ここは「ヴェリス」から遥か西の国、険しい山々を背負い森に囲まれた広大な湖の中枢・・・

辺りは薄く霧が立ち込め 水面に浮かぶが如くそれはある・・・

一筋に延びる橋を渡り 重々しい門扉を抜けた先には・・・

・・・城塞都市「ダヴォシー」、物々しく聳え立つ城壁に囲まれた法と秩序の国・・・

その城壁の中には至る所に武装した兵士達と、気品に満ちた装いと面持ちの人々が豊かに暮らし

街の中心には 豪華な装飾を施した大寺院と天高く聳える時計台があり 日に三度の刻の鐘を奏でる

その鐘の音は、人々に神に祈りを捧げる刻を知らせ、また街のある所から煙が上がる焼却の合図ともされていた

寺院正面には、広場と円形の野外演劇場があり、人々が集う場所となって、それを囲む様に店や住居が立ち並ぶ

そして街の奥には街を見下ろす形で、宮殿と城が厳かに構える

この国はかつて、錬金術なる業で名を馳せ、今では その研究や思想が礎となり医療や科学あらゆる分野に貢献し、密かに重火器の製造をするまでに到り、この国を支えた

その昔・・・20年前に「ヴェリス」を攻め立てた国でもある


そこへ白狼旗を掲げる「リゲル」率いる傭兵団の一行・・・

メリウスと「ゼフィル」 「シーリス」 「ローズィム」 「ジニアス」 「グラディニー」 「レクス」の姿が見える

彼等は「リゲル」達から戦闘技術や心得を学び、傭兵となる道を決意し共に歩む事となっていた 

メリウスは「ヴィル」から譲り受けたスカーフを首に纏い、それぞれの想いを胸に秘めながら・・・

ここで「リゲル」は特命を帯びる為に立ち寄っていた

それは「ダヴォシー」から「ウルダン」への使者を護衛する任務・・・

一傭兵団が何故に・・・大金を出してまで雇われるのか・・・

「リゲル」は少し思う事はあったが、これに従う事にする・・・

それと、ここの大寺院にて司教の好意により、皆洗礼を浴びる事となる・・・鐘の音と共に司祭は語る・・・

「いかなる時も人は欲する・・・富を欲し得れば、次に権力を得よう、そして傲慢を纏い自らを神格とする
然れば7つの罪源を世に放ち人心を乱す事となる・・・
これを戒めとして、我らは主たる神の教えを説く者・・・我ら主に尊い信仰を捧げ、人の法とし罪を御する者
信じよ神の名の元に・・・さすれば奇跡を起こり祝福された約束の地へと導くであろう・・・」

・・・・・その様な事があり「リゲル」達は「ダヴォシー」を後にする・・・

「ダヴォシー」の使者がいる手前、傭兵に語る言葉じゃないぜ、とは笑えずにいた・・・


舞台は次に移る・・・

広大な灼熱の大地・・・荒野が広がる「ウルダン」の国へ向かう

この土地は、かつて平原と湖が広がる美しい所であったが・・・

数年前から謎の異常気象と急速な温暖化により、土地は干上がり荒野と砂漠化が深刻な被害をなす国・・・

鉱石・原油と財源も豊富にあるのだが、広大な土地に住む数知れぬ人々全てを潤う事はなく、異常な程の格差を生み、荒野と共に人心も荒れていた・・・

東にも似た光景の「ベルディン」あり、両国の間では、それぞれが信じる神に選ばれた民と名乗り、戦いは絶え間なく続いていた・・・

「リゲル」傭兵団一行は使者を連れ、夜空に煌く星座と羅針盤を頼りに過酷な荒野の大地を歩む・・・

廃墟となる集落を度々目にしながら・・・

その光景は凄惨・・・死臭漂う疫病や飢餓で苦しむ集落・・・数々を・・・

「リゲル」は手出しは一切無用と言い付ける、それは疫病の感染を防ぐ為と灼熱の大地がそれを許さなかった

すると、ある一団を目にする・・・「ダヴォシー」へ逃れようとする黒人難民を・・・

この頃は「ダヴォシー」と「ウルダン」で停戦協定が結ばれ、難民を受け入れるとの制定が成されている故・・・

・・・メリウスは少し気になる節が思いを過ぎる・・・あの街で見た人々の中には、それらしい姿は居なかった事を・・・

そして過酷な旅路は続き・・・荒れ果てた灼熱の大地を進む・・・ある月夜の晩に起こる・・・

・・・それは待望む・・・

闇夜に身を潜めながら・・・

獲物が来るのを息を潜め待望む・・・

獲物を捕らえ様とする獣の如く・・・目を輝かせながら・・・

「リゲル」達は、明かりを灯しながら幌付き二頭立ての馬車や馬を引き連れ進む・・・

ある集落の横を通り過ぎ様とした時・・・

逸早く事に気付くメリウスが「リゲル」に告げると、同じく不穏な気配を「リゲル」も感づいていた・・・

ある集団に囲まれている・・・「リゲル」は気付かれない様に皆に命ずる・・・

・・・「リゲル」が「行け」と叫び、使者を乗せた馬と馬達を操る者を逃がし、みな迅速に明かりを消し地面へ伏せる、と同時に周囲から無数の矢が飛んでくる・・・

残ったのは馬の居ない馬車と「リゲル」達、傭兵団・・・「リゲル」はメリウス達を呼び離れるなと告げる・・・

メリウス達にとっては初の実戦になる・・・月明かりは辺りを照らすが姿は見えない・・・

そしてもう一度「リゲル」は「散れ」と叫ぶと同時に矢は放たれる・・・

各々が場を離れ斬り合いへと持ち込む・・・集団は雄叫びを上げ斬りかかってくる・・・

無理に斬り合おうとするな同士討ちに合うと「リゲル」が忠告するがメリウス達を襲うのは敵ではなく恐怖のみ・・・

敵は夜盗だ数人斬れば方が付くと「リゲル」は次々と斬り倒す・・・

そしてメリウス達にも襲い掛かる・・・人を殺すとかの感覚はなく、ただ恐怖を振り払うが如く剣を振るう・・・

無我夢中に・・・それぞれ必死に剣を振るう・・・言葉にならない叫び声を上げながら・・・

そして目の前で倒れ逝く敵の目を見て、さらに恐怖への拍車が掛かる・・・

どれほどの時が過ぎたのか・・・辺りは月夜の静けさを取り戻していた・・・

メリウスは目の前に横倒れる者に止めの一撃を刺し、剣を引き抜きもう一度斬りつけようとした時「リゲル」に止められ、我に返り・・・「リゲル」は語り掛ける

「それ以上はやめろ・・・もう死んでいる、奴らも生きる為に命を賭けて臨んだ事だ、そして俺達傭兵も生きる為に人を殺める・・・解るか?明日は我が身かも知れないと言う事だ・・・
相手が夜盗だの残忍な人殺し集団など関係は無い・・・
よく聞け、力ある者が生き、力無き者は死ぬと言う事をそこに善悪などはない・・・運不運もない必然があるだけだ」

そして「リゲル」達は戻って来た馬を馬車に繋げ負傷した者を乗せ、何事もなかったかの様に歩を進める・・・

メリウスは人を斬った感触を今頃になって実感し、寒気と嘔吐がその身を襲っていた・・・

・・・幾日かの夜は過ぎようやく一行は辿り着く・・・「ウルダン」の街へ

そしてこの頃、他の国々では「ロフト」による襲撃が頻繁に行われたが

それを追うかの様に「ロフト」撃退の活躍を続ける鳳凰の旗を掲げる傭兵団の姿があった・・・。


・・・月日は5年の歳月が経ち・・・ある事柄が起こる・・・

「アストリア」大陸の北西に位置する国での事

ここは「ヴェリス」より遥か北西にある「ビクトリア」の国・・・その東には「ヘディン」の国・・・

この両国は5年前に「ロフト」により多大な被害を受けたが南に位置する「ダヴォシー」からの多大な支援により共に助け合い復興の道を歩む国々・・・

そのまた「ヘディン」の東には今は廃墟となる「レージェライ」がある・・・

舞台は「ビクトリア」の国・・・ある日の夜・・・

空には月が上がり、夜も更け静まり返る闇の中を空を切り忍び寄る黒い影の集団・・・

黒の布地に赤く九頭の蛇をあしらう旗を掲げる・・・「ロフト」の者達・・・

風を纏うが如く、林の中を、その黒い集団は突き進む・・・

そして、その行き足を止め対峙するひとつの集団がある

彼等は紺の布地に金の鳳凰をあしらう旗を掲げる集団・・・

その名は「アーレス」率いる傭兵団、結成間もない若々しい集団で「ビクトリア」の国が雇い南方を守備していた・・・

ふたつ集団は激しい戦闘へとなるが全てに措いて「アーレス」の指揮・戦略が「ロフト」の上を行く・・・

「ロフト」は敗走の手段も絶たれ、最後のひとりとなり・・・男がその前に立つ・・・

「生き延びたければ俺を倒してみろ、それがお前達の掟だろ」と語り掛ける

「ロフト」の最後のひとりが男に斬りかかると同時に口に含んだ針を飛ばす・・・

男は背にするマントで含み針を払い、次の瞬間「ロフト」を鮮やかに斬り捨てる・・・

「ロフト」の者は倒れ苦しみながらに男に言葉を残す・・・「・・・決して逃しはしない・・・裏切り者には・・・」

男は聞き気はなく止めを刺す・・・その男の胸元に一寸の月明かりが差しペンダントが赤く輝き光を放つ・・・

この事が口火となり様々な悲劇が起こる事はまだ誰も知らない・・・


そして舞台は「ヴェリス」へ戻り

ある朝の「ヴェリス」の港町は、より活気に満ち溢れ賑わいを見せていた

港には無数の船が行き交い、様々な荷が船から卸され倉庫街でそれぞれの商売が行われる

その場を仕切っているのが「アジール」で、その廻りを世話しなく動くひとりの青年がいた・・・

短髪の黒髪から汗を輝かせながら気の強そうな眼差しをし、たくましく成長した「ゼフィル」である

「ゼフィル」は「アジール」の一番のお気に入りで、倉庫街でいろいろと良く面倒をみてもらっていた

このふたりが何故に一緒にいるかと言うと、それは5年前のある日に遡る事になる・・・


・・・ある日の事、「リゲル」は重傷を負い生死の境にいたが、奇跡的に一命を取り止める

「ティリス」とメリウスのふたりは毎日、日が暮れるまで「リゲル」の元へ見舞いに行く

そんな、ある日に孤児院を訪ねるひとりの男が「アジール」であった・・・

男は、誰か話しが解りそうな奴は居ないのかと叫ぶと「ゼフィル」が向かい

今「ティリスは」用事があって出かけている、話しは俺が聞くと男の前に「ゼフィル」は立つ

赤毛の少年はどうしたと聞かれ、メリウスも「ティリス」と一緒に出かけていると答えると、そうか・・・と呟く

いったい何の用事で来たんだと「ゼフィル」は問うと、「リゲル」の忘れ物だと大量の金貨が入った袋を渡され

・・・「ゼフィル」は、あんたが「リゲル」をやったのかと聞くと、そうだと男は答える・・・

手渡された袋を投げ捨て「ゼフィル」は飛び掛るが男に蹴り飛ばされる・・・

そして男は帰り際に「小僧・・・男なら強く成れ」と言葉を残すと

俺の名は「ゼフィル」だと叫び返す・・・

すると男もさらに大きな声で、俺の名は「アジールだ文句のある奴はいつでも来い」と叫びあげ
立ち去った・・・それがふたりの奇妙な出会いだった・・・


・・・故あって今では「ゼフィル」が慕う良い兄貴分であり、倉庫街では一目置かれる存在と「ゼフィル」はなっていた・・・

そして「シーリス」も、町中の男達の視線を集める程の女性へと成長し、夜の酒場で働きながら腰まで届く美しい黒髪を靡かせ踊りの稽古に励む毎日・・・でも本当ところは歌い手に成りたかったらしい・・・

「ジニアス」は、癖のある黒髪と愛嬌ある表情や気質・小柄な体を活かし面白そうだと大道芸の修行を勤しみ、町の広場で曲芸を披露し町では噂になるほどの人気を集めていた

「グラディニー」は、物静かで心優しい気質と類稀なる体格に恵まれ、誰もが力を要する仕事につくのかと思われていたが、医療の分野に身を置いた、それは幼き頃の思い出が彼をその道へと歩ませ、「リゲル」の知り合いの医師の元、見習いとして働く

「レクス」は、体格・顔立ち共に男前な青年と育っていたが、すこし嫌みな賢しい気質と言動を得意し、多種多様な仕事を無難にこなすが、どれもが長続きはせずに、いつも「ティリス」の事を気に掛けていたが、それが「ティリス」の悩みの種でもあった、今は町のカジノでディーラーの職に付く

「ローズィム」は、細身で長身の体格に肩まで伸ばした紫がかった黒髪をし、手先の器用さもあって洋服を作る職に付き、そこで類稀なる才能を発揮する、奇抜なデザインを発案し他国から仕入れた多彩な布を斬新な方法で縫い合わせていく、その手法やデザインが町でも噂に成り他国にも高い値で取引される程だが、その全てはメリウスに着せる為と、着飾った姿を見てもらう為の一念によるもの・・・

皆それぞれの道を模索し歩みはじめていた・・・それは「リゲル」や「ティリス」への恩返しでもあり同じ孤児院にいる子供達への為でもある・・・

実際の所は皆は「リゲル」と共に同じ傭兵の道を強く希望したのだが、「リゲル」はそれを認めずに町で働く事を命じ「リゲル」の裏での働きかけによるもので皆、思いの仕事に付く事が出来ていた

この頃、「リゲル」率いる傭兵団は白狼の旗を掲げ、「ヴェリス」の西方、連盟を組む「ダヴォシー」の要請を受け「ダヴォシー」と「ウルダン」の国境付近での永い々険しい戦いを繰り広げていた・・・

そしてメリウスは「アッシュ」の親が所有する書館で「イリア」と共に「メトリー」の世話をしながら働くが・・・

そこへは昔では考えられない程の人々が集まり本を読んでいた・・・大多数が町の若い女性の姿

とても本を読みに来ただけとは思えない着飾った装い・・・そして度々「シーリス」や「ローズィム」の姿も現す

中には「シーリス」目当てで来る若い男の連中も来る始末・・・

町の女性達の噂になる4人の内のひとりがメリウスで一番の人気を博していた

その4人とは、誰にでも優しく接する知性溢れるメリウスと

倉庫街や夜の酒場で男気溢れたくましく働く「ゼフィル」

町一番の大富豪の息子「アッシュ」

優雅な洋服を着飾る「ローズィム」ではあるが、女性を一切寄せ付けない所が妙な人気へとなる・・・

そして孤児院のみんなが顔を合わせる時は夕食と寝る時のみで、夜の仕事をする「シーリス」・「ゼフィル」・「レクス」偶に顔を合わす程度で・・・

それと「ローズィム」は何故か「ティリス」を抜く程の食事の腕をあげていた

めずらしく夕食時にみんなが顔を合わす時の事・・・

子供達も交え席に付くとメリウスの膝に座る一人の少女「ディアーヌ」

孤児院の中ではいつもメリウスの側を離れようとはしない「シーリス」と「ローズィム」の悩みの種・・・

寝る時も一緒・・・何かに付けて「シーリス」と「ローズィム」は「ディアーヌ」の気を逸らそうとするが失敗に終わる、その二人は孤児院内では手を組み「ディアーヌ」への妨害工作へと勤しむ妙な間柄となる

みんなが食事を終えると「シーリス」は仕事に向かうと席を立ち「ゼフィル」も「シーリス」を送ると席を立つ「レクス」も同じく立ち上がると

「ローズィム」は微笑ましく3人を送るが「シーリス」は解ってるわねと「ローズィム」に釘を刺すと、任しといて応ずる・・・そして「ディアーヌ」に編み物を教えようとする「ローズィム」がいる・・・

そしてこの日は倉庫街の酒場「バウンティー」で「シーリス」が初めて踊りを披露する日・・・

酒場の中で「ゼフィル」は何か落ち着かない様子・・・そんな「ゼフィル」を「アジール」がこっちへ来て座れと同じテーブルの席に付かせると「シーリス」はステージに立ち踊りが始まり歓声が飛ぶ

すると「アジール」は見惚れている「ゼフィル」に気付きひとつの宝石を手渡し、良い女だ口説いて見せろと言う・・・それはローズクォーツの指輪で滅多に手に入らない値打物、そしてこの石には恋を叶える力があるとの事を教えてもらう

「ゼフィル」は戸惑い「シーリス」とは兄妹の様な間柄だと打ち明けるが「アジール」は何の問題もないじゃないか誰かに取られてからじゃ遅いぞと急き立てる・・・

「シーリス」の踊りは終わり大歓声に包まれる中、数人の男達が宝石を手に口説きにかかるが次々と首を横に振られ笑いが起こる・・・

「アジール」が今だ行けと「ゼフィル」に言うが・・・受け取れないと指輪を返そうとする・・・

そんな問答をしてる間に「シーリス」はステージを降りる・・・

「アジール」は笑いながら、その指輪はくれてやる機会があったら渡して口説けと他の席へと場所を移し

そして、「ゼフィル」のいる席に「アジール」は「シーリス」呼ぶ・・・なんとも気の利く兄貴分だ・・・

「シーリス」は踊りの事を「ゼフィル」に聞くと良い踊りだったと答えるだけに留まり、その場は終える

倉庫街からの帰り道ふたりは歩き酒場での話で盛り上がっていた・・・そして話が途切れふたり同時に口を切りだすと、ふたりは笑い少し海を見に行こうと「シーリス」が言い出し、ふたりは港の海辺で座る

「ゼフィル」の手には指輪が握り締められている・・・

すると「シーリス」が悩みを聞いて欲しいと話し出す・・・それはメリウスの事だった・・・

「ゼフィル」は「シーリス」に指輪を見せて、この指輪をしていれば恋が叶うらしいと「シーリス」の指にはめる

そして「ゼフィル」は「シーリス」の喜ぶ顔を複雑な気持ちで見つめて孤児院へとふたりは戻る・・・

次の日の晩「アジール」は「シーリス」の指にはめられた物と仲の良いふたりを見て

金は俺が払うと言い皆に存分に飲めと大いに振舞い酒場は賑わいを見せた

そんな穏やかな日々が続く日のある晩の事

メリウスは、悪夢に襲われていた・・・それは鮮明に・・・決して逃れる事はできず脳裏に映し出す・・・


・・・青白く光る森の中にメリウスは立っている・・・目の前には小さな白蛇が導くように進む・・・

その白蛇に導かれるまま歩を進める・・・森を抜けるとそこは・・・

・・・炎に包まれたレージェライ・・・街の広場へと辿り着く・・・いつの間にか白蛇は消えていた・・・

ここで目に映る光景は・・・あの時の惨劇・・・

ハズリット・セレーヌ・ヴィル・・・そしてリゲルやティリス・ゼフィル・シーリス・・・

メリウスが今まで出会ってきた全ての人達が次々と黒い影に倒されていく・・・

身動きひとつ出来ない・・・その様子を見る事しか出来ない・・・息苦しさが激しく襲う・・・

・・・メリウスは心の中で叫ぶ・・・やめろ・・・やめてくれと・・・

そこへディアーヌが泣きながら姿を現し・・・黒い影が忍び寄る・・・動く事はできない・・・指一本も・・・

・・・そして黒い影がディアーヌを覆い隠し・・・

・・・渾身の力を込めて・・・やめろと叫び・・・ようやく夢から覚める・・・


・・・メリウスは孤児院の外へ出てある所へ向かう・・・それは誰もが寝静まる時、月明かりが辺りを照らす

そしてメリウスを追う「シーリス」の姿・・・それに気付く「ゼフィル」であったが再び目を閉じ眠りに付いた

「ローズィム」は気付いたかどうか解らないが・・・壁に寝返りうち寝ていた・・・

メリウスは「ヴェリス」の港町が見下ろせる高台に立つ、月明かりが神秘的に海を照らし輝き放つ・・・

海を見続けるメリウスの元へ「シーリス」寄り添い聞く・・・

・・・メリウスは静かに応える・・・こんな穏やかな日々がいつか壊れる様な気がする・・・

もう誰ひとりとして傷つく姿は見たくはないのに・・・平和な日々に甘んじている事に憤りを感じる・・・

・・・周りの国々では未だ戦争は絶えない・・・もっと他にやる事があるはず・・・

やらなければいけない・・・そう思える・・・何かあってからじゃ遅い・・・

・・・みんなを守れる力を手にしたいんだ・・・と語る

「シーリス」は、でも「リゲル」が・・・と言葉を詰まらせ話す

「今のままが良いよ、みんなで幸せに暮らす事がどうしていけないの?」と泣き出す「シーリス」を抱きしめ

このままでは何も変える事はできない・・・何か特別な力が必要なんだ・・・とメリウスは呟く・・・


その明くる日に「リゲル」は西方での戦が終わり、戦場で深手を負い「ヴェリス」に戻ってくる・・・

「ウルダン」の国は「ダヴォシー」との停戦協定を結び、連盟への誘いを受けるか思案する事となる

そして幾日かの月日が経ち「リゲル」の傷も癒えた頃・・・

ヴェリスの美しく弧を描く港町を見下ろせる高台で、メリウスは夕日を浴びながら立ち尽くす

そこへ慌てた様子の「アッシュ」駆け寄り「どうしたんだよ・・・最近ずっとここに来てるって聞くぞ・・・」

メリウスは生返事をし夕日を眺めている・・・

良い話を持ってきたんだ聞いてくれよと嬉しそうに「アッシュ」は話し出す

俺達、仕官見習いになれるんだ、どうだ良い話だろ?

時機に俺達は、この国を動かす官職に付ける事ができるんだ

お前なら高い位に行けるかも知れない、住む所だって何だって心配するな力になる・・・と「アッシュ」は話す

そして夕日を背にしメリウスは「アッシュ」を見つめ話し出す・・・

首にしている青石のペンダントを「アッシュ」に見せ、
昔「ファブル」と言う男に教えてもらったんだ

この青く輝く石は「スターサファイア」と言い、この石にはあらゆる力が秘められていて、手にする者をもっとも幸運な道へ導くと伝えられるらしいんだ・・・

そして、幼い頃に強く心に刻んだ想いがある・・・

・・・自分には嘘は付けないんだ・・・と淡々と語るメリウスに「アッシュ」は叫ぶ・・・

「馬鹿な考えはやめろ、子供じゃあるまいしそんな石ころひとつで願いが叶うなら誰だって苦しみはしない・・・
何かの力を得るには代償を払わなければならない、この話だって生半可な事じゃないくらい・・・お前なら解るだろ・・・考え直せ17そこらの奴に何ができるって言うんだ・・・」

メリウスの意志は、その強い眼差しから読み取れた・・・

「アッシュ」は息を呑み・・・目を落して震える言葉を放つ

「傭兵なんかになるのはやめろ・・・ただの人殺しと変わりはない・・・」と涙を流す・・・

メリウスは「アッシュ」の肩に手を当て、もう決めた事なんだと呟き・・・そこを立ち去った。





「ヴェリス」の港町は夜が更け静けさの時の中・・・


夜空には無数の星々が煌き 月明かりが美しく弧を描く海辺を優しく照らしている・・・


その静けさの相反する場所があり、港町の一画を占める倉庫街は賑やかさを増す・・・


そこには数々の海賊衆が酒場に集い宴を開く場で、「ヴェリス」国の海軍も一目置く程の無法地帯・・・


ある一団がそこを取り仕切る場となっているが、そんな海賊衆にも誇り高い掟により定まっていた


それは、力を用して略奪する事は禁じられ・力を用して屈服させる事を誉れ高い誇りとする


そして今夜は海賊衆にとって特別な日であり、ある場で宴が大々的に行われていた



場所は変わり「リゲル」の家を訪ねる「アッシュ」と「ティリス」の姿がある


「アッシュ」は皆を家に送り帰し、孤児院の前でメリウスの帰りを待っていたが、帰ってくる気配の無いメリウスの身を案じ、事の真相を「ティリス」に打ち明け此処に来るに至る


部屋の中で「リゲル」と「マイヤ」は、「アッシュ」の話しを聞く「ティリス」も何とかしてくれると信じていた


「リゲル」は「アッシュ」にどの船か解るかと聞くが、夢中で逃げたし何隻もの船があったから解ら無いと言う・・・


この港町で唯一「リゲル」の力が及ばない所が倉庫街一帯を仕切る「レイヴィン海賊団」の存在であり

そこでは何人たりとも彼等の許可なく物事を起す事はできない・・・問題はそこにある・・・


「リゲル」は、ふたりに心配ない必ずメリウスを連れて帰ると約束をして、ふたりを帰らせ


「マイア」に軍資金から金貨百枚を用意させ、仲間内には誰にも話すなと告げ「リゲル」は外に出る・・・

一言、帰って来てねと「マイア」は言うが・・・


「リゲル」は応える事はできずに、そのまま倉庫街へと向かう・・・



一方メリウスは手足と口を縛られ袋詰めされ、船倉内で見張りと共にいた・・・


いろいろな手段で逃げようと試みるが、口の紐を解き 包まれている袋に口で噛み切り小さな穴を開ける事に留まり、寝た振りをして小さな穴から周りの様子を伺う事にする・・・


すると横の船室から集団の話し声が聞こえてくる・・・


今夜中に人数分を揃えなければ俺達の身が危ない、明日は出向だ時間はない・・・


ひとりの男が話す、心配するなこの町のは幸いにも孤児院がある、それを襲撃する


そして集団は口論をし始めるが、その男は、ばれなければ良い事だ、その他に道は無いと言い鎮め


ヒソヒソと話し出す・・・メリウスは事の重大さを知り、袋に開けた穴を噛み切り広げる事に専念する・・・



そして「リゲル」は「バウンティー」と言う大きな酒場の前に来ていた・・・酒場の入り口には屈強な男達が扉を見張る、「リゲル」は入り口に近づくと男達は止められ中に入る事はできないが・・・


男達に、「リゲル」が会いに来たと「ラングゼーブ」に伝えて欲しいと告げると、男達の表情は変わり

しばし待てと、酒場の見張り役の男は中に入って行く・・・


酒場「バウンティー」は、吹抜け構造で正面奥に大きなステージ、左右にはバーカウンター、中央広間には大きなテーブルが幾つも置かれ左右奥には上に 上がる階段があり二階にも幾つものテーブルが犇き上からもステージを見下ろせる様になっていて、数多くの踊り子や歌い手達が賑やかし、この倉庫街で一番の 大きさを誇る酒場


そして中でも異彩を放つひとりの女性がステージ中央に立ち歌を唄い海賊衆はその歌に聞き惚れている・・・


女性の名は「イシュタル」妖艶な赤いドレスを纏い美しく靡く黒髪を翻し優雅に歌う


そして今夜、この場には各国からの名立たる海賊の親分衆や、その取巻きが集い密約や商談の取り決めが行われる会合の場であった


「イシュタル」が歌い終えると何人もの海賊衆がそれぞれに用意した金銀財宝を手に口説きに掛かるが


次々と「イシュタル」に振られていく様を他の海賊衆が笑いあげる


この酒場では、よくある光景で、より強く力を誇れる者が射止める事ができるそして、いざこざも絶えない・・・


ひとりの豪傑で知られる海賊衆のひとり「カイム」が「イシュタル」に問いただすと・・・もっと若くて知性に溢れる人が好きと答え、如何なる様な奴だと再び問うと・・・ひとりの男を指刺しあの様な者だと答える


その男は「ヴェリス」より遥か南方のウルダンの国から来た宝石商であり占い師の男・・・

名は「ファブル」と言い、凛々しい顔立ちと鮮やかな茶色の髪を靡かせ涼しい瞳と褐色の肌

南方独特の青い衣を纏い、胸には鮮やかに輝くエメラルドのペンダントと右腕には金色の蛇のブレスレットをしている


「カイム」が「ファブル」の前に立ち勝負しろと言うが「ファブル」は大事な商談の最中だと断ると


男の勝負もできない腰抜けだと「カイム」は笑い飛ばし「ファブル」は笑われ者になる・・・

「ファブル」は仕方なしに立ち上がり「カイム」に何か賭ける物はあるのかと聞くと


数々の宝石・財宝の全てを賭けると言うと、「ファブル」は酒場の中央広間に立ち高らかに言い放つ

「宴には余興が付きもの、私も持てる全ての財宝を賭け、この男と勝負をする事をお許し願いたい

それと、ひとつ占いを御覧に致します、この者は私に指一本触れる事無く倒れるでしょう」


すると場に大きな歓声が起こり一部では、その勝負に対しての賭けが行われる始末・・・


そして二階の奥からドスの効いた声で「好きにしろ」との声が響く・・・


「ファブル」と「カイム」は広間中央で対峙するが「カイム」は怒り心頭・・・顔を赤くして息捲くる


ふたりは武器は持たず無手の拳と拳の勝負をする事になる


ひとりの海賊衆が合図にとグラスを宙に放り投げ、それが床に落ち割れると同時に「カイム」は殴り掛かる


「ファブル」は踊りを舞うかの如く「カイム」の勇猛たる攻撃を華麗にかわす、すると周りから歓声が上がる


その様子はまるで闘牛士のそれと同じだが、次第に野次る言葉も飛んでくる・・・


次の瞬間ふたりの動きは一瞬止まり「カイム」は前のめりに倒れ込んで蹲る・・・


「ファブル」は自身が占ったが如く指一本触れさせず一撃にして倒し勝負は決した


辺りは静まりかえったが、再び歓声が飛ぶ・・・決まりの一撃は人体の急所、水月によるもの


しかしこれで治まる事はなく、「ファブル」を倒せと、ざわめき立つが一人の男の登場と共に場は急変する


「バウンティー」の大きな扉が開き「リゲル」が中へ歩を進め、皆が注目する・・・

「レイヴィン海賊団」のひとりが口をきる

「これはこれは各国にも名が轟く傭兵、白狼のリゲル様じゃないか・・・海の泳ぎ方でも教わりに来たのか?」

と手にしている酒の入ったグラスを足元へと投げつける・・・


それを皮切りに次々に冷やかしや罵声が飛び辺りは不穏な空気に包まれる・・・


そして「ファブル」は席へ戻り商談の続きを始める・・・

「リゲル」は広間の中央近くのテーブルに金貨の入った袋を置き中央に立ち声をあげる

「金貨百枚を用意したラングゼーブに頼みがある話を聞いて欲しい」と・・・


すると「レイヴィン海賊団」のひとりが袋を置かれたテーブルを蹴り飛ばし怒鳴りあげる

場違いなんだよお前は・・・酒がまずくなるから消えろ、と酒の入ったグラスを「リゲル」の顔に投げつける

「レイヴィン海賊団」の「ドロス」が「リゲル」の前に立ち、人様に頼む時はそれなりの誠意を見せろと言う


そして「リゲル」の足元へ、辺りから次々とグラスを投げ込み辺りの床一面にグラス破片が埋め尽くす・・・


「リゲル」はその場に跪き、この通りだと頭を下げると・・・その頭を「ドロス」が足で床に押し付けると・・・

辺りに鮮血が広がる・・・


破片に埋め尽くされた床に「リゲル」の顔を足で押し当てながら「ドロス」は頼みとはなんだと聞く


俺の子が、この界隈で攫われて船に乗せられている・・・その子を助けて欲しい・・・と話す


「ドロス」は笑いながら、誰かこいつに子作りの仕方を教えてやってくれと笑い者にする


「リゲル」は子が攫われたのは本当だと・・・と言うと「ドロス」はしゃがみ込み耳元へ


「お前・・・この場でそんな事を口にして生きて帰れると思うなよ・・・初からその気はないがな・・・」

と静かに語り


誇り高き海の男が、そんなチンピラじみた事をする筈は無いと怒鳴りあげ「リゲル」を蹴り飛ばす


本当の事なんだ頼みを聞いて欲しい・・・あんた等の助けが必要なんだと食い下がる・・・


・・・仕方ないと「ドロス」は一つの提案を出す、俺達「レイヴィン海賊団」全員を相手に立っている事ができたら頼みを聞いてやっても良いと話すと「リゲル」は承諾する・・・


「ドロス」が場の全員に聞こえる様に言い放つ、再び面白い余興をお見せする、この男が俺達相手に立っていられるかどうか・・・この男の頼みが願うかどうか・・・存分にお楽しみあれ、と言い放ち


親方様よろしいか?と「ドロス」は訪ねる・・・二階の男は「やって見せろと」と声が響くと場に歓声が起こり


再び賭けの場が設けられる、この見世物はひとりずつ「リゲル」を一発殴り耐えられれば「リゲル」の勝ち

耐えられなければ負けという、レイヴィン海賊団での昔からの掟を破った者に科せられる刑のひとつ・・・

未だかつて立っていられた者はいない・・・


「リゲル」は広間中央に立ち歯を食い縛る、そして「レイヴィン海賊団」の若頭「アジール」が出てきて合図を掛けると、場に歓声が送られそれは始まる・・・


まず「ドロス」が「リゲル」の腹に痛烈な一撃を与える、そして「リゲル」は耐えて見せると歓声や野次が飛び次々へと行われる度に歓喜や罵声の嵐となる・・・


「イシュタル」は顔を背けながら「アジール」に聞く、何故あの男は言われるがままに受けているのかと・・・


「アジール」はその様子を見ながら答える・・・「奴は昔この「レイヴィン」に居たんだが掟を破りまだ若い事もあって親方の配慮で追放となったんだがよ、その時に親方の愛娘「エレア」と駆け落ちしやがって、あろう事かその「エレア」を死なせたんだよ、しかし親方は奴に、この町での暮らしを二度とこの界隈に姿を見せないという条件で許したんだ・・・バカな奴だぜアイツはこうなる事は百も承知の筈なのによ・・・」


「イシュタル」は「リゲル」の眼差しに命を賭しても何かを守る決意を見て

どうにかならないの?と「アジール」に聞くが無理だなと答えられる・・・


そして何人に殴られたか解らない程になり「リゲル」は簡単に倒れ込むようになっていた・・・


しかし「リゲル」は何度も立ち上がってくる・・・全身血だらけになり容易には立ち上がれず周りのテーブルを辿りようやく立ち上がる・・・


そして「アジール」の番が回ってきて容赦の無い一撃を与え


「リゲル」は無数に埋め尽くすグラスの破片上へと吹き飛ばされ倒れる・・・


それでも立ち上がる「リゲル」に、二階からレイヴィンの首領「ラングゼーブ」が姿を現し見下ろしている


その男は厳格なる風貌と威厳ある顔立ちをし険しい眼つきで「リゲル」を見据える・・・


「ラングゼーブ」は「二度と姿を見せるなと言ったはずだ・・・掟を破った者が何故此処にいる」と問う


「リゲル」は我が子を助けて欲しいと言うと爆音が轟き「リゲル」の右太股を銃弾が貫き倒れ込む・・・


「ラングゼーブ」の手にはロングバレル6弾倉のリボルバー拳銃が握られている


「・・・まさか、お前からそんな言葉を投げ掛けられるとは思わなかったぞ・・・」


「リゲル」は足を抱え倒れている・・・


「ラングゼーブ」は立ってもう一度言って見せろと言う・・・


すると「リゲル」は立ち上がろうとするが・・・その場で何度も倒れ込むばかり・・・


どうした、お前はその程度か、と「ラングゼーブ」は怒鳴る


すると周りの海賊衆から声援や野次が飛ぶ中・・・


「リゲル」は意を決して立ち上がり「ラングゼーブ」を見上げ


「あんたに殺されても文句は言わない・・・だがあの子だけは助けて欲しい」と言い放つと爆音が轟く・・・


・・・銃弾は頬をかすめていた・・・


そして「アジール」に見て来いと「ラングゼーブ」は告げると、数人を引き連れて「アジール」達は港に向かう


奴が戻るまで、お前は立っていろと言い「ラングゼーブ」は席に戻る・・・


すると「リゲル」に大歓声が送られ賭けは「リゲル」の勝ちとなる、その中で表情を強張らせる連中もいた・・・


そしてメリウスはと言うと・・・頭が出せる程に袋を噛み切り手足の縄も解いていた


なんとしても、この集団が動き出す前に孤児院へ戻らなければと考えている時に集団の気配が動く・・・


意を決して袋を引き裂き、袋の外へメリウスは出ると、見張り役は仲間を呼び・・・飛びかかってくる


メリウスは素早くかわし船倉から出る階段を駆け上るが、目の前に現れた男に蹴り飛ばされ


階段から転げ落ち、再び捕まってしまい手足を縛られ袋詰めにされ、その上に動けなくする為か蹴り続けられた・・・


しばらくして蹴り足は止まり船上の方では騒ぎ声が聞こえ、数人の気配が船倉に駆け下りてくる・・・


メリウスの心は諦めかけていたその時「もう大丈夫だ」と声が掛かる


メリウスは助け出され「アジール」に一緒に来い「リゲル」が待っていると言われる・・・


何がどうなっているか解らないが孤児院が危ないんだと「アジール」告げると、すぐに手下を向かわせる

お前は俺に付いて来いと言われるがままに付いて行く・・・


そしてメリウスはバウンティーの酒場で「リゲル」と会い・・・


メリウスの前には血だらけで立ち尽くす「リゲル」がいる・・・駆け寄ると力なくメリウスに凭れ掛かる・・・


「アジール」は、この始末は必ず俺達の手でけりを付けると言い放ち、そしてメリウスに重いかもしれないが背負って帰れと言う・・・


それを聞いた「イシュタル」が助けに入り誰か手を貸してと叫ぶが誰も動こうとはしない・・・


「イシュタル」は「アジール」に目をやるが、俺達がやれる事はここまでだ、と冷たくあしらう


そしてメリウスは「リゲル」を背負い引きずりながら外へ出て行く・・・

それと同時に孤児院の襲撃は未遂に終わったとの報が入る


しばらくして「ファブル」は悪いが先に船に戻ると席を立つ・・・


「ファブル」はメリウス達に追いつき「リゲル」に手を貸す、それを見た「イシュタル」は来るのが遅いと「ファブル」に涙を流しながら怒り続ける・・・


あまり時間が無いと、メリウスに「リゲル」を手当て出来る所はないかと「ファブル」は聞く・・・


メリウスは心当たりがあると、その場所へ向かう・・・


月明かりが道を照らす中・・・メリウスはあまりにも重い何かを感じながら力強く歩を前に進めた・・・