稽古と劇場の彼岸 | メメントCの世界

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稽古と劇場の彼岸


ついに各チームの稽古も終わり、明後日は劇場入りという日を迎えました。この三本+αの企画は想像以上に創造的であり疾風怒濤でした。三人とも作風が違う作家、どう組み合わせるのかは、総合演出の田中が知恵を絞り、まだ何も書いていなかった私が帳尻を合わせるぞ!と全てがCチームとの組み合わせとなりました。まあ、これも奢れるものは久しからずの例に洩れず、私は脱稿できない苦しみを久々に味わいました。でも、苦しんだだけのことはありました。いつもと違う、メメント三人組のアンサンブルをお楽しみ頂けます。

面白いもので、どこかのチームが演出に苦労すると誰かが感想を言ったり、思いついたりしたことが、突破口になったりカンフルになって、そのチームが危機を脱出するのです。そうすると又、他のチームが負けてはいられないと奮闘し始め、過程として袋小路に陥るのですが、又それも、他者とのコミュニケーションで超えていく。本当にこうやって、いいとこ、悪いとこ、みんな吸収して各チームの劇が開花していくのを見るのは、作家冥利につきます。



創造の苦しみの後は、チケット売り売りが待っていて、これも多数の演者、関係者の御尽力で、なんと土曜日は早々とSold outしてしまいました。嬉しいのですが・・・・しかし、当日御用意できるキャパを超えてしまうと、当日のお客様には桟敷席へお座り頂くこともあり、これも非常に心苦しいのです。その時、多分、私達のリーディングの出来が非常に問われるのでしょう。座布団投げられたりして・・・・・


稽古が一区切りし、劇場入りまでの間、制作はものすごい勢いでルーティンの雑務をこなします。パンフ作り、アンケート作り、いろんな持ち込み機材の手配など、いつまでも馴れない作業をリストに従ってこなします。はや、第五回の公演ですが、いつも劇場に入る日は、三途の川でなくルビコン川を渡ったなあ、ふと思うのです。そう、もはやサイは投げられたわけで、後戻りできないポイント・オブ・ノーリターンの地点。ここから私も機械の一つになって本番を作り上げます。まだまだ、不確定要素が多いのですが、きっと何とかなるでしょう。


大昔、稽古が終わり関西方面の劇場へ移動する時、いつも最終の二本前の新幹線に乗りながら、何となく関ヶ原の合戦に行くような悲壮な気分になりました。明日からは戦いだ!信じられるのは自分だけ!石橋を叩いて叩いて崩すぞ!みたいな変な力みで、新幹線の窓越しの闇を睨みつけていた事をよく思い出します。

でも、四年前にメメントの初舞台で名古屋に移動した時は、ドキドキと楽しさで一杯でした。そして今回、永田町で南北線を乗り換えて王子駅を目指す私は、幸福な期待と安心感でpit 北/区域を目指すのでしょう。それは、大勢の仲間がいるからです。

劇場は、北とぴあ方面の出口を出た所の道路を渡ってすぐです。雨でも濡れません。

でも、梅雨に入ったようですので、お時間に余裕を持ってご来場ください。では劇場でお会いしましょう!!



嶽本あゆ美