碾茶から挽き立ての抹茶に込められた「おもてなし」の心 | 日本文化って素晴らしい!~茶道・着付け教室in世田谷

日本文化って素晴らしい!~茶道・着付け教室in世田谷

元国際線CAが日本文化に目覚め、
茶道・着物・歴史や展覧会など、日本文化の素晴らしさをお伝えします。
日本に生まれてヨカッタ!

皆さん、こんにちはおねがい

早いものであと数日でお正月ですびっくり
年々時間が経つのが早くなってきて、困ったものですね~あせる


先日、佃一可さんの忘年茶遊会へ行って来ました。
佃さんは煎茶道のお家元であると共に学者でもいらっしゃいます。
佃さんの詳細は、前のブログ記事『原三溪のお茶事その1~佃一可さんのお茶室研究会』をご覧ください。

今年のテーマは『碾茶(でんちゃ)』。
岡崎の石を使った挽き臼をお持ちくださり、各自で碾茶を挽いて抹茶にし、自分の挽いた抹茶を自分で点てていただく、というなんとも贅沢な趣向ですキラキラ




『碾茶』とは、玉露と同じように収穫前、少なくとも20日以上は覆いをかぶせて直射日光を当たらないようにした茶葉を、収穫後、蒸して乾燥させたもの。
煎茶のように茶葉をもんでいないので、見た目はまっすく平らに刻んでいる感じで、少し青海苔に似ています。
臼の上の窪みに入ってるのが『碾茶』。



少し見にくくてごめんなさいっあせる
『碾茶』の薫りは玉露と同じように独特のかぶせ香があり(青海苔の薫りと少し似ています)、香ばしいです。
この『碾茶』を小袋に詰め、さらに茶壺にいれて冷暗所に保存し、11月の「口切りの茶事」で封を開け、臼で挽いてお抹茶にして、いただきます。
(詳しくは、前のブログ記事『11月は茶人の正月~炉開きと口切りの茶事』を参考に。)

茶壺。


今日は、その「口切りの茶事」の「口切り」の一部を実践している訳です。


この日に使った『碾茶』は「奥西緑芳園」の「極昔」です。



2番目の写真のように、臼の上の窪みに『碾茶』を入れ、臼を逆時計回りにゆっくり回すと、臼の上に落ちた『碾茶』が石と石に挟まり挽かれてお抹茶となり、石の隙間から出てきます。



回している上の石を持ち上げると、こんなふうです。



この溝が大事です。
臼は必ず逆時計回り(左回り)に回します。
時計回り(右回り)に回すと、この溝が磨耗してしまうので、要注意ですビックリマーク


そして、最大のポイントは臼の回し方です。



親指を竹の取っ手の上に掛け、手を固定し、手ではなく体で回すようにします。
ゆっくりと逆時計回りに体を動かし、臼を回します。
結構運動になりますあせる
一人分のお抹茶を挽くのに200回、臼を回します。


自分で挽いた、挽きたてのお抹茶で一服ビックリマーク
薫りが立ち上ぼりますっラブ



写真を撮る前に、お菓子に手をつけてしまいました。お許しを~!
(美味しいものが目の前にあると、待つことが出来ない習性ですぅ~てへぺろ)


現在では、お抹茶をお茶屋さんから買ってきて、封を開ければすぐに抹茶を点てることが出来ますが、昔は、お迎えするお客様のことを思いながら、ゆっくり心を込めて臼を挽いた訳ですね。
点てることより、その前の過程が大事だったんだな、と感じます。
ゆっくり臼を回す間に、おもてなし側の思いがどんどんお抹茶に入っていって、心のこもったお茶を点てることが出来るのですね。

本当に、茶道の中でお点前はほんの一部分。
大事な事は、お客様の目に触れない部分に、沢山隠されているのです。
だから、招かれたお客様は、目には見えない隠れた亭主の思いを、察して汲むことが大切なのですねキラキラ
お茶は深い!


佃さん、今回も貴重な体験をさせていただきまして、ありがとうございましたおねがい

番外編!
佃さんが土鍋で炊いた、炊きたてのご飯に
『碾茶』を混ぜて、みんなに配ってくださいました爆笑
薫りが引き立ち、美味!
お試しあれ。




meisho