「女人往生環」終了 | メメントCの世界

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演劇ユニット「メメントC」の活動・公演情報をお知らせしています。

「しわぶきと静寂の間に」1

 

「女人往生環―女性を廻る救済と芸能の曼陀羅―」終了いたしました。

師走の繁忙期にご都合が合う方ばかりではなかったと思いますが、遠路も厭わず劇場へ来てくれた方々、応援を下さった方々に感謝いたします。2007年位から資料を探し書き始めた「太平洋食堂」から派生した「彼の僧の娘―高代覚書―」は日本橋劇場で大きく花開く事ができました。この十年、出会いの不思議が「高代覚書」を私に綴らせてくれました。

 たった二日間の舞台ですが、昨年からの試演会を入れたら、多くの日数をその為に費やしました。

そして日本橋劇場の舞台は、これまで以上に沢山の方の手が支えてくれました。

 衣装は長らく、歌舞伎などで活躍されてきた竹内将先生が立てられたものです。

その着付けの凄さと舞台映えのするコーディネートは万華鏡を見ているような思いでした。時代とその身分、職業、年齢、あらゆるものがあるべき装束の形をもっているのでした。俳優の演劇を支えるプロフェッショナルが結集してこその上演成果でした。

 

今回は、劇団新派の河合宥季さんが参加することとなったので、近代劇的な雰囲気を意識しました。

「因果だねえ」これに昇華されてしまう所謂「女の悲劇」にはしたくなかったので、できるだけドライに演出したつもりです。

構成舞台でしたので、所作台を組み合わせただけで美術はありませんでしたが、それだけ衣装の美しさを際立たせ、

観客の想像力を掻き立ててくれました。

 

 

 

今年の6月の新宮、高松、坂出と参加してくれた桝谷裕さん、清田正浩さんが検事や特高を演じ、桝谷さんは女衒、男衆、市役所のひーさんと何役も衣装を着替えまくって演じ分けてくれました。作品を理解してくれる俳優の参加があって初めて可能なアクロバティックな配役でした。この一年半、高代を練り上げていった明樹さんは毎回、高いハードルを飛び越えて役を前進させました。

 

 

たった三人で始めた「彼の僧の娘」を、今回のような拡大版で上演する機会は簡単ではありませんでしたが、脚本を信じてくれる人々のお陰で実現できたのです。太平洋食堂で顕明役だった、青年劇場の吉村直さんが同じ役で父と娘の物語に登場したことも私にとって念願でありました。

 

 佐藤萌子さんは、太平洋食堂では演出助手という役割でしたが、今回は女優としていたいけな半玉役、おてんばな養女として舞台で生き生きと飛び跳ねていました。なんてまあ、カツラと振袖が似合うこと。パターチャーラーで地謡の梅田喬さんは、こちらでは密偵や号外売り。

そしてメメントCの大内は、お鶴姉さんや市民で登場。そう、メメントC総出演だったんです。