ここは「ヴェリス」から遥か西の国、険しい山々を背負い森に囲まれた広大な湖の中枢・・・
辺りは薄く霧が立ち込め 水面に浮かぶが如くそれはある・・・
一筋に延びる橋を渡り 重々しい門扉を抜けた先には・・・
・・・城塞都市「ダヴォシー」、物々しく聳え立つ城壁に囲まれた法と秩序の国・・・
その城壁の中には至る所に武装した兵士達と、気品に満ちた装いと面持ちの人々が豊かに暮らし
街の中心には 豪華な装飾を施した大寺院と天高く聳える時計台があり 日に三度の刻の鐘を奏でる
その鐘の音は、人々に神に祈りを捧げる刻を知らせ、また街のある所から煙が上がる焼却の合図ともされていた
寺院正面には、広場と円形の野外演劇場があり、人々が集う場所となって、それを囲む様に店や住居が立ち並ぶ
そして街の奥には街を見下ろす形で、宮殿と城が厳かに構える
この国はかつて、錬金術なる業で名を馳せ、今では その研究や思想が礎となり医療や科学あらゆる分野に貢献し、密かに重火器の製造をするまでに到り、この国を支えた
その昔・・・20年前に「ヴェリス」を攻め立てた国でもある
そこへ白狼旗を掲げる「リゲル」率いる傭兵団の一行・・・
メリウスと「ゼフィル」 「シーリス」 「ローズィム」 「ジニアス」 「グラディニー」 「レクス」の姿が見える
彼等は「リゲル」達から戦闘技術や心得を学び、傭兵となる道を決意し共に歩む事となっていた
メリウスは「ヴィル」から譲り受けたスカーフを首に纏い、それぞれの想いを胸に秘めながら・・・
ここで「リゲル」は特命を帯びる為に立ち寄っていた
それは「ダヴォシー」から「ウルダン」への使者を護衛する任務・・・
一傭兵団が何故に・・・大金を出してまで雇われるのか・・・
「リゲル」は少し思う事はあったが、これに従う事にする・・・
それと、ここの大寺院にて司教の好意により、皆洗礼を浴びる事となる・・・鐘の音と共に司祭は語る・・・
「いかなる時も人は欲する・・・富を欲し得れば、次に権力を得よう、そして傲慢を纏い自らを神格とする
然れば7つの罪源を世に放ち人心を乱す事となる・・・
これを戒めとして、我らは主たる神の教えを説く者・・・我ら主に尊い信仰を捧げ、人の法とし罪を御する者
信じよ神の名の元に・・・さすれば奇跡を起こり祝福された約束の地へと導くであろう・・・」
・・・・・その様な事があり「リゲル」達は「ダヴォシー」を後にする・・・
「ダヴォシー」の使者がいる手前、傭兵に語る言葉じゃないぜ、とは笑えずにいた・・・
舞台は次に移る・・・
広大な灼熱の大地・・・荒野が広がる「ウルダン」の国へ向かう
この土地は、かつて平原と湖が広がる美しい所であったが・・・
数年前から謎の異常気象と急速な温暖化により、土地は干上がり荒野と砂漠化が深刻な被害をなす国・・・
鉱石・原油と財源も豊富にあるのだが、広大な土地に住む数知れぬ人々全てを潤う事はなく、異常な程の格差を生み、荒野と共に人心も荒れていた・・・
東にも似た光景の「ベルディン」あり、両国の間では、それぞれが信じる神に選ばれた民と名乗り、戦いは絶え間なく続いていた・・・
「リゲル」傭兵団一行は使者を連れ、夜空に煌く星座と羅針盤を頼りに過酷な荒野の大地を歩む・・・
廃墟となる集落を度々目にしながら・・・
その光景は凄惨・・・死臭漂う疫病や飢餓で苦しむ集落・・・数々を・・・
「リゲル」は手出しは一切無用と言い付ける、それは疫病の感染を防ぐ為と灼熱の大地がそれを許さなかった
すると、ある一団を目にする・・・「ダヴォシー」へ逃れようとする黒人難民を・・・
この頃は「ダヴォシー」と「ウルダン」で停戦協定が結ばれ、難民を受け入れるとの制定が成されている故・・・
・・・メリウスは少し気になる節が思いを過ぎる・・・あの街で見た人々の中には、それらしい姿は居なかった事を・・・
そして過酷な旅路は続き・・・荒れ果てた灼熱の大地を進む・・・ある月夜の晩に起こる・・・
・・・それは待望む・・・
闇夜に身を潜めながら・・・
獲物が来るのを息を潜め待望む・・・
獲物を捕らえ様とする獣の如く・・・目を輝かせながら・・・
「リゲル」達は、明かりを灯しながら幌付き二頭立ての馬車や馬を引き連れ進む・・・
ある集落の横を通り過ぎ様とした時・・・
逸早く事に気付くメリウスが「リゲル」に告げると、同じく不穏な気配を「リゲル」も感づいていた・・・
ある集団に囲まれている・・・「リゲル」は気付かれない様に皆に命ずる・・・
・・・「リゲル」が「行け」と叫び、使者を乗せた馬と馬達を操る者を逃がし、みな迅速に明かりを消し地面へ伏せる、と同時に周囲から無数の矢が飛んでくる・・・
残ったのは馬の居ない馬車と「リゲル」達、傭兵団・・・「リゲル」はメリウス達を呼び離れるなと告げる・・・
メリウス達にとっては初の実戦になる・・・月明かりは辺りを照らすが姿は見えない・・・
そしてもう一度「リゲル」は「散れ」と叫ぶと同時に矢は放たれる・・・
各々が場を離れ斬り合いへと持ち込む・・・集団は雄叫びを上げ斬りかかってくる・・・
無理に斬り合おうとするな同士討ちに合うと「リゲル」が忠告するがメリウス達を襲うのは敵ではなく恐怖のみ・・・
敵は夜盗だ数人斬れば方が付くと「リゲル」は次々と斬り倒す・・・
そしてメリウス達にも襲い掛かる・・・人を殺すとかの感覚はなく、ただ恐怖を振り払うが如く剣を振るう・・・
無我夢中に・・・それぞれ必死に剣を振るう・・・言葉にならない叫び声を上げながら・・・
そして目の前で倒れ逝く敵の目を見て、さらに恐怖への拍車が掛かる・・・
どれほどの時が過ぎたのか・・・辺りは月夜の静けさを取り戻していた・・・
メリウスは目の前に横倒れる者に止めの一撃を刺し、剣を引き抜きもう一度斬りつけようとした時「リゲル」に止められ、我に返り・・・「リゲル」は語り掛ける
「それ以上はやめろ・・・もう死んでいる、奴らも生きる為に命を賭けて臨んだ事だ、そして俺達傭兵も生きる為に人を殺める・・・解るか?明日は我が身かも知れないと言う事だ・・・
相手が夜盗だの残忍な人殺し集団など関係は無い・・・
よく聞け、力ある者が生き、力無き者は死ぬと言う事をそこに善悪などはない・・・運不運もない必然があるだけだ」
そして「リゲル」達は戻って来た馬を馬車に繋げ負傷した者を乗せ、何事もなかったかの様に歩を進める・・・
メリウスは人を斬った感触を今頃になって実感し、寒気と嘔吐がその身を襲っていた・・・
・・・幾日かの夜は過ぎようやく一行は辿り着く・・・「ウルダン」の街へ
そしてこの頃、他の国々では「ロフト」による襲撃が頻繁に行われたが
それを追うかの様に「ロフト」撃退の活躍を続ける鳳凰の旗を掲げる傭兵団の姿があった・・・。