清田正浩さんの巻
今回、清田氏には3つの役を演じていただきます。
まず、病院の医務監査役ヒョードル・ツガーリン、そして郵便局長のミハイル・アヴェリヤーヌイチ、医師のエウゲニー・ヒョードルイチ・ホーボトフです。すでに名前が長くて大混乱ですね。しかし、この長さに負けていては、ロシア物は成り立ちません。ジュゲムジュゲムゴコウノスリキレのように、一息で言いきってなんぼですね。で、清田さんはこれを難なくこなします。流石の貫録です。
簡単に履歴をご紹介すると、東京乾電池のご出身です。たくさんテレビやら映画やら、芝居に出ているので、そのあたりは割愛させていただきます。
三つの役の中でどれが一番本人に近いのか、真実は謎ですが、ミハイル・アヴェリヤーヌイチを演じている時はとてもリラックスしています。この郵便局長、とんでもない迷惑男で元軍人でした。それでもって、自分はかなりの大物だと思い込んでいますが、郵便局では窮屈に局長をやってます。なんでかっていうと、恩給(年金)が欲しいからですね。そして、毎日、アンドレイの処でタダ酒にありついています。人の話は聞かない癖に、自分の話ばかりしたがるビッグマウスです。アンドレイはあんな迷惑なやつはいないと思っていますが、本人は全く気がついていません。こういう人、いますよね。
以上はミハイルの紹介ですが、ホーボトフになった清田さんはメスを振るうのが大好きな外科医に変身します。中産階級から医者になりあがったホーボトフは、チェーホフと似た立ち位置です。昔は貴族しか行けなかった医大に、1860年代以降、能力のある一般市民も入れるようになりました。実力でのしあがってきたホーボトフにとって、アンドレイはいまいましい存在でしょう。口では議会を批判しながらも、自分は毎日ちんたら仕事。こういう上司を持つと本当にやり切れません。清田さん、嬉々としてホーボトフを演じてくれます。
どれをやっても清田さんはかっこいいです。お世辞じゃなくて、本当にかっこよくやってくれます。もう一度、彼が演じる役の名前は、ヒョードル・ツガーリン、ミハイル・アヴェリヤーヌイチ、エウゲニー・ヒョードルイチ・ホーボトフ。舌かまないで言えましたか?