸化物や硫化物が含まれる鉱石から金属の単体を取り出すことを製錬という。たとえば,鉄は,鉄鉱石を溶鉱炉の中でコークスと石灰石を加えて還元することで得られる。金属は,展性や延性を示すことから,箔や板,建築材料に利用される。

 また,金属には電気伝導性や熱伝導性があり,これらの伝導性が最も大きい金属は銀である。金属の中には,ある温度以下になると電気抵抗がゼロになるものがある。この現象を超伝導 (または超電導)とよび,医療診断機器やリニアモーターカーに利用されている。
 
 金属は,使用しているうちに化学反応を起こして,表面から酸化物や水酸化物,炭酸塩など,単体ではない状態に変わっていくことがある。これを腐食という。腐食の代表例はさびであり,鉄は酸素や水などと反応してさびを生じる。
 金属の腐食を防ぐために,金属製品の表面を他の金属などでおおう方法がある。これをめっきという。鉄のめっき製品としてはブリキやトタンが代表例である。



■ 2011年度 首都大学東京
 約10億年前に形成された地層の中には,縞状鉄鉱層(しまじょうてっこうそう)と呼ばれる地層がある。この地層は,鉄鉱石が縞模様状に堆積しており,主に赤鉄鉱と磁鉄鉱(じてっこう)が含まれている。赤鉄鉱は赤さびの主成分であり,一方,磁鉄鉱は黒さびの主成分である。

 この地層は,以下に記した〔メカニズム〕に従って形成されたと考えられている

〔メカニズム〕 
 地球には,誕生以来,酸素は極めてわずかしか存在していなかった。約40億年前,酸性の海が形成され,地殻の鉄が海に溶け出した。約27億年前に光合成生物が誕生すると,これらの生物は光のエネルギーを利用して,二酸化炭素と水から有機化合物,主としてグルコースを合成するとともに,酸素を発生させはじめた。このことによって,海水中に溶けていた鉄イオンは酸素と反応し,これらが大量に海底に堆積して,縞状鉄鉱層が形成された。
 
 われわれが日常的に使用する鉄のほとんどは,縞状鉄鉱層から採掘した鉄鉱石を原料として製造されている。鉄鉱石から鋼(こう)を製造する方法は,鉄鉱石にコークスと石灰石を加え,これらを高炉に入れ,下から熱風を送り込むと銑鉄(せんてつ)が得られる。この銑鉄を転炉に移し,高圧の酸素を吹き込むことで鋼(こう)を製造できる。

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