それは、誰もが知っているおとぎ話から始まる・・・
遥か昔、宇宙に光り輝く星があり そこに住む者達は万物の恩恵を限りなく受け豊かに共存共栄の道を歩んでいた
そこには争いや憎しみも無く その者達は心豊かに優れた肉体や英知を育み
空を山を海を愛する者達はそれぞれに詩を創り楽し気な日々を過ごしていた 何故なら彼らは不老不死の存在
しかし その平穏な日々を脅かす存在が現れた
全てを飲み込むと言う黒い渦と共に来た者達に襲われる事となる
その悪しき者達は様々な武具を身に纏い未知なる魔術を使い攻め立てた
在り様は地獄絵図そのままに、串刺しにされる者 犯され続けられる者 五体を刻まれ喰らわれる者
業火に燃やされ続ける者 魔術により姿を変えられたり様々・・・
逃げ惑う事しか出来なかった星に住む者は英知により反撃にでるが裏切り者の手によって壊滅的な被害を受ける
残る戦士と呼べる者達は7人、それぞれ特殊な能力を身に・・・命運を賭けての決戦へ臨み
悪しき者達の首領を打ち倒す事ができたが、呪いをかけられ皆力尽きてしまう
だが数名の幼き子らが生き延び 人の世を築いたと言われる・・・後々語り継がれる神々の戦と言われる話し・・・
・・・老人が少年に子守唄変わりに語りかけていた、この話しを聞かせると寝付きが良いからである
少年の名は「アル」悪戯好きの活発な赤毛の少年である
老人の名は「ハズリット」厳格でいて体格も良く白髪の老人、昔は城で働いて居たらしいが、今は隠居生活
年数は経っているが立派な屋敷で二人暮らし・・・屋敷の裏には二人が大事に育てている花畑がある
「ハズリット」は蝋燭の火を消し、しばしアルの寝顔を見つめて部屋を後にする
・・・アルは夢の中にいた・・・
・・・そこは森の中・・・
辺りを見回すと蒼白くぼんやりと輝いている 目を凝らして見ると光り輝く羽虫が飛んでいる
不意に何かの気配に気付き、慎重に歩を進めると 白い小さな蛇を見つけ後を追う
どれほど後を追ったのか・・・辺りの景色は一変していた 白蛇は大きな湖のほとりに辿り着き佇んでいる
その湖は広大で霧を纏って奥の方はよく見えない程である そして気付くとあの白蛇の姿はなかった・・・
ぼんやりと湖を眺めていると また何かの気配を感じる・・・
後ろの森の奥の方から・・・
素早く振り向こうとしたが動かない・・・
体がピクリとも動かせない声を出す事もできない その気配は確実に近づく・・・
霧が増し もう辺りは何も見えない程になっていた・・・
なんとも言えない不安に駆られる すると気配の主が感じ取れる・・・
微かに聞こえる獣の様な息吹・・・
なにやら邪悪で恐ろし気な・・・
重苦しく身が凍りつく様な悪寒に襲われる・・・
もうすぐ後ろまで来ている・・・
このままでは殺られる・・・
その時!体が動き咄嗟に湖に飛び込み潜って行った
必死に潜って行くと湖底の奥底に何かが見える・・・
蛇?っと思った瞬間 息が尽きて必死にあがろうとするが
苦しくて意識が遠のく・・・そして目が覚める・・・
アルは飛び起きてある事を確認した・・・
溜息と共に胸を撫で下ろす 何故なら水辺の夢を見ると必ずと言っていい程に洩らした経験があるからだ
12歳にもなって洩らしたとなったら「ハズリット」から想像もしたくない程の罰を受けるかと思うと身の毛がよだつ
朝日が煌々と窓辺から差していた アルは直ぐに夢の事を聞いて欲しくて「ハズリット」を探すが姿は無い・・・
広間のテーブルの上に花があり、その下に書き置きがあった・・・
アルはそれを読むと目を輝かせ急いで身支度をする
書き置きには「ヴィル」に世話してもらう様に頼んであるから訪ねる事と
もうひとつ、くれぐれも粗相の無い様にと書かれてあったからだ
なにやら外から聞き覚えの在る声が聞こえる
声の主は「ヴィル」朝食の用意が出来たので出て来いと言っている
彼は、この国「レージェライ」の騎士でいて1歳程にもなる一人娘の父でもある
歳格好は30代前半、黒髪の長身で筋肉質の顔立ちも凛々しい「レージェライ」を愛する男
そして「レージェライ」とは北には広大な山々南には巨大な湖を持つ緑豊かな国 東西には友好的な国がある
文化的には、その豊かさかあまり発展してはなく神話的にも重要な位置にあり一目置かれる存在が成すが故か
アルは身支度をすませ外に出ると「ヴィル」に飛びつき そこを後にする
・・・何知れぬ不安を秘めながら