私のページにお越し下さり、ありがとうございます。これは、私が実際に経験した実話です。事実だけを綴っています。


はじめましての方はこちらから見ていただけると嬉しいです☆登場人物紹介を追記してます  


前回はこちらです☆ 




夜の10時でした。





私は太田先生を呼び出し、

家の近くまで来てもらいました。





そして部屋ではなく、先生の車に乗りこみ、

車内で話をすることにしました。

私の部屋から歩いて2分程の道路脇に

車を停めて話をしました。





家で話をしなかったのは、

妊娠を告げたことによって、

万が一、何かが

あってはいけないと思ったからです。




 

私が先生を呼び出すことなど

今までになかったので、

先生はすでに身構えていました。




「どうしたんやナオコ、話って何や」




先生の問いかけに

私はうつむいたまま答えました。

 



「先生、お腹に赤ちゃん、できた…」




私は先生に、

妊娠していることをやっと

告げることができました。





検査薬で陽性がでたこと、

病院にも行ったこと、

順調に育っていることを伝えました。

そして、




「私、産みたい…」




と、そう言って

私はお腹にそっと手を当てました。





先生はまるで

汚らわしいものを見るような目で、





「うそやろ?」





と言いました。





「先生、見て。病院で貰った写真が…」





私がバッグから写真を取り出そうとすると、

先生は私を制止し、

先生は予想していた通り





「いやいや、無理や、堕ろしてくれ」




と言います。




予想していた通りだったけれども、

それでも、

もしかしたら、

受け入れてくれるかも知れないと

1%だけ期待していました。

その期待も音をたてて崩れていきました。



瞼を閉じて私は、

いつだったか先生が



「結婚を考えている」



と言った日のことを思い出していました。

私を長い間慰めていた言葉というものは

約束でも誓いでもない、

何者でもなかったことを

思い知らされるのでした。




「一人で育てるから。

 迷惑はかけないから。



 一人で育てるから、だから…」





私は必死に笑み作って

すがるように言いました。





「いや、困る。

 そんなわけにはいかんやろ。

 今回は無理や。

 堕ろしてくれ。




 今回は…」





それから、

先生の携帯に電話をしても

連絡はつかなくなりました。

先生が連絡してくることもありませんでした。





もちろん

私の部屋に来ることもなくなりました。


【次へ続きます】