夕暮れの「ヴェリス」・・・
湾曲状の港町を一望できる高台で、ひとりの女性が優雅に歌っている・・・
その歌声は、なんとも切なくて心温まるそんな歌が辺に響いて・・・
港町とその女性を赤く夕日が綺麗に照らしていた・・・
そしてここは孤児院から、そう遠くない建物の部屋にメリウスは居た、目を覚ますと「ゼフィル」が泣いていて「リゲル」の姿も見える、此処は何処と訪ねると「リゲル」は答える、知りあいの医者がいる所で他のふたりも大丈夫だと・・・
あの火事から2日経ったと告げられる
・・・メリウスはどうしてこんな状況になっているのかを思い出していた・・・
孤児院が火事になって・・・息が苦しくなって・・・
その先が思い出せない・・・
すると「ゼフィル」は気付いたメリウスに駆け寄り涙を流しながら謝る、自分の不注意で火事にしてしまい済まないと・・・
また泣き出すが「リゲル」は一喝する
「リゲル」は少し時間は掛かるが直ぐに元通りして、みんなが暮らせる様になる、今はしばらく寝ていろと話し終えると「ゼフィル」を連れてそこを後にした・・・
数日して「ティリス」と少年が迎えに来る、その少年は「グラディニー」メリウスの身体を気遣っていたが自分の身体も火傷まみれ・・・
メリウスは心配ない元気だと見せると「グラディニー」は助けてくれてありがとうと言葉少なげに礼を言う
そして「リゲル」に連れられて孤児院に戻ると・・・
孤児院は「リゲル」達の決死の消化活動により全焼は免れた様で今は修復をほぼ終えていた
中に入ると子供達の輪から、ひとりの子供が駆け寄りありがとうと礼を言うとまた戻っていた、三人の中で一番軽症だったらしい、そしてまた孤児院での暮らしとなるのだがメリウスを取り囲む状況は変わっていた
みんなが暖かく迎えてくれるのだが一人少し違うモーションを掛けて来る少年がいる・・・
「ローズィム」はメリウスより少し背が高く細身の少年・・・
それをさせまいと、すかさずにメリウスを引っ張る女の子がいる
メリウスは病みあがりなんだからと、その輪から遠ざけようとする「シーリス」・・・
と「ローズィム」とで何やら言い争いになっている・・・
「リゲル」の事はどうするのよ?手の届かない大人より目先の男よ・・・などと問答を始めてる隙に
「ジニアス」が「ゼフィル」達と遊ぼうとメリウスを連れ出す、そして孤児院に来て初めてメリウスは笑う
そんな様子を「グラディニー」は微笑ましく見ていたが「レクス」だけは神妙な面持ちで見ていた・・・
この時を境にメリウスの位置も意識も変わり始める、幼い子供達に囲まれるのは「ゼフィル」に変わり孤児院内での中心的な存在へとなって行く・・・
そんなある日メリウスに向けられる間接的な嫌がらせを「ローズィム」は見つけ気付かれないように阻止するのだが・・・
そして数日を過ごした時にメリウスは「ティリス」に本が読みたいと願うが彼女は悩む・・・
その様子を見た「ゼフィル」も加わり「「シーリス」も「ローズィム」も「ジニアス」も「グラディニー」も加わると「ティリス」は折れ・・・
「リゲル」を訪ねると難なく許可を得るが「ティリス」の心境は複雑であった
次の日にメリウス達はいつもの様に外へ出て陽だまりの中、子供達にメリウスは本で読んだおとぎ話しを話したり子供達の問いかけに答えている
「シーリス」は側で座りながら一緒に聞いていて、「ジニアス」・「グラディニー」・「ローズィム」は少し離れた木陰で屯い「ローズィム」は器用に編み物をしている
「ゼフィル」も離れた所からメリウス達を見ている、そこへ「レクス」が忍び寄り話し掛ける・・・
このまま放って置くと「シーリス」をメリウスに取られると「ゼフィル」に耳打ちをし、気の利いた言葉でも掛けて「シーリス」の気を惹いた方が良いと唆すと・・・
その気になったのか「ゼフィル」はメリウス達の方へ向かう
「ゼフィル」は「シーリス」に話し掛けるが、気の利いた言葉は思い浮かんでも口に出せずに居た・・・
そんな様子を「シーリス」は不思議に思い「ゼフィル」を問いただすと、思いも寄らない言葉が返ってくる
「シーリス」最近お尻が大きくなったんじゃないか?と・・・
・・・「ローズィム」が笑うとつられて皆が笑い出す・・・
「レクス」はそれを見て頭を抱える・・・
確かに「ゼフィル」は「シーリス」の気を惹く事には成功したのだが・・・
次の瞬間「ゼフィル」は殴り倒され「シーリス」は声をあげて泣きメリウスの元へすがりつく・・・
それを見た「ローズィム」は憤怒の表情・・・
手にしている編み物は無残な物へと形を変え「ジニアス」がそれを慰めていると「ティリス」が現れてメリウスを呼ぶ、町にある書館への誘いだ
「ティリス」はいつもの様に「ゼフィル」達に子守を任せるとメリウスと共に書館へと向かった
すると「ローズィム」は「レクス」を呼び話しがあるとふたりは建物の影へと消える・・・
「ジニアス」はふたりの事が気になり見に行くと、「ローズィム」は「レクス」の胸倉を掴み建物の壁に押し当てながら言い争っている・・・「ジニアス」は慌ててふたりを止めに入ると、その場一旦静まるが「ローズィム」と「レクス」の関係は犬猿の仲となって行く
メリウスは「ティリス」に連れられ「ヴェリスの書館」へと向かう道中、何人かの白い視線を感じていた・・・
何故か後ろめたい気分にさせられる、そしてメリウス達は目的の場所へ到着する
立派な佇まいの大きな館、そして大きな扉を開けて中に入ると、本棚が無数に並び木や書物の匂いなのか独特の香りがする空間、正面には大きな明かり窓があり、入り口から奥へと繋がるテーブル照らしている、見渡すと奥には一人の女性と老婆が椅子に腰を掛けていて手招きをしているメリウスは老婆の横に座る様にと言われるが儘に座る、老婆は「リゲル」から話は聞いてるよ知りたい事や解らない事があれば何でも聞きなと言う・・・老婆の名前は「メトリー」そして孫の「イリア」と共に此処を管理している
「ティリス」は「イリア」としばらく話をし「メトリー」に挨拶をして夕方には戻るのよとメリウスに告げ去っていく
早速メリウスは本を読む事にするが言葉が難しく「メトリー」の手解きを受けながらメリウスは相変わらずペラペラとめくるだけの様子を「メトリー」は不思議そうに見ていた・・・読んでいく本は多種多様
そして「メトリー」はメリウスが首から提げている物に気付きメリウスは青いペンダントを見せる
随分とくすんでいると言い磨いてくれた、すると青い石の中心に星が光る様な輝きを放つ物へと変わる
宝石にはアラトゥスが宿ると言われている大事にしてれば力を貸してくれるかもしれないと「メトリー」は言う
そしてアラトゥスとは古より伝わる、妖精や未知なる力を現しているらしい
次第に日が暮れ初めメリウスは「メトリー」と「イリア」に礼を述べ帰路へと向かうが
何処からともなく視線を感じる・・・
孤児院が見える頃にその視線の主が現れる・・・町の子供達・・・
メリウスは謂れのない罵声を浴びせられるが気にせずに歩いていると頭部に激痛が走る・・・
子供達が石を投げつけている・・・メリウスは他の飛んでくる石を避けながら逃げ帰る・・・
孤児院に着くと「ローズィム」が真っ先に出迎えてくれる・・・
そして「ローズィム」は額から流れる血を見てどうしたのかと聞き寄るがメリウスは転んだとおどけて見せて外にある水場で血を洗い流す・・・
「ローズィム」は何が起こったのか直ぐに感づくが言葉を飲み込んだ・・・
この様な事が幾日も続き、虐めは巧みにエスカレートする一方だが・・・
メリウスも大きな怪我や傷を受ける事はなくなっていた・・・
そして次の日メリウスはいつもの様にひとりで書館へ向かうのだが・・・
この日は騒がしい来客がいた・・・
その男は扉を開け入ってくるなりに大声で話し出す
男の容姿は煌びやかな宝石を身につけ、派手な色合いの洋服を着こなす、筋肉質で目つきの鋭い男
そして二人の中で騒がしい会話が始まる・・・
男「よぉー!メトリー婆さん元気にしてるかい?まだお迎えが来ないみたいだな~
頼んでおいた本は来てるかい?」
メトリー「悪ガキが・・・一言多いんだよ!まったく・・・悪さするんじゃないよ!」
男「おいおい、もう34だぜ?そんなガキみたいな事するかよ・・・!?
その隣に居る赤毛はイリアの子かい?・・・まさか・・・婆さんが産んだ・・・?」
メトリー「ちょっと来なアジール」
アジール「・・・言われなくても行くさ、沢山本が置いてあるがどれが俺の本だ?」
メトリー「この子はティリスに頼まれて面倒みてるんだ虐めるんじゃないよ」
アジール「ほぉ~って事はあそこの子かい見ない顔だな、名はなんて言うんだい?」
・・・メリウスは名をアジールに教える
アジール「良い名だな、それで俺の本は?」
メトリー「その前にこっちに来て頭出しな・・・早くしな!」
アジール「・・・なんだよ俺が何したってんだよ・・・」
メトリーは青く分厚い本でガツンとアジールの頭を叩く・・・
アジール「痛ぇー!・・・思いっきり殴りやがって頭が馬鹿になったらどうしてくれるんだ?」
メトリー「安心をし、お前ほどの馬鹿はそれ以上悪くはならないよ」
アジール「あぁ~あぁ~そうですかい、そんでどれが俺の本だい?
メトリー「この青くて分厚い本がそうだよ、持って行きな」
アジール「お代は?」
メトリー「さっきのがそうだよ」
アジール「・・・本を借りるたんびに頭叩かれたら本当に馬鹿になっちまうぜ
小僧気を付けろよ・・・この婆さんは若い奴の生気を吸って長生きするって話だからよ」
メトリー「その子の名はメリウス・・・さっき自分で聞いただろ?
それと・・・アジール!ラングゼーブに私を馬鹿にしたと言っておくからね、何があっても知らないよ」
アジール「・・・あっ!メトリー婆さん・・・いま俺、綺麗な宝石を持ってるんだが欲しくはないかい?」
メトリー「そんな物欲しくはないね」
アジール「・・・そんじゃイリアに渡しておくからよ、まぁ~邪魔したな長生きしろよ~メトリー婆ぁ~」
アジールはイリアの元へ行き、さっきとは違う声と瞳でイリアに接する
アジール「よぉ~イリア綺麗になったな、これ受け取ってくれ、滅多に出ない極上の品でよ
ガーネットって言うらしい、まっ!そう言う事でよ、また来るぜ」
イリアは頷くだけでアジールの言葉を聞いていた
メトリー「うちの娘に触れるんじゃないよ!さっさと行きな!」
アジールはイリアの指に宝石をはめると直ぐにそこを後にした
あいつらは手の付けられない悪ガキでね・・・
昔はリゲルと一緒につるんでたもんさとメリウスに教えてくれる・・・
嵐の様な男は帰って行くが、イリアの瞳はアジールに釘付けだった
そして、あくる日にメリウスは大事な物と出会う事となる・・・
いつもの様にメトリーの書館へ行くはずだったが
見せたい所があるとメリウスをヴェリスの高台へと連れて行く
ティリスとイリアに連れられ、メリウスは高台の端にある花畑を見るが・・・
ある花を見てメリウスは感情を抑え切れずに涙をながしてしまう・・・
それを見た二人は何事なのかと訪ねるがメリウスは応えようとはしない・・・
イリアがメリウスを呼び不意に頬を叩く・・・男の子が何の理由も無く泣くなんて事はしないと
イリアはどうして泣いたのかを聞かせてと寄り添うが、メリウスは話す事を拒否する・・・
ティリスも涙の訳を話してごらんと言い寄るがメリウスは下を向き まだ泣いていた
ティリスは素直じゃないわね・・・そうゆう素直じゃない子は嫌いよと強く言いメリウスの反応を見ながら、次の言葉を出す
そこまで話したくないなら考えがあるわ・・・
これから一切本を読む事を禁止するわメトリーおばさんの所へは行かせないし、私もイリアも嫌いになるわよ!と・・・
メリウスはしぶしぶ話しだそうとするが呼吸が乱れて上手く話し出せないでいる
イリアは優しく深呼吸をしてみなさいとメリウスに言い聞かせる
するとメリウスは深呼吸をし落ち着きを取り戻し話し出す・・・今まで誰にも言えなかった事を・・・
レージェライでの事を・・・
ハズリットが愛していた花が・・・・この花だと・・・
そしてディアーヌの両親の事も・・・あの時に送った花もこの花だったと・・・そしてその結末も・・・
ティリスはどうして教えてくれなかったのと泣きながらメリウスに聞くが
メリウスは凛として力強い瞳で応える
何も出来なかった事が悔しかった・・・
何も知らない事も悔しかった・・・
自分の力の無さが悔しくて・・・
強く成らなければいけないと心に誓ったんだ・・・あの炎の中で・・・
だから弱音は吐かない・・・そう決めたんだ
ティリスは言葉を詰まらせながら言う、子供なんだから仕方ないじゃない何でもできるはずないでしょ・・・
幼い子供がそんな事・・・ティリスは言葉が詰まり話せないでいた
イリアも泣いていたが力強い声でメリウスに言葉を放つ
そうね・・・男の子なら強く成りなさい・・・どんな事にも負けない強い男になるのよ、と・・・
そんな事があり、三人で花畑の手入れをする事と成る
そして、憂鬱な日も傾く夕刻時・・・
孤児院へと向かう道にその集団は待ち受ける
メリウスの前にひとりの体格の良い子供が立ち塞がる、悪ガキ達の首領、茶髪の「アッシュ」・・・
この道を通りたかったら地べたを這いずり回って許しを請えと言うメリウスは他に方法は無いのかと聞くと
唾を吐き掛けられ犬の様に跪く他に方法は無いと言う・・・
メリウスしゃがみ地面に手を着くと、砂を掴み「アッシュ」の顔へと投げつけ怯んだ隙に逃げる、「アッシュ」は赤毛
を捕まえろと叫び、手下達は追ってくるがメリウスの足には敵わないが・・・
ここで追われる者と追う者の図式が確立する・・・何故ならメリウスには一切の反撃の手段が封じられている為で
ある、それは何故か・・・「ティリス」も何が起きているかは察しているが歯向かう事はできない
それは「リゲル」の多大な支援もあるが町全体の支援により孤児院が成り立っているからである
それでもメリウスは本を読みに行く事は止めずに孤児院内では明るく振舞っていた・・・
ある日メリウスは「メトリー」に茶髪の「アッシュ」の事を訪ねると、思わぬ答えが返って来る
町の子供達に慕われてとても良い子だと、それに親は町では一番の大富豪でこの書館の所有者との事
この頃からメリウスは夕刻よりも少し早く書館を後するが孤児院に着く時はいつも日が暮れてから・・・
それは「アッシュ」達と出会わない様にする為と、もうひとつふたつの目的があったが・・・
ある日、メリウスはメトリーの所で本を読み終え、帰ろうとするとイリアから夕食の誘いを受ける
ティリスには話してあるとの事
メトリーの家へ向かう道の途中でメリウスはイリアに言う、食卓にあの花を飾って欲しいと・・・
イリアは解ったわと少し嬉しそうな顔をしていた・・・そんな様子をメトリーは微笑ましく見守る
目的の家へ到着すると、驚くほどに華やかに素晴らしく花が咲き誇る家へ招待される
家の中の明かりで照らされ、何とも幻想的な装い
少しの時が経ち食卓の上にはあの花が飾られ豪華な食事をイリアが運び終える
メリウスは慎ましく夕食をご馳走になる筈だったのだが・・・まず先に問題があった
イリアがまず私の隣の席に着いて食事をしなさい私が作ったのよと言うが
メトリーが口を出す・・・メリウスは私の隣に来るって決まってるんだよ、ほらこっちに来な
メリウスは戸惑い・・・二人は口論を始めてしまう・・・
イリアは誰がそんな事決めたのよ、決めるのはメリウスでしょと言うが・・・
メリウスは内心、こう考える・・・
本来なら若くて綺麗で優しいイリアの横に行きたいが・・・
優しくて物知りでいつも気に掛けてくれるメトリーお婆さん・・・後々を考えると・・・
メリウスは食卓を前にして大問題に遭遇する・・・
イリアは男らしく無いわね、はっきりしなさい男でしょとメリウスを急かす
メトリーは不適な笑みを浮かべ優しくメリウスに解るでしょ?どっちに来れば良いのかと言う・・・
・・・メリウスは困りかね二人に目配せで助けを求める
するとメトリーが男をからかうもんじゃない、ほら食事が冷めるじゃないか
こっちへ来て食べなさいと助け舟を出してくれ
メリウスは従いメトリーの隣に座ると、メトリーは素直で良い子だねと褒め
勝ち誇った顔を浮かべる・・・
それを見てイリアは、後で覚えておきなさいよとメリウスを軽く睨む・・・
そしてメリウスはある会話の中にいた
イリアは不意にメリウスの様な子が欲しいと言う
メトリーは、あの男はやめときな、ろくな男じゃないからねと言う・・・
イリアは良いじゃない、あんな男滅多にいないわよと詰め寄る
そんな会話をメリウスは聞いていて、アジールさんの事ですか?と訪ねると
イリアは驚くが、メトリーは笑う
そしてメトリーはメリウスに聞く、アジールをどう思う?と・・・
メリウスは素直に面白そうな人ですと答えると、またメトリーは笑い出す
こんなに笑ったのは久しぶりだ仕方ない・・・あの男をどうにかできるなら良いだろうとイリアに言う
イリアは満面の笑みで何度も聞き返す
メリウスに感謝するんだよとメトリーが言うとイリアはメリウスに駆け寄り抱きしめ頬にキスをする
メリウスは頬を赤くし硬直するとイリアは可愛いと呟く
こら!イリア男を惑わすんじゃないよ、まったくこの子は・・・とメトリー
そんな微笑ましい夕食を終えイリアはメリウスを送ると夜道をふたりで歩きながら話す・・・
イリアは言う、あの花畑の手入れが終わったらアジールに見せたいのと
ティリスに頼んであの人の為にやったの・・・
私が小さい頃に、あの人がお前に似合うって髪に挿してくれた花があの花なの
気にいってくれると良いのだけど・・・
メリウスは大丈夫だよきっと気にいってくれるはずだよ、とイリアを励ます
あの人が花畑を見て気にいってくれたら告白するとイリアは言うが、不安がる
メリウスは大丈夫きっと上手くいくよと何度も何度もイリアを励ます
そしてメリウスは孤児院へ帰りティリスにその事を告げふたりで応援しようと話しが盛り上がると
ティリスもぽろりと零す、私はリゲルの事が好きなのと・・・
ティリスははっと気付き、今話した事は内緒ねと、その夜は更ける・・・
メリウスはベッドの中で今日はなんだか面白い日だったなと振り返り心地よく眠るが
翌る日、事態は急変する・・・
メリウスが高台にある花畑へと水や花の手入れをし様と向かうが・・・その光景を見て呆然とする
あきらかに誰かの仕業によって花畑が荒らされていた・・・
あと少しで綺麗な花を満開に咲かせるはずだったのに・・・
いったい誰が・・・少し冷静さを取り戻し辺りを観察すると、いろいろ解る事がある
足跡は子供の様・・・花を見る限り、時間的には少し前の出来事の様だ・・・
そこへ聞き覚えのある、笑い声が聞こえてくる・・・
どうやら、その声の主達は木の陰に隠れ見張っていたらしい
・・・・・メリウスは足元にある花を拾い、声の主達がどう出てくるのかを待つことにした
アッシュ「ここは俺達の遊び場だ、勝手にそんなもの作られちゃ困るんだよ、孤児の赤毛」
喋りながら木陰からガキ大将が姿を現す
メリウスは花と一緒に拾った石を強く握り締め
アッシュ目掛けて飛びかかろうとしたが四方から痛烈な衝撃を受け、地面に転がり倒れる
アッシュ「ははは、残念だな赤毛コレを見な」
それはY次の木の枝の先端にゴム紐が付いている、子供のおもちゃだが
その威力は使ってる本人達は知らない様だ・・・小動物なら軽く殺せる様な代物・・・
子供の遊びと言うのは時に残虐極まりないものと成るが、何故か?
その遊びに対して制限と限度がないからである
メリウスは辛うじて急所には当たってはいないが、足や腕が痛みで震え・・・死と言うものが頭を過ぎる・・・
アッシュ「お前、こんな所で死にたくはないだろ?だったら俺達の奴隷になれ!そうしたら許してやるぞ」
・・・・・許す?いったい何を・・・?生きる事の許しをここで・・・こいつらに請わねばならないのか・・・?
膝を付きながらメリウスは考える・・・いったいどうすれば・・・
血が滴るヴィルのスカーフを握り締め、この状況を考えてると、そこへイリアが駆け寄ってくる
直ぐ様にメリウスを抱きしめるイリアだが状況が読み取れていない様子・・・
アッシュ!そんな物で人を撃ったら、どうなるのか解らないの?とイリアは叫ぶ
「うるさいんだよ、黙れ!俺の親父に使われてる身分の分際で俺に口答えするな!」とアッシュ
メリウスはイリアに謝る・・・花畑がこんな事になって自分がいけないんだと
「悪いのはこの子達だからメリウスは謝る必要はないと慰めてくれるが・・・状況は何も好転しない
アッシュ「イリア、そいつを放せば許してやる、そうしないとお前もコレの餌食なるぞ」
アッシュは内心まずい事になったと思っていた・・・
イリアはアジールが妹の様に可愛がっている事を知っていたから・・・
しかし、仲間が見ている手前アッシュも引くに引けない状況になっている
アッシュとイリアの口論が始まる中、メリウスはイリアから抜け出そうとし、顔を上げた瞬間に
やっちまえ!と木の陰から石を放つ奴が・・・アッシュはやめろバカ!と叫ぶが
放たれた石はイリアの頭部に直撃する・・・イリアの顔を血が流れ滴り落ちる・・・
その瞬間メリウスはイリアから離れようとしたが、強く抱きしめられイリアは言う
「ダメ、死んじゃう」と・・・
アッシュは仲間の行動を抑えるのに必死で、その状況に戸惑っていた
メリウス「放してくれ・・・大丈夫だから・・・イリア?」
イリアは、もがくメリウスを必死で抑える
メリウス「放してよ・・・あんな奴等には絶対負けないから・・・お願いだから放してくれ・・・」
「放せー!」とメリウスが叫び上げると、何かの箍が外れたかの様に一斉に四方から石が飛んでくる
メリウスはイリアの体越しに、その衝撃を感じて叫ぶ・・・言葉ではない叫びを何度も・・・繰り返す
その時、誰もが驚くような大きな声で
「てめぇーら!そこを動くんじゃねー!」とアジールが姿を現す
場は静まり返り、誰一人声を出せる者はいなかった・・・
・・・アッシュとしては、一番恐れていた事態へとなり、身を震わせる
アジールは鬼の様な形相でアッシュの前まで歩を進め話し掛ける
「アッシュ 仲間を連れて今すぐ消えろ」
・・・「こ、これは・・・俺がやった訳じゃないんだ」とアッシュは言いうと
「俺が言った言葉、聞こえなかったのか?・・・それじゃ仕方ないな」とアッシュを蹴り飛ばす
アッシュは地面に叩き付けられ苦しむが、誰一人として木の陰から現れようとする仲間はいない
・・・アジールの形相は険しさを増す
「いま!俺の前に姿を出さなかった奴は容赦しねぇ!そのまま とっとと消えろ!」
アッシュは苦しみながらも木の陰へ逃げ、仲間の助けを借り、道なき道を帰る
アジールはイリアの元へ行き、気遣いの言葉を掛ける
[私は大丈夫だけど・・・この子が・・・」と言葉を詰まらせ泣くイリアだが
アジールは優しく言葉を掛ける
「イリア悪いが一人で帰れるか?・・・俺はそいつと話があるんだ、男としてのな」
イリアは頷き、立ち上がりアジールの目を見て「・・・お願い」と言い、そこを後にする
・・・アジールの目の前にはメリウスが居るが・・・様々な感情が心を乱し泣き崩れていた
アジールは「小僧、立て」と言いながら、メリウスの腹を蹴り飛ばす・・・
(ただいま修正中、後程更新)
そして次の日もメリウスはいつもの様に朝から昼過ぎまで「メトリー」と「イリア」に色々な事を教わる
するとこの日は「リゲル」や「ティリス」の事も教えてくれた・・・
「メトリー」が静かに語る・・・
今から20年程前に大きな戦争が起きて「ヴェリス」の町は焼け多くの人が死んだ・・・
そして戦で親を亡くした子をふたり預かる事になる・・・
それは15歳程の少年「リゲル」とまだ幼子だった「ティリス」・・・
我が子と同じ様に育てたけど「リゲル」は17歳の時に傭兵になると家を出て行ってしまった、そして2年後に「リ
ゲル」は私を訪ねてくると血にまみれた革袋を差し出して育ててくれた礼だと大金を置いて「ティリス」は自分が育
てると連れて行き、今ある孤児院の所に小さな家を立て仲間達と一緒に暮らす事になった・・・
それが今では立派な孤児院となり今でも私を気遣ってくれるが・・・
どれ程の事をして来たかと思うと心が痛む・・・
人は戦う事では戦いを終わらす事はできない哀れな生き物なのかもね・・・と語る仕草は哀しげなものだった
そんな「メトリー」を見てメリウスは力強く言い放つ、必ず戦いを終わらせる人と人同士が争い憎しみ合う事は間
違いだと哀しみを失くす為に、決して揺るぎのない力を手にして明るく平和な世界を掴み取ると誓う
「メトリー」は年端もいかぬ子のメリウスの力強い眼差しに若かりし頃の「リゲル」の面影を見て
メリウスを抱きしめながらに心してお聞きと言う・・・人は産まれながらに尊い生命を犠牲にして生きて行く
その犠牲なる者達を軽んじてはならない感謝と慈しむ心は捨ててはならぬ・・・そして力を得る事も同じ
多大な力を欲すれば欲するほどに、それに等しき負の力を背負う事になるのを忘れてはならないよ
そう言い聞かせると「メトリー」は立ちあがり、ある物を取り出してきてメリウスの胸に付ける
それは四葉のクローバーのブローチ「メトリー」の家に代々伝わる幸運を導く品との事
メリウスは貰う事はできないと戸惑っていると、メリウスの胸に付いているのが相応しいと微笑む
そして時刻は夕刻前となり「メトリー」と「イリア」に礼を述べ足早にそこを去る
メリウスは、この日も書館の裏口から出て、ある所へと向かう・・・
そこは「ヴェリス」の港町を一望できる高台・・・いつもの様に日が沈むまで赤く染まる光景を眺めている
そして此処にはもう一人の女性の姿がある、その女性はいつも高台の一番海に近い方へ立ち優雅に歌う
その様は素晴らしく美しい絵画を見ているようにメリウスの目には映っていた・・・
メリウスはいつもの所に座り彼女の歌を聴くのが好きだった、嫌な事なんか忘れて心温まる気分になれる
女性は歌い終えると、いつもは足早に町へと戻るのだが今日は違いメリウスの横へと来る
女性の名は「イシュタル」ワインレッドの鮮やかな衣服を纏い、美しく輝く長い黒髪と哀しげな瞳を持つ女性
そして胸元にはワインレッドに輝くペンダントと右手首には金色に光る蛇のブレスレッドをしている
「イシュタル」はメリウスの横に座り話し出す・・・
ここから見る夕日はとっても綺麗ね
赤く染まる町を見渡していると日常の嫌な出来事も些細なものに思えるけど、小さな子供がこんな人気もない所
にひとりで来るなんて感心しないわね、とメリウスの表情を伺う
メリウスは言葉にしようと思った言葉をを飲み込む・・・
すると「イシュタル」は、残念ね力になれるかと思ったのに・・・と言い立ち上がる
私は歌を唄いながら色々な国を旅をしているの、どこの国でも争いはあるけど・・・
いつの日か争いのない日が来ると信じて歌い続けるの、そしてここで歌うのは今日で最後・・・
「イシュタル」はメリウスに名を聞きく
もしメリウスに掛け替えのない人や心に誓った想いがあるのなら自分自身には決して嘘をついてはいけない
そう言い残し、早く帰りなさいとイシュタルは立ち去った・・・
そして夕日は沈みメリウスは高台に立ちながら薄暗くなる町の様子を見渡していると「アッシュ」達らしき人影を
見て足早に高台を後にする
メリウスは孤児院へ向かう道を歩いていると「アッシュ」達は現れ、今日こそ捕まえて泣かせてやると息巻いてい
る、いつもながら飽きもせずに追ってくる事に感心させられる
メリウスはいつもの様に軽く逃げる事は出来たが
今日は少し違っていた孤児院の前まで来ると三人の手下が見張りをしている・・・どうやっても捕まえる気らしい・・・
メリウスはその三人に砂を投げつけ追わせる様にして港の倉庫街へと逃げ込む
「アッシュ」達も倉庫街へ集結してくる
メリウスの思惑は、この場で撒いて、諦めて帰る奴らを狙い暗闇の中一人づつ始末を付ける気でいたが・・・
ここは治安も悪く遠方から来る船乗りや酒場に屯するゴロツキ達の溜まり場、町の人でも立ち寄らない場所で、
ましてや子供なんかの来る所ではない、辺りもすっかり暗くなり酒場に明かりが灯る
メリウスはワザと袋小路の所へと「アッシュ」達を誘い込み
塀を駆け上り倉庫の影で息を潜めながら様子を伺う、「アッシュ」達は見失ったと諦めて帰ろうとするが・・・
そこへ現れた謎の集団が「アッシュ」達を捕まえ次々と縛りあげ大きな袋に入れて運び去ってしまう
人売りと思われる集団・・・
メリウスは思わぬ展開に戸惑いながらも身を潜めながら後を付ける
・・・このまま放っておけば彼等はどうなる・・・
知った事じゃない!奴等が一体何をしてきたんだ?
当然の報い・・・もどかしい考えが頭を交錯するが、考えを一つに決め追う事にする・・・
大袋を持った男達はそれを自分達の停泊している帆船に載せ集団は酒場に向かう
メリウスは周囲の気配を読み取りながら帆船に近づくと船上には明かりを持った見張り役がいる事に気付く
船上にひとりと船倉の中には何人もの気配を感じる・・・「アッシュ」達は船倉の中・・・
運良く橋は掛けたままになっている
そこでメリウスは小石を手にし橋を上がる・・・物音を立てないように慎重に歩を進め、船体に近づいた時
小石を船首に当て船上にいる見張りの注意を惹き隙を見て船へと忍び込む事に成功する
次に船橋にと入ると中にあるランプとナイフを手に入れ気付かれない様に船尾に向かいランプに火を灯し甲板に投げつけ火を放ち身を潜める
すると容易に火は広がり燃え盛り、船首近くの見張りは気付き船倉から仲間を呼び慌てて火を消しに掛かる、その隙にメリウスは見付からない様に素早く船倉へと続く階段を下りて行く・・・
船倉の中には明かりが灯してあり縛り上げられた「アッシュ」達の顔が確認でき
他にも若い女性達が縛られていた・・・
メリウスは縛られている縄をナイフで切り解きながら「アッシュ」に話す
囮となって見張りを惹きつけるから合図をしたら「アッシュ」は、みんなを誘導して逃げてくれと頼むと
「アッシュ」は頷いた
そしてメリウスと「アッシュ」は船倉内にあるランプを手にし、メリウスは船上へと駆け上がり
3本あるマストの中間にあるマストにランプを口に銜えながら登り中段辺りまで来た時に
ランプを船尾めがけて投げつけると消え掛かっていた炎が再び燃え上がる・・・
見張りがメリウスに気付きマストを物凄い早さで登ってくる
そしてメリウスはマストの天辺まで着き行けと叫ぶと「アッシュ」達は船倉から出てきて次々と船橋を渡る人影が見える・・・
上手くみんなを逃がす事には成功したが勢い余ってマストの天辺まで来た事に少し後悔した・・・
並みの高さじゃない・・・
すぐ下には見張りの男が迫っている・・・考える時間はない・・・
メリウスはふと腰に差しているナイフでマストに括り付けてある帆切りつけてみると意外と頑丈な布である事に気付く・・・
その時、見張りの男がメリウスの居る位置まで上がってきて捕まえようと手を伸ばす
メリウスは身を乗り出しナイフを帆に鋭角に刺し雄叫びと共にナイフに身を預け飛び降りる
順調に帆を切り裂きながら落ちて行き・・・
無事に降りる事はでき、急いで船から下りようと橋へ向かうと・・・人売りの集団が戻ってくる
そしてマストの上に居る見張りが叫ぶと、あっと言う間に追い詰められてしまう・・・
メリウスは何とかして逃げようと奔走するが、敢え無く網に掛けられ捕まってしまう。