パパと一緒に住むことが多くなってからはママはなかなか私たちに会うことがなくなっていた。
寂しさをわかってくれる大人はどこにもいなかった。
ママにわかってほしかった。
そう自分の殻にとじ込もっていた幼少期。
そんなある時兄がある女性を家に連れてきた。
兄の部屋でその人はちょこんと座り兄と少し照れ臭そうに話をしていた。
お客さんが来ることが滅多にない家だったからその人に対して人見知りをしたのをよく覚えている。
兄の部屋の扉を少し開けて覗くと兄もその人もニコニコしていた。
二人を見ていると女の人と目が合った。
キョトンとしてその人を見つめているとその人はニコっと優しい笑顔でお膝に手をのせてポンポンと2回叩いた。
おいでっ。
とても優しい笑顔でとても優しい心だった。
お膝にすぐに乗りにいった。
ニコニコしているその人は終始ニコニコしていた。
あの頃は寒い季節に入りかけた冬の始めだった。
そんなどこか言い様のない寂しさを抱える寒いはずの季節になぜかあの空間だけは私にとってとても暖かかった。
本当に暖かい優しい笑顔だった。