猫の手もかりたいバス停 | メメントCの世界

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演劇ユニット「メメントC」の活動・公演情報をお知らせしています。

だけもとより猫へ

 今週に入り、全チームが水天宮ピットという東京芸術劇場の稽古場施設で集中稽古をしています。なにせ、四本分の演出を固め、照明、音響スタッフに渡していく作業は膨大です。リーディングはどうしても、台本の絞り込みが遅れるので(甘えですが)、私もぎりぎりセーフで書き上げて、田中に渡しました。
 作家の個性によって、演出効果が変わりますし、それは技術面に直結します。ただハイテクならいいのか?っていいわけないですよ。芝居ですから、あくまで生の演技と声を軸に効果を組み立てます。世の中、デジタルですが、まだまだ人間の脳味噌はアナログですし、アナログというものの持つ雑味、豊かさを私は愛してます。特に、メメントチームは超アナログでアナクロです。
 中学時代に生まれて初めてCDを聴いて頭痛と耳鳴りを起こした私ですが、今の世代にそんな事言ったら、おまえはオールウェイズ世代か?万博観ただろう、と言われるでしょうね。はい、三歳の時行きましたよ大阪万博。しかも覚えてるし。若い人(いやだねこの括り)きっとアナログ録音なんて、なんでこんなに濁ってるの?と思うほど珍しいでしょうね。人間の声は、録音されると元の声の持ち主と、別物に変態していくようです。それも、今回の公演の一つのプログラムでたっぷりお楽しみ頂けます。
 しかし、しかし、リーディングは本当に手強い。演技をしすぎれば、本読み稽古ではないか?と言われ、演技を抑えると視覚要素が無いと断じられた事もあり、言葉を観客に委ねるリーディングの演出方法は千差万別です。今回、各チームは、やはり言葉に拘っています。それが成果として結晶するのが本来の作家の目的だと思います。
 16日のみのプログラムで「バス停のある風景」を井出みな子さんと立花氏が読みます。彼らも今日は猫のいる稽古場から、水天宮に引っ越して稽古でした。井出さんのお宅で、戯曲が書かれた当時に吹き込まれたと思われる、中村伸郎さんとみな子さんコンビによる朗読練習のカセットテープを聞かせてもらいました。豊かな声と何気ない表現、この戯曲には何も要りません。書かれている事象の真相というのは、聴く人に委ねられ想像が膨らみます。カエデ容疑事件とは何か??みな子さんが読み始めた途端、時空が回転を始めるようでした。立花さんも丁々発止と、その声を受け止めています。

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 実は昨年、井出さんは体調を崩され「メリーさんの羊」を降板されました。今年に入り、お加減を見ながらゆっくりと「バス停」を読み始めてこの一回の公演を目指してきました。こんなブログ書いたら、又みんなが土曜日に来てしまうでしょうね。しかも、土曜日は有難い事に、既にたくさんのご予約を頂きました。もうすぐ札止めの可能性が出てきてます。なったら御免なさい。
 でも!!平日はまだまだ大丈夫です。四本一遍は幾ら何でも大変な方は、二本ずつ、平日にご覧下さいませ。あくどい商売だ?そんな、あなた、何回観ても面白いから大丈夫ですよ!!

 しかし余りにも忙しい。猫の手を借りることにします。おーい!ネコの手さん、よろしくね!