ここは「レージェライ」の街の中央にある広場・・・

周囲の建物は赤々と炎を上げ、数多くの人々が息を引き取り倒れている・・・

惨劇の只中に4人の姿があるだけ・・・アルは「ディアーヌ」を抱いたまま気を失い倒れ、そして・・・謎の男と女性・・・

男は、とても哀しい気な瞳をしていて髪の色は銀髪、赤い衣を纏い腰には一振りの剣を携えている・・・とても戦士とは思えない風貌

女性は、切れ長の瞳で黒髪は肩に届き白い衣を纏い、その様は容姿端麗

女性は耳にする微かな声の元へ男と共に寄る・・・「ディアーヌ」の泣き声だ・・・ふたりを抱き上げ男に連れて行く事を哀願するが、アルが身にする金のブレスレッドを見つめ叶わぬと言う・・・しかし、この場に見捨てても措けぬと・・・アルを抱いたままの女性と共に姿を消した・・・

アルは微かに気がつくが目を開く事はできない・・・男と女性の話し声だけが聞こえる・・・

女性は男に訪ねる、本当に此処で宜しいのかと・・・

男は頷き、この者達には進むべき道が在るようだと・・・

そして男はある名前を口にする・・・「メリウス」よ・・・心して臨め・・・

ふたたびアルは気を失う・・・此処は何処なのか・・・「メリウス」とは・・・・

夜明けの囀りを耳にしてアルは目を覚ます・・・木造りの小屋の中に「ディアーヌ」と共に居た・・・周囲には人の気配はない、外に出て見ると・・・そこには湖が見える、しかも見た事のある風景だった

・・・夢で見た光景・・・アルは気付く此処は「レージェライ」から遥か南にある湖だと、それと身に付けている物にも・・・

右手にある蛇が巻き付いた様な金のブレスレッドと首に下げられた青い石・・・

祠にあった筈の宝石が何故・・・少し考えたが、解らないので他の事を考える・・・

小屋に戻るとロープや木炭と少しの備品はあるが食料はない・・・赤子を連れている以上動く事もできない、アルはこの場で生きて行く事を決意するが・・・

アルは途方に暮れながら周辺を探索すると、水辺には様々な動物達が生息し、その中には牛や山羊の姿もある・・・アルは持てる力や知恵を駆使し生きる事に全力を注ぐ・・・

数日経ったある日、「ディアーヌ」が高熱を出してしまう・・・アルは寝ずの看病をするが容態は良くはならない・・・3日目の朝、アルは水を汲みに湖へ向かうが水辺で気を失い倒れてしまう・・・

・・・アルは夢を見ていた見ていた・・・辺りは青白く輝く霧の中・・・水辺に呆然とアルは立ち尽くしている・・・

すると湖の中を巨大な蛇の様な影が蠢いていて・・・水飛沫と共にその影は姿を現す・・・それは巨大な竜

アルは驚き後ずさりをするが・・・見上げると竜と赤子の姿がある・・・

竜の手には「ディアーヌ」が握られている・・・アルは叫ぶ・・・すると辺りに竜の咆哮が轟き竜の姿は空に消えた・・・

・・・アルが次に目が覚めると・・・そこは馬車の中、傍には男と女性の姿があり女性は「ディアーヌ」を抱いていた・・・

男の名は「リゲル」鍛錬された強靭な肉体と鋭い目付きが特徴の男

女性の名は「マイア」優しい瞳に少し膨よかな容姿の女性

「リゲル」は気付いたアルに声を掛けれる、何故あの様な所に居たのかと・・・アルは今までの経緯を語ると・・・「ロフト」・「ハズリット」・「ヴィル」・「セレーヌ」の事を・・・「マイア」は涙を流しながら「ディアーヌ」は大丈夫と言う・・・

そして名を聞かれるがアルは「メリウス」と名乗る・・・アルと呼ばれる事を無意識の内に拒んでいた・・・

「リゲル」は「レージェライ」の事をよく知っていた・・・「リゲル」達は傭兵であり、その団長を務めている

そして「レージェライ」に駆けつけた時には全てが終わっていた事を・・・人々の亡骸は丘の麓に弔ったと・・・その中には「ロフト」らしき者達は居なかったと言う・・・

メリウスは涙を浮かべながら顔を背け・・・傍に見える財宝の数々を目にして少しの不信を抱きながら眠る


「リゲル」率いる傭兵団は「ヴェリス」の国に到着する、アストリア大陸の東沿岸にあり陸路・航路共に貿易に富んでいて、五つもの国に囲まれている北東は「ジュピトリア」北は「ドーリュア」北西は「レージェライ」西は「ダヴォシー」南は「ベルディン」その中で「ジュピトリア」と「ダヴォシー」とは連盟を結んでいた

ここからは「ヴェリス」の湾曲状に栄える港町で物語は繰広げられる

メリウス達を乗せた馬車は、ある大きな建物の前で停まる・・・「リゲル」は説明してくれる、此処は孤児院で中にいる子供達は皆、戦争で親を亡くした孤児、そして此処がメリウスの暮らす場所になると言い「リゲル」は院内に入り一人の女性と話していると子供達が「リゲル」の元へ駆け寄る

メリウスはその様子を眺めていると院内の女性から声を掛けられる、その女性はこの孤児院の子供達の世話をしている、名は「ティリス」凛とした面持ちの美しい女性、この孤児院では皆のお姉さんでありお母さんと言った役回りか・・・そうすると「リゲル」の役回りも解る気がする

「ティリス」は「マイア」から赤子を授かると子供達を広場に呼び、メリウスを紹介し仲良くしてあげてと皆に言い聞かせる、メリウスは戸惑いながらも挨拶をし回りを見渡すと同い年位の子供達を見付ける

「ゼフィル」は「リゲル」の様になりたいと想い硬派を目指す少年

「シーリス」は男勝りな活発な女の子

「ジニアス」はお気楽な態度する少年

「ローズィム」は手先が器用で少々変わった趣味を持つ少年

「レクス」は物事を賢く立ち回れる少年

「グラディニー」は少し内気の少年 

その中のひとり「ジニアス」が気さくに話し掛ける、いろいろな事をメリウスに聞くが、その問いに答える気にはなれなかった・・・

そして「リゲル」を見ると馬車から何かの荷物を運び終えた所で目が合うと、こちらに駆け寄りメリウスを励まし「ティリス」に後は頼むと言うと「リゲル」達は去って行った・・・

メリウスは「ティリス」に連れられ孤児院内の説明を受ける、彼女はランプを手に歩く灯りが無いと行けない場所があるのだ、その中でメリウスの目を惹いたのは書庫、建物の奥にありとても薄暗い場所・・・

メリウスはすぐに本が読みたいと言うと少し待っててと「ティリス」は外へ向かい


「ゼフィル」と「シーリス」を呼び少しの間メリウスと書庫に居るから、子供達をお願いと頼むと「ティリス」はメリウスが待つ書庫へと行く

・・・「ゼフィル」は子供達に慕われる存在ではあるが「シーリス」を少々苦手としていた・・・


ふたりは「ティリス」の言付けを守り子供達と一緒に世話をしながら遊んでいるのを


遠巻きに「ローズィム」と「グラディニー」は見ていたが、二人の姿がない「レクス」と「ジニアス」だ

メリウスは書庫で「ティリス」に本の読み方や言葉の意味などを教わり様々な本を読んでいるが


その様子は少し変わったもので本をパラパラとめくるだけで本を読んでいる

「ティリス」は静かに口を開く


ここには様々な本が置いてあって明かりを灯さないといけないから私と一緒じゃないと使う事はできないと言い、さらに話しを進める・・・

ここには様々な理由で孤児となってしまった子供達が集まる所


そして私も同じ孤児で、ここで育ったと話し、何か力になれる事があれば何でも言ってと告げる・・・

しかしメリウスは口を開く事もなく本を読んでいる・・・


「ティリス」は何かを感じ優しく見詰める・・・

そんな様子を扉の鍵穴から覗くふたりの少年・・・


中で二人が話してる内容は聞き取れないでいる、その表情は興味津々の目と憎々しい目の二つの視線が注がれていた・・・

メリウスは孤児院に来てから誰とも仲良くしようともせずに、「ティリス」にせがみ本を読む日々を過ごしていたが・・・

ある日「ジニアス」も本を読むと付いて来るのだが、本を読むふりをしてメリウスの隣に座りヒソヒソと話し出した・・・


その内容はその金のブレスレッドとペンダント肌身離さず付けてるけどお守り?


とか本読んでて面白いの?


外でみんなと遊んだ方が楽しいよ?


と「ジニアス」なりの誘いだった

渋々とメリウスは応える・・・


自分の無力さを思い知らされたから本を読み知識を得ているのだと・・・


「ジニアス」はそれを聞くとあっさりと書庫を後にする、そして数日経ったある日に事件が起こる

いつもの様にメリウスと「ティリス」は書庫にいる、「ゼフィル」達も子供達と一緒に外で遊んでいたが


意を決したかの様に「シーリス」に少しひとりで見ててくれと頼み建物の中へ入って行った

「ゼフィル」は灯りを手にして書庫へと向かうのだが・・・

通路の角で何者かに突き飛ばされて転んでしまい手に持っていたランプは床に落ちて割れ


瞬く間に火が広がる・・・


「ゼフィル」には成す術は無く・・・


ありったけの声で叫ぶ・・・

メリウス達は辛うじて外に出る事はでき、「ゼフィル」は「リゲル」を呼びに走る、周りには建物が燃えてゆく様を泣きながら見つめる子供達ばかり・・・


その中で「グラディニー」の姿がないと「ジニアス」が騒ぐ・・・

・・・メリウスは炎を前に激しい息苦しさに襲われている・・・


「レージェライ」での光景が鮮明に目に映る・・・

そして「シーリス」が子供を捜しに「グラディニー」は建物に入って行ったと・・・


確かに外に出て来てない子供ふたりが中にいる・・・

しかし炎は一段と勢いを増す、中から誰かが出てくる様子もない・・・


「ティリス」は子供達に呼びかけ井戸の水を運び掛けている・・・

メリウスは呼吸を整えるのに必死だったが「ヴィル」から貰った白いスカーフを握り締めると


不思議と落ち着きを取り戻し、自ら水を被り「ジニアス」にふたりを助けると告げ燃え盛る建物の中に消えた・・・

炎に焼かれ次々と崩れ落ちる建物・・・


そしてようやく「リゲル」達傭兵団も駆けつけて消化にあたる

しばらくして・・・


炎の中から人影が見える・・・

「グラディニー」を背負い片方の手で子供を抱きながら歩いてくるメリウスの姿が・・・

「リゲル」達が駆け寄るとメリウスの意識は途切れた・・・