山に紅葉を観に行くなんて
考えも及ばなかった。

東京の銀杏並木しか、
知らなかったし、それが紅葉だって、
思ってたから。

けど、はじめての弥四郎小屋で
相部屋になったお姉さんが教えてくれた

草紅葉

「秋に、また来たらいいですよ!」

この道を、歩かなくては。
行かなくては。

10月、閉まる直前の尾瀬ヶ原へ
再び。

秋色 尾瀬ヶ原


夏ぶりの尾瀬ヶ原は
ガラリと姿を変えていて
野っ原も
池塘も、秋、秋色。

ヒツジグサの葉は
これまでに見たどの紅葉より
美しくて
池塘を見つけるたびに足をとめ、
ながめ、写真を撮る。

陸生植物とは違う
一枚一枚の葉に
紅色、黄金色、栗色…さまざまな色が
絶妙な配色でのっている。
きっと、
どんな腕の芸術家にも、
再現なんてできない。


秋の空
黄金色の野っ原
彩られた池塘
冬間近い燧ケ岳

なんでこんなに
美しい世界をつくりあげるんだろう。
だれのため?
だれを喜ばせたくて?


穏やかな秋の日は、
逆燧もくっきり。
まわりの樹々もほんのり紅葉。


ラジオでいってた。
落葉広葉樹林が残った日本の紅葉は
世界一だって。
技術や学力なんかじゃないよね。
ほんとうに自慢できるものって。

夏にはステキな花々だった彼女たちは
いまはふわふわ、
かわいらしい綿毛に
姿を変えて。
また、その種で
湿原を潤す。




ただ
道をゆく


ん?
お花? 種?


ドライフラワーみたいな
かわいらしい実


龍宮をこえて、
ひとり、野っ原を歩く。
この、見晴らしへの
2キロない、だれもいない瞬間が
人嫌いなわたしには
至福のときなんだ。

世界に、
だれもいない

そう、思える。
この2キロを、
コースタイム二倍の時間をかけて
いつも、幸せを噛みしめる。


午後4時ごろ、弥四郎小屋に到着。
湧水のお風呂に浸かり、
午後5時には、
この、ソラ。
至仏山の少し北寄りに、
陽が落ちる。

真っ赤に染まるソラ。
山陰から刺す陽の残り。
一日、きょうは、
ありがとう。

また、あしたね。


振り返ると、
夕焼けは、
弥四郎小屋とその後ろに控える
燧ケ岳も、
美しく、染めていた。


尾瀬ヶ原の道の楽しみは、
ここにも。
ホッと一息。
優しい、弥四郎小屋カフェ。
今回は、
人生初のプレスコーヒーに挑戦!
やっぱりミルクをたくさん入れて…笑


秋の尾瀬ヶ原、
夜はグッと冷えてくる。
この冷え込みが、またあしたの
色をつくるんだと知ったのは、
また、あしたのおはなし。

其の六 後編へつづく…