炉開きで、おぜんざいや亥の子餅をいただくのは、前々回のブログでご紹介しましたよね。
今日はおぜんざいについてお話しします。
実は、『おぜんざい』は、関東と関西では異なるものを指すのです。
関東では、小豆を柔らかくなるまで炊いてお砂糖を入れてから、煮汁がほとんど蒸発してトロンとするまで炊いたものを焼いたお餅にかける、それをおぜんざいといいますが、関西では煮汁の中に炊いた小豆(粒餡)とお餅が入っている、それをおぜんざいといいます。
ですから大きな違いは、関東風おぜんざいでは見かけがトロンとしていて水分が少なく、関西風おぜんざいは見かけが液体でその中に小豆(粒餡)とお餅が入っているという所です。
お茶で使うおぜんざいとは関西風おぜんざいのことで、煮汁の中に小豆(粒餡)が入ったものです。もともと関西で生まれた茶の湯なので関西風に、というわけですね

炉開きにおぜんざいをいただくときは、黒文字と杉箸を1本ずつ添えて(手前に黒文字、向こうに杉箸)、お箸のようにしていただきます。
普通の方がご覧になったら、一膳のお箸が1本ずつ種類が違うので、変な感じがしますが、黒文字を添えるのは、「これが主菓子ですよ」とのサインの意です。

漢字でぜんざいとは『善哉』と書きます。
『一休さん』で有名な一休宗純がぜんざいを最初に食べたと言われていて、一口召し上がって「よきかな(善哉)、よきかな(善哉)!」と絶賛されたことから『善哉(ぜんざい)』と呼ばれるようになったと言われていています。
「よきかな」とは、とても良いという意味なので、とても良い➡お目出度い、ということで炉開きにいただくようになったようです。
ちなみに、『おしるこ』も関東と関西で違います。
関東では、関西のおぜんざいのことを『おしるこ』といいます。つまり、煮汁の中に小豆(粒餡)入っているものを『おしるこ』といいます。
一方関西で『おしるこ』と言えば、こし餡をといた煮汁のことを指します。まったく小豆の粒が入ってないのです。
鶴屋吉信さんでいただいたときの写真を参考に。。。
これが『関西のおぜんざい』&『関東のおしるこ』⬇

煮汁の中に粒餡が入っています。
お餅ですが、お茶の時には関西風に丸餅が正式です。
そうそう、お餅は、関西は丸餅、関東は四角い切り餅が一般的です。
餅は本来神様のよりしろだったので、魂の形で丸かったのです。関西では今でもその伝統を守って丸餅です。
だから関西の方が関東の四角いお餅を見るとビックリされます。お餅は本来、切り餅のように包丁を入れるものではないからです。
そしてこれが『関西のおしるこ』です⬇

煮汁にこし餡のみが入っていて、粒餡の姿がありませんよね。案外ねっとりしてオイシイです

ちなみに『虎屋菓寮』では、関西風と関東風の両方を取り入れて、煮汁の中に粒餡が入っているのを『小倉汁粉』、こし餡だけのものを『御膳汁粉』といいます。
お茶をしていると、関西と関東の文化の違いにも気づかされますね

